第1部 1幕 始まりの始まり
タイトル修正。
ここからは主人公視点で進みます。
「ただいま~誰もいないけど」
やっと自宅に到着。
あ、初めまして。成田千年といいます。せんねんと書いてチトセと読みます。
現在けっこう大きい一軒家に独り暮らしの23歳。
と、それはいいとして。
「さぁて~始めますか~」
家のなかでも一番広い部屋にベッドとテーブル。後はゲーム機器のみの部屋。
21世紀になりお決まりのようにフルダイブ型VRMMOが数多く発売した。
僕も例外なくハマりにハマって抜け出せないタイプ。
「今日こそはソーマとエリクサー完成だよ~」
ハマったのは良いが何と生産職。
元々農家の出で物作りは好きなほう。仕事も似たような感じだし。
何より攻略組よ生産職がいなければ物資が手に入らず攻略はできないのだぞ。
Tシャツとジャージという楽すぎる格好でベッドに横になる。
頭の上にあるゲーム機器の持ち手を両手掴むと
キッチンとかにある上から降りてくる食器棚みたいな感じに降ろして行く。
見た目は顔だけが覆われてるMRIに見える。
「それでは~行ってきまーす(笑)」
スイッチオン
「あら?」
辺りを見回す。
自分の工房ではない。店でもない。
しかも拘りまくって創ったアバターじゃなく、癖っ毛のある黒髪に農家で培った細マッチョの体型。
「…ま…まさか…チュートリアルホール?」
モノトーンの広い部屋。
宙に浮かぶスクリーン。
「そんな…今までのデータが…」
その場に膝を着き項垂れる。
「サラサラ銀髪の超美形ダークエルフアバターだったのにぃ…魔道具作製とテイマーのマスターランクが…」
「ブフォ!!」
「MPマックスでノータイムで魔道具造れるようになったのにぃ」
「ププププッ…ダメだ…もうダメ」
何か間に誰かの声が。
顔を上げるとそこには少年?少女?紫の軍服の様なものを着た中性的な人が口に手を当ててプルプルしていた。
「ごめん、ちょっと待ってて」
しばらくお待ちください…
「はぁ、久しぶりに笑った。ゲームのデータでそんなに絶望してる人始めてみたよ」
「ゲーマーなんてそんなものだよ~。で、データ戻るの?GM」
「GMじゃないから」
「じゃあ、流行りのデスゲーム?」
「んなわけない!!」
ビシッっと肩に見事な突っ込み入りました。
まわりにたくさんのスクリーンが浮いているなかでナゼかテーブルに椅子、ティーセット。
紅茶?を飲む仕草が完璧ですよ。
「あの、ところで…君は誰かな~?」
「結構冷静なんだね。この状況で、勧められたお茶普通に飲んでるし」
「うん。で、どういうキャラ?何設定?」
「ゲームから離れようか」
引き吊った笑みでカップを置く軍服の人。
ゲームじゃないの?
「私は監視者。見守るもの」