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ドリームウォーカーズ  作者: 史郎アンリアル
ドリームウォーカーズ
3/43

美しき絶対権力

 ところで前書きとか後書きって、毎回書かなくてもいいのでしょうか? そろそろネタがなくなってきました(早い)。

 ある国には、この世で最も美しいとされる女王がいた。

 彼女はその証明として毎日欠かさず、魔法の鏡に問い続けた。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

「それは女王様、あなたです」

 鏡の答えも毎日変わることはなかった。

 しかし、ある日だけは違かった。

「それは女王様、あなたの娘です」

 女王はそれまで完璧に保ってきた誇りを砕かれ、狂気に陥った。自らの娘を森へ追放し、毒リンゴによる暗殺を企てたのだ。

 しかしそれは失敗に終わる。毒リンゴを食べて深い眠りについた娘は、たまたま通りかかった他国の王子に一目で惚れられ、彼のキスによって目覚めてしまった。

 そして後に王子と結婚した娘は、その雪のような美しさから、こう呼ばれるようになる。

 「白雪姫」と。


  ◆◆◆


「グァー……、ばっきゃろ―お前、俺はちくわしか持ってねぇぞ……。ヒュー」

 目を覚ましたアリスは、隣で盛大にいびきと寝言を同時に吐き続ける男にあきれた。

「俺は寝ないって、誰が言ったんだっけ?」

 ダァン!

 森のど真ん中でアリスは、男の銃剣を空に向かって撃った。

「うおぉ襲撃か? だ、第四中隊ジル、問題ありません!」

 銃声で目が覚めたせいか、ジルは赤ずきんだった頃のような反応で飛び起きた。

「この無責任男~」

 まだ完全に気が付かないジルの頬に、アリスは容赦なく銃剣の持ち手をぐりぐりと押し付ける。 そしてようやくジルが銃声の主に気付いた。

「ああなんだお前か。安心しろ、月が沈むまで何も出なかった。俺はあと四時間は寝る」

 再び寝袋に潜り込もうとしたジルについに我慢が途切れたアリスは、銃剣の先を彼の額に向けて撃鉄を起こす。

「あーわかった。わかったからお前は無抵抗な人間を狙うな!」

 またも飛び起きて、両手を上げて降伏のサインを示してから、ついにジルは寝袋から這い出た。

 だが目が覚めたことによって敏感に機能するようになったジルの聴覚は、遠くからの接近者をいち早く捉えた。

「おい、今お前一発撃ったろ」

「ええ撃ったわよ。あなたがあまりにもだらしなかったからね」

 立ったまま見下ろしてくるアリスをよそに、ジルは慌てて荷物をまとめ始めた。

「すぐにここを離れるぞ。このままだとマズい」

 顔面蒼白で寝袋をたたむジルを、アリスは満足げに眺めていた。

「へぇ、わかってきたじゃない」

「そーじゃねっつの! お前も手伝え!」

「はいはいやりますよ」

 しかし、アリスが自分の寝袋をたたもうとした時には、すでに手遅れだった。

 ダァン! ダダァン!

 突然、森の外側から複数の銃声が響いた。

「チッ、しょうがねぇ。おいアリス、馬には乗るなよ、あとあの服は置いてけ」

 すでにアリスは着替えているが、ほとんどの荷物が片付いたその場所には、昨晩の襲撃で血まみれになった服が干してあった。

「わ、わかった」

 アリスもある程度状況を理解したのか、ごくりと唾を飲む。

 そして二人は荷物を適当に馬にくくりつけて、ゆっくりと森を出た。


 森の外には白馬に乗った複数の兵士が待ち構えていた。その鎧はアリスたちがいた国のものではなく、一目で外国の者だとわかった。

「先ほど撃ったのはお前か」

 兵士の一人、大きな旗を背負ったリーダーと思わしき男が二人に問いかける。

「誤射です。寝ぼけていました」

 ジルが肩にかけていた銃剣の、引き金から最も遠い部分を持ち、そっと地面に置く。それを見た兵士は、安心した様子で再び口を開いた。

「生き物を撃っていないのならよろしい。この一帯は我が国の領地だ。狩猟は禁止している」

「えっ……」

 ジルの額と背中全面から冷や汗が湧き出た。そして恐る恐る横を見ると、昨晩撃った獣の死体が、見るも無残な姿で横たわっていた。しかも運の悪いことに、貫通した銃弾の痕がこちらに向いていて、間違いなく誰かが撃ったものだと判断できる状態だった。

 兵士たちもジルの目線を追ってそれを見る。そして彼らが再びジルに向き直った時、その顔はすべて怒りに震えていた。

「捕らえろーっ!」

 リーダーと思わしき男が高らかに叫ぶと、他の兵士達は手際よく二人の手を縄で拘束した。

 ちなみにここまでの間、アリスはおびえて何もできなかった。


  ◆◆◆


 二人の密猟者を乗せた馬車が、彼らが乗っていた馬を連れて、城下町の大通りを見せびらかすようにゆっくりと進んでいく。

 当然、牛でも運ぶようなかごに捕らえられた二人に、人々の注目は集まった。

 こんなことだったら、当初の予定通り馬車で隣国まで送ってもらうんだったと、アリスに睨まれたことでジルは初めて後悔した。

「誰よあの子、あんなにかわいいのに捕まっちゃったの?」

「きっとあのガラの悪そうな男が何かしたのよ。まったくやんなっちゃうわよね」

 すれ違う人々からは、特にジルを蔑む声が飛び交った。確かにあの獣を撃ったのはジルだが、仕方のないことだった。そうしなければ、あの野道に倒れていたのはアリスになったかもしれなかったのだ。

 しかし、なぜあの時アリスが起き上がらなくて助かったと思ったのだろう、なぜ今自分は、この状況の方がまだましだと思っているのだろう。ここまで足手まといでしかなかったアリスに、ジルは自分の感情が理解できなくなっていた。

 ジルがしばらくそんなことを考えている姿を、アリスはじっと心配そうに見つめていた。彼は自分のためを思って嘘をつき、自分を守るために獣を殺し、自分のために抵抗せず捕まった。結果としてこのようなことになってしまったが、彼女はどこかで、ジルの優しさではないかもしれない優しさを感じ始めていた。

 町に入ってから一度も口を開かなかった二人は、気が付くと中心部の城に着いていた。

「降りろ」

 馬車後方の扉を開けた兵士が、二人を無造作に引きずり降ろした。

「おら、さっさと歩け」

 待ち構えていた別の兵士が、いつでも攻撃できるよう剣を握った状態で、二人を城内へ誘導する。


 兵士に脅されながら二人がやってきたのは、特に何もない、ただの小部屋だった。

 剣で膝の裏を押され、強制的に正座の形になったジルは、ここで処刑されるのかと思ったが、隣のアリスも同じようにされたまま何も起こらないので、少し安心した。

 しばらく待っていると、奥の扉がいかにも古びた木材のような、ギィという音を立てて開き、一人の女性が現れた。

 ジルは彼女の姿を見て感動した。衣装こそ平民よりちょっと高級なくらいの物だが、それさえも超一級の品に見えるほどに、彼女は美しかった。そのほどよく高い身長、雪のように白い肌、光沢のある黒いセミロングの髪、宝石のように大きく輝く瞳、おそらく全世界の男が狙っているであろう鮮やかな赤い唇……。もしも美しいという言葉を女性の姿で表したらこのような形になるのだろう。初めてアリスに会った時にもそれなりに感動したジルだったが、せめて死ぬ前にこの女性を見て良かったと、何かの救いさえ感じていた。彼の目にはすでに涙すら浮かび始めていたのだ。

「……誰?」

 嫌悪感に満ちたその声も、ジルの心を天使の矢のように貫いた。彼のご満悦そうな顔を横目で見ていたアリスは、きっと目の前の女性よりも気分が悪かっただろう。つい先ほどまで揺れ動いていた彼女の心は、急ブレーキをかけて後退し始めていた。

「はっ。つい今朝、国内で獣を撃った無法者です」

 正確には昨晩だが、銃声とその銃を持った男がいて、近くに撃たれた死体があれば誰でもそう判断するだろう。たとえ銃弾を拾って鑑定したとしても、犯人がジルであることに変わりはないだろう。兵士の一言で現実を突きつけられたジルは、あきらめの境地に立っていた。

「そう、撃ったのね……」

 女性は一息ついて考えた後、次の指示を下す。

「男は地下牢へ。私はその女の子と話がしたいわ」

 女性の指示通り部屋から引きずり出されるジルは、地下牢に閉じ込められる恐怖よりも、女性と別れることの悲しさで泣きそうになっていた。

 その哀れな顔が部屋から消えるのを見てから、しばらくアリスと女性は互いの顔を見合った。女性はもう一度息をつき、口を開く。

「初めまして。私は白雪。この国の姫よ」

「……アリスよ。さっきの男はジル」

 白雪は穏やかな笑みを浮かべていたが、アリスは拘束されたまま、ただ相手の絶望的なまでに美しい顔を睨み続けていた。

「……さすがにこれではダメね。誰か、椅子を用意して」

 あらかじめ部屋の裏辺りにでも用意してあったのか、命令された兵士はものの数秒で二人分の椅子を用意した。

 次に白雪がアリスを指差すと、それが合図だったのか、背後の兵士が彼女を拘束していた縄を切り、両手を解放した。

「座って。何も私はあなたが犯罪者だからってすぐに殺そうだなんて考えてないわ」

 白雪がそう言いながら座るのを見てから、アリスも恐る恐る向かい合うように置かれた椅子に座った。

「ふふっ、やっぱり、ちゃんと見ればかわいいじゃない」

 白雪が満足そうに笑う。しかしアリスは恥ずかしさからかどうしても、褒められても自信が沸いてこない相手の顔を直視できなかった。

「でも残念だわ。これからあなたが私よりも美しくないことを証明しなくちゃいけないのだから」

 白雪が自分より美しいなど、そんなことは言われずともアリスはわかりきっていた。そしてなぜそれをあらためて証明しなければならないのか、アリスは疑問に思っていた。

 先ほど椅子を持ってきた兵士が、またも数秒で今度は大きな鏡を持ってきた。

 しかしそれは鏡というよりは、ただ光を反射するだけの、半径二十センチほどの金属の円盤のようにも見えた。

 白雪はアリスに笑いかけてから、自分の背後の壁に掛けられた鏡に向かって問いかける。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

「それは白雪姫、あなたです」

 鏡から声が発せられた。アリスはその超常現象に驚いたが、その答えだけは予想通りだった。

「やっぱりね。惜しかったわねアリス、もうちょっといい男に出会えれば私を超えられたかもしれないのに」

 白雪がアリスに詰め寄り、その顔に優しく息を吹き付けるように言った。

「ですが姫様」

 珍しく鏡が話を続けた。予想外の声に、白雪は驚いて振り向く。

「それは今日までです。まもなく姫様より美しい者が現れます」

「そ、それは誰?」

 白雪が慌てて鏡に噛みつくように問う。

「アリスです」

 白雪の顔が一瞬で絶望に染め上げられた。しかしその顔は、鏡にしがみつくと同時に怒りに変わる。

「どうして! さっき私って言ったじゃない!」

「彼女は今、新しい美しさを手に入れようとしています。おそらく時間が経てば経つほど、姫様を遠ざけることになるでしょう」

 鏡の口調はいたって平静で、変わることはなかった。

 白雪が振り向いた時、その顔は怒りのあまり本来の美しさを失っていた。そして叫ぶように命令する。

「奴が使った武器と、あれを持ってきなさい!」

 今度は時間がかかった。それでも命令を受けた兵士は、一分ほどでジルの銃剣と一つのリンゴを持ってきた。

「剣を、外せ」

 かろうじて冷静さを取り戻したのか、白雪が震える声で命令した。兵士は普段からそのような武器を使っているのか、慣れた手つきで銃剣の剣の部分を外した。

「これからあなたにはその役に立たない銃と毒リンゴを持って独房に入ってもらうわ。おなかが空いて、本当に苦しくなったらそれを食べなさい」

 アリスはその瞬間、自分の死が未来予知のように目に浮かんだ。やはり自分は犯罪者の仲間として、苦しんで死ななければならないのかと、兵士から受け取ったリンゴの異臭がそう確信させた。

 最後にせめてジルと話したかった。彼の遺品のような銃を握った時、アリスの心にほんのわずかな希望が宿った。

 考える余裕はなかった。こうしなければ自分は、何もできないまま自ら死を選ぶことになるだろう。アリスは片手で銃を白雪に向けた。

「何よ、抵抗しようっていうの? その銃には弾なんて入ってないわよ。ねえ?」

 白雪が銃を持ってきた兵士に確認すると、彼は無言でうなずいた。

 銃の残弾の有無を確認するのは簡単だ。よほど精巧なものでなければ、銃身を振った時に装填部でカランと鈴のような音がする。同時に三発装填できるジルの銃も、そういう仕組みになっている。

 しかし、撃鉄を起こした後の弾は例外だ。正確に発射するため銃弾は固定され、振っても音はしない。

 そこが彼らの盲点となった。彼らに捕らえられたあの朝、アリスはジルを起こそうとして撃鉄を起こしたのだ。

しかもジルは、月が沈むまでアリスを守っていた。いつでも撃てるよういくつか弾を込めていたはずだ。その内一発は朝使ってしまったが、アリスは彼の真剣さに、自分の命を賭けた。

あとは引き金を引けば弾は発射され、自分は解放される。そう確信した瞬間、目の前の白雪はクスリと笑った。そして嗜虐的な笑みを浮かべたまま言う。

「いいね、いいわよその反抗的な態度! もしかしたら本当に弾が残っているのかもね! でも残念。あなたがそれを撃ったところで、私には当たらないわ」

 白雪は口に手を当てて笑い続ける。

「なんでそう言えるの?」

 アリスは立場こそ逆転したものの、まだ銃を構える手は震えていた。

「だってこれは私の夢だもの。私の思い通りよ」

 それはアリスにとってとんでもない暴露だった。ついにジル以外に同じ境遇の者を見つけたのだ。彼女はすぐにでも白の女王に白雪を紹介したいと思ったが、その予定は白雪の次の話によって中止されることになる。

「私のお母さんはトップモデルだったわ。何度も雑誌に取り上げられて、絶世の美女なんて呼ばれてたわね」

 おそらく現実における白雪の話であろう。アリスは銃を下ろした。

「でも私が成長して同じ雑誌に載った時、私の方が人気になったの。だって私は世界で一番美しかったから。お母さんは褒めてくれると思ったわ。でも逆に私を殺そうとした。自分が世界で一番美しくなるためにね。その時に使ったのは、今あなたが持っているのと同じ毒リンゴよ。現実の私は今でもその毒で眠らされているの」

それはアリスが小さい頃、姉に読んでもらった「白雪姫」のような話だった。

「私がこの世界に来た時も、この世界の私のお母さんは毒リンゴで私を殺そうとした。でもこれは私の夢だから、王子様を呼んで助けてもらったの。そして二人でこの国をここまで育て上げたわ」

 確かに、夢の中であればあの物語の奇跡的な出会いも任意で実現できる。彼女は自らの力で、白雪姫の物語を作り上げたのだ。きっと、その王子様とやらも白雪が作ったに違いない。アリスはそう考えた。

「私は幸せだった。世界一美しいことがこんなに幸せだなんて思わなかったわ! でもたった今、あなたが私の目の前に現れた。だったら私のお母さんがやったみたいに、そして私の思い通りに、苦しませて殺してやる! 私はそうやって世界を動かすのよ!」

 言い終えると同時に白雪が何もない空間を掴むと、アリスは首を掴まれたように息ができなくなり、宙に浮き始めた。ついに白雪が夢の力をアリスに使ったのだ。

 おそらく周囲の兵士達も白雪に操られているのだろう。先ほどの命令に対する素早い対応も、ここまで暴走した白雪を誰も止めないことも、今の状況のすべてがそれを証明していた。

「この国では殺しは禁止しているわ。死ぬことは美しくないもの。でも一つだけ例外があるわ。それは、私より……」

 アリスが高く掴み上げられ、銃口が白雪に向く位置まで上昇した瞬間、彼女は最後の力で引き金を引いた。

「あなたより美しいのが、私で悪かったわね……」

 アリスもまた自らの夢の力を使い、わずかに軌道の逸れた弾を白雪に誘導した。はっきりとは思い出せないが、確かジルと初めて会った時も自分は白雪のような状態だったのだろう。

アリスは、過去の自分を撃ち殺した。

白雪はアリスに直接力を使ったせいで、反撃の可能性を忘れていたのだ。斜め上から心臓を貫かれた白雪は、その顔から血色を失い、やがてガラスが割れるように四方に分散し、そして消えた。

「あなたみたいな人が、私の世界に手を出すんじゃないわよ」

 白雪の力から解放され、床に落とされたアリスの目は、かつて第三の女王だった時と同じ、冷たい闇に満ちていた。

「せめて現実のあなたが、無事なことを願うわ」

 ようやく充分な呼吸を戻したアリスは、たった一言だけ付け加えて、部屋を出ようとした。

その瞬間。アリスが自分が入ってきた扉に触れようとした瞬間に、天井が崩れ始めた。

「まさか、これって!」

 兵士だけではない。この城すべてが白雪の夢だったのだ。この世界の白雪が死んだことで、彼女の夢が文字通り崩れ始めたのだ。

 アリスは異臭のしなくなったリンゴを投げ捨て、動かなくなった兵士の手から銃剣の剣を奪い、扉をいくつも突き破るようにして城から抜け出した。最初にここに来た時、その全体の色は見ていなかったが、黒いシミの付いたような灰色の石材が次々に崩れ落ちていくのを、アリスは脱出と同時に振り返って見た。そして再び城下町を見ると、先ほどまで活気に満ち溢れていた町はその色を失い、すべての建造物や物が、国民さえも展示台から落ちた石膏像のように崩れ始めた。

 アリスは崩壊する国の中で、最後に命を賭けた男の名前を叫んだ。

「ジルー! どこにいるの! お願い、いたら返事をして!」

 しかしその声は、城の崩れる轟音にかき消され、誰にも、もしかしたら彼だけが生き残っているかもしれないジルにさえ届かなかっただろう。

 それでもアリスは何度も叫び続けた。しかし返事が来ることはなかった。やがてすべての物が壊れ、音のなくなった国にも、響いたのはジルを呼ぶ少女の声だけだった。

 考えてみればそもそもジルは生きているはずがないのだ。彼は地下牢に連行された。あの城に地下牢があるなら、白雪の力は地下にまで及んでいたはずだ。ならばあの大崩落の中、彼が無事でいる確率は間違いなくゼロだった。


 ――ただし、この世界が二人の夢でなければ。


 登場から一時間と待たず決着。夢の世界もなかなか忙しいですね。そして何やら国中が大変なことになってます。きっと夢から覚めたらその夢の跡地はこんな風になっているのではないでしょうか。特に月曜日の朝なんかこんな感じだと思います。

 あと、白雪は今作初の日本人設定です。多分アリスやジルは海外の出身なのでまず言葉の壁があると思いますが、そこはほら、夢なんで。そのうち登場人物一覧とか作りたいですね。

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