第十六話 秘密の崩壊
私のばか~~っ!!なんで寝ちゃったのよ!!
赤面する顔を手で覆いながら、激しくあの時寝てしまった事をものすごく後悔していた。
もう嫌だ。穴があったら入りたい。
みくが中庭で見たのは、海にお姫様だっこされる私だったらしい。
毎回思うけど、なんで私って一度寝るとなかなか起きないの?
この間だってリビングのソファで寝ちゃって、そのまま海に部屋に運ばれちゃってたし。
今度からその辺で気軽に寝ないようにしなきゃ!!
って毎回思うんだけど、眠気には勝てない。
だめすぎるよ、私……
「普通そんな光景見たら、言葉も忘れ茫然と見るじゃん?それなのにあの王子め!!アタシに気づくと『そこでぼーっと突っ立ってるのなら、悪いが飲み物買ってきてくれないか?できれば、スポーツドリンク』って言ったのよ!?大体、なんでアタシが買ってこなくちゃなんないの!?自分で買いに行けよって話でしょうが!!……まぁ、結局なんだかんだあって行ったけど」
みくはテーブルの上にあったタルトの苺に、フォークをざくっと突き刺すとそれを口の中に入れた。
なんだろう?食べてるだけなんだけど、ちょっと怖い。
「もしかして、さっき言ってたパシリにされたってその事?」
「そうよ。あんた寝起きに飲んだでしょ?ちなみにあんときアタシが食べてたアイス、あれあいつの奢り。アタシの分も買ってきて良いって言われたから」
「えぇっ!?あれ海の奢りだったの!?」
写真部の部室で目を覚ました時、みくがペットボトルを渡してくれた。
寝起きだったからか、すっごく喉乾いてて美味しかったから覚えてる。
まさか、あれが海の奢りだなんて……
てっきりみくのお奢りだと思ってた。だって「お金払うよ」って言ったら、「奢りだからいい」って言ってたんだもん。
後で海にお礼言わなきゃ。
「最初はあいつがなんで桜音を気にかけるのかわからなかった。でも部室に行ってから、あいつが桜音の事を好きだってわかったのよ」
「どうし――」
「ただいま」
どうして?と聞こうとしたんだけど、玄関先から聞こえてきたその声に血の気が引き、言葉が出なかった。
「なんか今の声って……――」
「ごめん!!ちょっと待ってて!!」
なんで!?なんで帰ってくるの!?
まだ部活中のはずなのに、海が帰ってきてしまったようだ。
こうなったら少しだけどっかで時間つぶしてもらうか、二階に上がってて貰おう。
そう思って慌てて立ち上がった瞬間、足に激痛が走ってしまった。
「ちょっと大丈夫!?」
右足を押さえてしゃがみ込んでしまった私を見て、みくは慌てて私の傍まできてくれた。
「……平気」
「平気じゃないでしょ!!あんた捻挫してんのに、普通に体重かけて立ち上がるなんて」
痛い。痛いけど、海がこっちに来ちゃうかもしれない。
なんとか玄関に行かなきゃ。
そう思って、もう一度立ち上がろうとした時だった。
リビングのドアが開かれたのは――