開幕~2
千年は町中を歩いていた。手にはたくさんのエコバッグ。数日間は籠れるだろう食料品を買い込んでいた。
有給と土日と祭日を使い連休をもぎ取った千年はルンルンと自宅へ戻る。
「帰ったら~ゲーム三昧~」
ゆるゲーマーの千年は連休全てをゲームに使うつもりだった。
21世紀になり急速にゲーム業界も進歩している。夢のVRが発売になりMMOにハマりまくり生産職として活動中だった。
「天気いいねぇ」
自宅まで少しの距離。遠くの空に光る物が視界を横切る。
「ん?」
光る矢。虹色の尾を引いて飛んでいる。
千年の目でも矢と解る。かなりの大きさのようだった。
消える様子はなく都心部へと飛び去ってゆく。
「何あれ…」
まわりを見ても気がついている者はいないようだった。
(僕にしか見えてないのかな?)
不思議に思いながらも歩みは止めない。
「ま、いっか」
首を傾げながらも自宅へ急いだ。
都心部上空へと飛んでいった光る矢は空中で何かに当たったかのように止まると、誰にも聴こえない高い音を出して弾けて消えた。
消えたその空中に巨大な皹が入ったと思うと地上めがけて広がっていった。
誰も。誰も知らずに。
始まった。
短いですが、切りのいいところで。