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合鍵  作者: 歌月碧威
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エピローグ

んー、そろそろだと思うんだけどな~。

私は白い皮のソファに座りながら、先に見てて良いよと海に言われたDVDを見ていた。

やけに大きいそのテレビは壁掛けになってあり、広い室内をより広く見せてくれている。

部屋にはあまり物がないから、余計広く感じるのかも。


室内をぱっと見てわかるのはテーブルにソファ、それから窓辺の観葉植物と壁側にあるシルバーのラックに収納されたDVDやCDそれにコンポ。あとダークブラウンの扉のついたラックぐらいだ。

全体的に生活感がない印象を受ける。

きっちり掃除だってされてるし。


そういえば、一緒に住んでいた頃の海の部屋もそうだったっけ。

時々ふとした些細な事で思い出す。

まだ海と一緒に住んでいた時のことを。

あれから結構経つんだけどなぁ……


ここは海の住んでいるマンション。

私は海に合鍵を貰ってこうしてたまに夕食なんかを作りに来ている。


あの時のお兄ちゃんの話し合いで、私達はばらばらに暮らす事になった。

お兄ちゃん達がうちに引っ越してきると同時に、海は啓吾さん所有のマンションへ。


その上「交際を考えてくれる」って言って言っていたお兄ちゃんがまさかの反対声明を発表。

妨害工作なんかも始めちゃったりして、私達は会える時間が減ってしまっている。

とりあえず妨害工作その一、門限をもっと遅くして欲しい。

だって、門限7時って早くない?

私、高校生なのに。せめて7時30分がいい。


「桜音」

あっ。帰って来たっ!!

玄関から私の事を呼ぶ聞こえてきた声に、慌てて立ち上がるとその声の方へと向かい走ったけど、どうやらあっちの方が早かったらしい。

扉を開け入室してきたこの部屋の主によって、私は抱きしめられてしまった。

そのため、「お帰りなさい」という言葉をのみ込んでしまう。


「ただいま」

「おかえりなさい」

私も海の背に手を回し、その体を抱きしめた。

しばらくするとゆっくり拘束が解かれたので、私も回していた手の力を緩める。

すると頬に海の手が添えられ、唇にキスを落とされた。

うっ、この新婚さん的な感じはまだ慣れないよ~っ!!


「久しぶりの桜音とのキスだな」

あれ?久しぶりって、昨日いっぱいしたような気がするんだけど……?

私はその言葉に首を傾げる。


「昨日したよね?」

「あぁ、でも今日はまだしてないだろ」

ほら、やっぱり昨日したじゃん。

私は日ごろ疑問に思っている事を海に聞いてみた。


「もしかして、海ってキス魔?」

「どうだろうな?でもそれは、桜音が可愛くてしょうがないからだぞ」

「私の事可愛いって言うの、それ海だけだよ」

だって私、可愛くないもん。

そりょあ、好きな人に可愛いって言われると嬉しい。

でも、みくもそうだけど私より遥かに可愛い子がいっぱいいし。


「……いや、少なくても二人は知ってる。しかもあいつらあきらめてないし」

海はなぜか忌々しそうに顔を歪めた。


「えっ?誰?」

「教えない」

海はそう言うと、私を抱き上げソファへと座らせると自分もその隣に座った。

誰だろう?私の事可愛いって言ってくれた人って。


「ねぇ、誰?」

「教えない。桜音は俺のだから」

そう言って私を抱き寄せる海に思わず笑ってしまう。

海ってば、またやきもち妬いてる。

そんな風にやきもち妬く必要なんてないのに。

だって私は――


「ねぇ、海」

「ん?なんだ?」

私は海においでおいでと手まねきをする。

そして屈みこんだ海の耳元で「大好き」と囁いた。

しばらく茫然としていた海だったけど、現状が把握出来たのか急速に顔が赤くなっていく。

わ~、耳まで真っ赤だ。

たぶん、私も同じぐらい赤くなってると思うけど。


「桜音、俺も大好きだ!!」

ガバッと海に抱きしめられ、私は海と一緒に過ごしてきた日のことを思い出していた。

最初にうちの玄関であった時のことや告白された時のこととか。

きっとあの時海と同居しなかったら、こんな風な未来は描けなかったと思う。

シンデレラのガラスの靴じゃないけど、あの合鍵は私達にとってお互いを繋いでくれた大切なものだったのかもしれない。

今はその合鍵は無くなってしまったけど、私達はもう大丈夫。

きっとそれが無くても、二人ずっと一緒にいられるから――






*あとがき*

ここまで合鍵にお付き合いして下さった方々ありがとうございました<(_ _)>

これにて本編は完結です。もちろん、番外編は書きますよ~。


感想を下さった方、お気に入りに入れて下さった方、読んで下さった方

本当にありがとうございました。

特に感想を下さった方一人一人の名前を出してお礼が言いたいんですが、

差しさわりがあると悪いので控えます^^;

自分の書いているものに反応があるっていう事がこんなに嬉しいんだ

っていう事を知りました。


自分の文章があまりにも稚拙すぎてどうしても他の人と比べてしまい、

何度か落ち込んで書くのをストップしようかなって思った事もあったけど、

完結出来て良かったです。



本当にありがとうございました。



2010・11・28

歌月 碧威






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