表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/161

Flag88:ダークエルフの情報を聞きましょう

事前の予告なく更新が2日停止してしまい申し訳ありません。書いていて自分で展開に無理があるなと思ってしまったので構想を練り直していました。

 とりあえずダークエルフの方々と繋ぎを取ろうとは思うのですが全く何も情報がない状況で行くというのは無謀です。本当に海賊である可能性もありますしね。せめて伝手に繋がるような情報がないかと思ったのですが……


「ダークエルフですか」

「はい、少々気になりますので1度会いに行ってみようと思いまして。知っていることなどありませんか?」

「皆、知ってる?」


 エリザさんの問いかけに食事のために集まっていた皆さんの表情は思わしくありません。さすがにそんなに都合よくはいかないようです。ヒューゴさんもほぼ交流がないと言っていましたし、それも仕方がないですね。しかしそうすると手掛かりを探すところから始めないとだめですか。案外手間がかかりそうですね。


「ランドル皇国で新たな皇帝が即位するときにダークエルフから魔道具が贈られるという話は聞いたことがありますがそれ以外の情報はありません」

「そうですか。とすると何らかの方法でランドル皇国の情報を得ているということになりますからどこかに伝手を持つ人がいるのでしょうが、それを知るのは難しそうですね」


 うーん、と頭を悩ませます。

 その人物とコンタクトが取れ、そして紹介してもらうというのが1番スムーズに事が運びそうではあるのですが見ず知らずの私を紹介してくれるわけがありませんからね。交流がないと言われているダークエルフと交流しているということは、信頼関係で結ばれているということです。わざわざその信頼にひびを入れるようなことはないでしょう。


「んっ、そういえば」

「どうしましたか?」


 声を上げたマインさんに視線が集まります。それに気づいたマインさんが少し気まずそうに頭を掻き、少々自信なさげにしながら口を開きました。


「奴隷ならばいるはずだ」

「奴隷ですか」

「ああ、姫と出会う前にそう言った話を聞いたことがある。オークションにダークエルフが出て高額で落札されたと。まあどこで誰がどの程度の金額でもわからない噂程度だが」

「オークションですか……」


 確かにもしダークエルフの奴隷が売りに出されるというのであれば希少性も考えればオークション以外にはありえないでしょう。ダークエルフは長寿で美形の方が多いという話でしたし、魔法も人に比べて得意と聞いています。貴族から商人、果ては冒険者まで手に入れたいという者は多いでしょうからね。

 奴隷になったというダークエルフの方を探すという手もありますが、その行方を知ったとしても他人の奴隷なのですよね。さすがに売ってくれと言ってすぐに売るようなことはないでしょうし。しかし1つの可能性としては考えられますか。


「とりあえずツクニさんとヒューゴさんにオークションにダークエルフが出ていないか、そしてマインさんが聞いたという噂の情報収集、行き先がわかればその調査をお願いしますかね。現状ではそれ以外に方法がありませんし」

「お役に立てず申し訳ありません」

「いえ、気にしないでください。ダークエルフと接触を図ろうということ自体が私の勘による部分も大きいですし、今はどちらにせよ待ちの時間ですから。その間に何か出来ればと考えただけですしね」


 申し訳なさそうに顔を少し伏せるエリザさんに笑いながら軽く手を振って応えます。一応行動を始める前に報告がてら情報共有しようと思っただけですからね。もともとあまり期待していなかったのですが、おそらくランドル皇国内の誰かと繋がっていることそして奴隷としてダークエルフ自体がオークションに出品される可能性があることを知ることが出来ただけでも大きな収穫でしたから。


 とりあえず報告も終わりましたし、特に反対意見も出ませんでしたので明日にでも情報収集の依頼をしにハブルクへと向かいましょうかね。もしかしたらその必要はないのかもしれませんが。


 翌日の早朝フォーレッドオーシャン号から漁船へと乗り換え再びハブルクへと向かいます。普通なら砂糖などを持っていくところですが流石に昨日の今日のことですので食料だけを積み込んでいます。トッドさんのいる島へも寄っていませんので先日ハブルクで購入した生地もそのままですが。

 入港し、昨日の今日で帰ってきたことにファンさんに少し驚かれながらツクニさんとヒューゴさんの元へと向かいます。ツクニさんは現在商用で出かけているという事でしたのでヒューゴさんとだけ面会することになりました。


 ヒューゴさんはいつも通り与えられた一室で山のように積まれた書面に忙殺されているようです。奴隷を増やしてはどうかとも言ったのですがまだまだ許容範囲とのことですので私からは何とも言えません。

 一応ツクニさんにはヒューゴさんがあまり無理をして倒れないように注意してほしいと伝えてはいるのですがそのツクニさんの方も倒れそうですしね。私が全面的にバックアップしている状況ではありますが、一応別の商会ですので人事にまで口を出すことは遠慮していたのですがこの状況が続くようであれば少々強引でも人材を補充した方が良いでしょうね。倒れてしまっては元も子もありませんから。


 そんなことを考えながらヒューゴさんの仕事がいち段落するまで待ちます。仕事の途中で対応していただく必要はないと以前に私から伝えてありますから当然です。中途半端に仕事を中断することによる弊害を考えれば時間に余裕のある私と話すために即座に仕事を中断する必要性はありません。このことを伝えた時にヒューゴさんが殊の外喜んでいたのが印象的でした。前職ではそういったことが多かったのかもしれません。


 部下を持つものとして報連相を受けて部下の状況を管理することは重要な仕事ですが、自分の都合だけを考えてそのために部下の仕事を邪魔するような者は無能でしかありません。

 定期的にしているのであればそれに合わせて部下がスケジュールを組むべきでしょうが、唐突に報告を求める人は何がしたいのでしょうかね。部下の理解を測れるとでも思っているのでしょうか。まあそう言った一面がないとは言いませんが効率も良いとは言えないですし部下のフラストレーションも溜まりますので個人的にはどうかと思うのですがね。

 まあヒューゴさんはエリザさん派閥だったので仕事を邪魔されていたのかもしれませんが。


「待たせたの」

「いえ、問題ありません。しかし本当に忙しそうですし部下として奴隷の購入を検討しないのですか? 資金的には問題ないと思いますが」

「なあに、ここは働きやすいからの。この程度1人で十分じゃ」


 色々と含むところのある発言ですが、城勤めしていた時のことは話せないらしいのでこれ以上聞いても仕方がないでしょう。


「お嬢様方と相談して少しお願いしたいことが出来ましたので戻ってきました」

「ダークエルフのことじゃな」

「そうですね。やはり既に情報を収集されていらっしゃるようですね?」

「まあの。こういったことをおろそかにする者は出世出来んよ。商人も官僚も一緒じゃ」


 そう言いながらヒューゴさんが引き出しの中から書類の束を出し、私へと渡してきました。それをパラパラとめくり内容を確認していきます。確実に私に話すよりも以前からそのことについて調査していたとわかるほどの情報量です。そしてその中には重要な情報が含まれていました。


「リーラントのオークションでダークエルフが出品予定ですか」

「そうじゃな。主だった奴隷商会に情報が回ってきておるようじゃ。5年ぶりらしいからの、狙っておる者も多いじゃろうな」

「そうですね。色々と役に立ちそうな人材であることは確かですから。お嬢様のためにも」

「じゃな。と言う訳でツクニの坊主を向かわせるつもりじゃ。オークション慣れしていないのが少々不安ではあるんじゃがな。どこかにそう言ったことに慣れた度胸のある者が補佐についてくれれば安心なんじゃが。どこかにおらんかのぅ」


 ヒューゴさんが私を見ながら楽し気に笑っています。表に立たないように手助けはしてやるから本当に手に入れたいのならツクニさんをうまく使えと言う訳ですか。ここまでおぜん立てされてしまっては乗るしかありません。確かにまたとない機会ではあるわけですしね。


「そういえば偶然ですが私もリーラントに用事がありましてね。今後の経験のためにもオークションを見学したいとは思っていましたのでツクニさんに連れて行ってもらえるようにお願いしましょうかね」

「それがいいかもしれんのぅ。なあに例え札を上げなくても少々見学料が取られるだけじゃし、見ることによって得るものもあるじゃろうしのぅ」


 しらじらしいやり取りをしながら2人でにやりと笑います。ツクニさんが少々目立ってしまいますがまあそれは今更ですからね。護衛の人材さえそろえればそうそう危険なことはないでしょう。海上は私が乗せていけば良いですしね。

 皇都に近いというのが少しネックですが虎穴に入らずんば虎児を得ずとも言いますしね。この程度は覚悟のうえです。まあ事前の準備だけはしっかりしておきましょう。

役に立つかわからない海の知識コーナー


【ノクターナル】


船乗りにとって重要な情報の1つに正確な時間の測定があります。これを夜間に調べるために昔使われていた道具です。

北天の星は北極星を中心に反時計回りに回転し24時間でほぼ1周します。これを利用して星の位置を時計の短針替わりにして時刻を測っていました。北極星が起点となっていますのでノクターナルが使われていたのは北半球のことです。

形としては丸い手鏡に針がついているものをイメージすればよいでしょうか。円の中心には穴があいておりそれを北極星に合わせ、針を周囲の星の中で基準とする星へと合わせるといった感じです。

芸術品といっても良いほど精緻な装飾の施されたものも残されています。


***お知らせ***


毎日更新を続けていましたが、さすがに余裕がなく話の流れが荒くなってきたのと誤字が散見されるようになってきましたので申し訳ありませんが更新ペースを2日に1回に落とします。更新を辞めるようなことはありませんので最後までお付き合いいただければ幸いです。

mOm

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラが一人の女の子を幸せにするために奔走する話です。

「シンデレラになった化け物は灰かぶりの道を歩む」
https://ncode.syosetu.com/n0484fi/

少しでも気になった方は読んでみてください。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ