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合鍵  作者: 歌月碧威
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Happy Halloween☆ 狼さんの正体は? (前編)

10月と言えばハロウィン。

という事で、碧威から読んでくれている人達にお礼番外編UPです。



*過去です(桜音・海一年の時)



――あ。ここまで聞こえちゃってるよ。


しーんと静まりかえっている廊下から、窓の外へと顔を出し上を見上げる。

私が見ているのはここの三階上、つまり五階だ。

五階は家庭科室や被服室などがあるんだけど、この笑い声はたぶん家庭科室から聞こえてくるものだと思う。


しょうがないよね、すっごく盛り上がってるもん。

でも、少し声落とさないと先生に怒られちゃうかも。


家庭科室では、ハロウィンパーティーの真っ最中。

もちろんハロウィンという事で、ちゃんとコスプレもあり!!


衣装提供は被服部と演劇部で、お菓子は家庭部提供。

最初は三つの部活だけだったんだけど、どっからか話を聞きつけ乱入者が続出。

そのため飲食費300円の会費制とし、誰でも参加自由にしたのだ。


さすがに食べ物も飲み物も足りないので、コンビニに買い出しに行っている。

だから大人数になってしまったので、家庭科室の声がここまで届くのかもしれない。


私も早くこれ届けてパーティーに戻ろうっと。

ちらりと手に持っている籠に目を向けると、足を速めた。

籠の中には一切れずつ切られたパンプキンケーキが入っている。

これは家庭部の手作りで、先生達へと渡すもの。


私はこれを家庭部の先輩に頼まれて、職員室に持っていく途中なのだ。

一人じゃなくみくも一緒だったんだけど、みくは途中で友達と会っちゃっておしゃべり中。


「――赤ずきんちゃん」

「え?」


突然聞こえた男の人の声に思わず体がビクつき、足を止めてしまった。

だって放課後だからか、廊下には誰も居なく静かなんだもん。

それに、何か口調が冗談半分でからかっているみたいだったから。

おそるおそる振り返ると、いつの間にか制服を着崩した二人の男が立っていた。


誰っ!?

顔を見ても相手は誰だかわからない。

ただその人達の態度や服装から、ちょっとガラが悪いように感じる。


スニーカーのラインの色が赤だから、三年生だよね。

その人達を見て、それ以外の情報がない。

ただ、ニヤ付いている二人の雰囲気にマズイって事はわかる。


こんな格好をしているせい!?

私の今の格好は、あかずきんちゃん。

これは演劇部に借りた衣装でハロウィンパーティーのために着ていたのだ。


みくを待ってれば良かった……

ただただ後悔だけが襲ってくる。


――こうなったら逃げよう。それしかない。


巻き込まれないように咄嗟に走り出すと、後ろから追いかけてくる。

なんでついてくるの~!!

涙目になりながら、必死で走るものの、腕を掴まれ掴まってしまう。


「は、離して下さい!!」

「え~、なんで?」

「ダメだよ~、赤ずきんちゃん。こんな所を歩いていると、悪いオオカミさんに食べられちゃうよ?」

肩とか二人に馴れ馴れしくベタベタ触られ、嫌悪感で気持ちが悪い。

その上恐怖心で体が震えてきてしまった。


「どうしたの~?震えちゃって可愛い」

腕を掴んでいる奴が、ニヤニヤと笑いながら聞いてくる。

逃げなきゃと思うけど、体が自由に動かない。


――涼、みく助けて!!


ギュッと目を瞑り心の中で叫ぶ。

涼は家庭科室でパーティーに参加中だし、みくは友達と談笑中。

だからここには来る可能性は少ない。

それでも、私はなぜか助けを求めてしまっていた。


「桜音!!」

突然聞こえてきたその声に、先輩達が私の腕や肩から手が離れる。


――え?


声の方向を見ると、オオカミさんが立っていた。

正確にはオオカミのキグルミを着た人だけど……


誰?もしかして、パーティーの参加者?

声の主に思い当たる人がいない。


オオカミさんは私の方へ来ると、先輩の前に立ちはだかってくれた。

どうやらオオカミさんは私を守ってくれるよう。


「なんだよ、お前」

「オオカミのくせに王子気どり?」

先輩達は私からターゲットをオオカミさんに変え、絡み始めてしまう。


えっ、どうしよう!?オオカミさんが危ない!!

みくみたいに空手とか習ってたら助ける事が出来るかもしれないけど、私じゃ足手まといにしかならないよ。

どうしたらいいかわからずただ見ていると、オオカミさんが手であっちに行けと合図をしていた。


……でもっ!!


迷ったけど、私はオオカミさんのいう通り走った。

私に出来る事はない。


すぐに先生を呼んで来なきゃ!!











ここまで読んで下さってありがとうございました~。

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