第二十八話 サプライズプレゼント
海の誕生日パーティーも中盤となりかけた頃。
パーティー会場にある五人は座れるような大きいソファ。
そこを囲むようにして、今回集まった人達が全員集結していた。
みんなが注目しているのは、ソファに座っている海の手元。
それはシルバーの紙でラッピングされたノートぐらいのサイズの物体を、海が綺麗に包装をはずしているところだった。
ただ今、みんなで海にプレゼント渡しタイム中なのだ。
用意されたテーブルの上には、今まで開けられたプレゼントの品々が並べられている。それは香水や、デジタルフォトフレームなど様々な品物が並んでいる。
ちなみに海が開けているのは、日下部君が海に送ったプレゼント。
この渡す順番は何を基準にして決めたのかわかんないけど、司会進行役の日下部君によって決められていた。
私の順番は日下部君の次でラストなんだって。
日下部君、何を送ったんだろう?
みんなと一緒に、私も海の手元を好奇心に満ちた目でみていた。
少しずつ覆われた物が取られていき、中に包まれていたものが現れ始める。
……え。
完全に中身の見えたプレゼントの品物に、私は思わず動きが止まった。
「あっ、写真集じゃん!!」
花柄のサロペット姿の女の子の声に、私はこれが現実なんだと改めて認識した。
赤いレトロ風なワンピースに黄色のベルト姿の女の子が、シャボン玉を膨らましている表紙。
これがただの写真集ならいい。
これは――
「しかも、姫の写真集だ~。可愛い」
「本当だ。すげぇな、いつ撮ったんだ?日下部」
言わないで~っ!!
そう。この表紙の女の子は、私。
日下部君に頼まれて被写体の練習になった時に撮られたものだ。
「返して!!」
海からとり上げようとしたんだけど、海の方がすばやかった。
私と反対の方に写真集を移動させたのだ。
その上、それを阻止しようとして身を乗り出した私の両手は海の左手によって拘束されてしまう。
「駄目。これは俺が貰ったんだから、俺のもの」
そんな事言われても、本人が知らない間に作られてたんだよ?
著作権侵害とかになると思う!!
「そんなもの燃やしてよ」
「何言ってるんだ。燃やすなんて勿体ないだろ。それにしても可愛いな。あの時これを撮っていたのか?」
海はソファに写真集を置き、右手でページをめくっていく。
その表情はどこか嬉しそうだ。
「ちょっ、見ちゃだめだってば!!」
あ~っ、もう!!
こんなことになるのがわかってれば、被写体の練習になんて絶対にならなかったのにーっ!!