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合鍵  作者: 歌月碧威
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Special Thanks小説 後編 

後編は少し長めです(-_-;)


*ネタばれになるかもしれませんが、この二人本編では今のところ、クリスマスを一緒に過ごせない(予定)かもしれないのでパラレルと考えて下さい。

さっきまで月明かりだけが頼りだったが、今は室内を人口の光りが包んでくれている。

俺と桜音は対面するようにして、ベットの上に座っていた。


「海の馬鹿〜っ!!あ、あんなキスするなんて!!」

桜音は顔を真っ赤にしながら半泣きでこっちを睨んでいる。

正直怖くない。むしろ可愛いらしい。


「悪かった」

その可愛さに思わず抱きしめたい衝動をなんとか抑え、謝罪の言葉を述べた。

俺は夢の中で涼と桜音がキスしていたと思ったのだが、どうやらそれは違ったらしい。

あの後桜音を問いただして夢の内容を聞き出すと、俺の勘違いだった。


『涼がいるから、ちゅーはダメなの。だからダメだってば、海』


これが正しい桜音の寝言。

どうやら桜音の夢の中の俺は、涼の前で桜音に迫っていたようだ。

「本当にごめん。寝言だから所々しか聞き取れなかったんだ」

「やきもちやき」

やきもちなら可愛いが、俺のは醜い嫉妬だ。

桜音の事になると冷静じゃいられなくなってしまう。

桜音が夢の内容を覚えてたから良かったものを、覚えてなかった何してたんだろ……


「でも、どうして私の部屋にいるの?」

「ああ、あれだ」

枕もとに置いてある紙袋に視線を向けると、桜音がそれを取った。

「もしかしてこれって――」

「ああ。クリスマスプレゼント」

「開けていい?」

俺が頷いたのを確認すると、紙袋から箱を取り出しそれを開ける。

すると、中からハート型のジュエリーボックスが出てきた。

ジュエリーボックスの中には、ハートモチーフのネックレスとブレスレットが入っている。


「どうしてわかったの!?」

クリスマス限定ジュエリーセット。

桜音の欲しいものなら、リサーチ済みだ。


「気にいってくれたか?」

「うん!!ありがとう」

大事そうにボックスを眺める桜音を見て、ほっと胸をなでおろす。

良かった……バイトしたかいがあった。

今回の情報源は佐々木でいろいろ面倒だったが、桜音の喜ぶ顔によって苦労が報われた。


「でもどうしよう……私、まだ心の準備が出来てない……」

桜音の顔が曇ってきた。一体心の準備って何を言ってるんだ?

「でも遅かれ早かれだし……」

桜音は何かブツブツ言うと、クローゼットを開け何か取り出すとこっちに戻ってきた。

手にはツリーやトナカイが描かれているクリスマス仕様の紙袋をもっている。


「はい。メリークリスマス」

「ありがとう」

差し出されたものを受けとり、桜音を抱きしめ場所を変えながらキスをおとす。

「もうっ、海!!」

桜音に貰えるものはなんでも嬉しい。たとえ貰えなくても一緒にいてくれるだけでいい。

「あのね……プレゼントっていうか、もう一つあるの」

まだキスし足りないのに、桜音に唇を手で塞がれてしまった。


「少し目を瞑ってて。いいって言うまで絶対開けちゃダメだからね!!」

「わかった」

だが俺は、この数秒後に起こる出来事によってこの約束を破ってしまう。



両頬に桜音の手の存在を感じると、唇になにか柔らかいものが触れた。

もしかして今のは――


「……好き」


これはクリスマスの奇跡か?

桜音が好きって言ってくれたうえに、初めてキスしてくれたなんて!!


「桜音、こっち見て」

顔を見られたくないのか、桜音は俺の胸に顔をうずめるようにして隠している。

顔、この上なく赤いんだろうな。耳まで真っ赤だし。

抱きしめると、桜音も手をまわして抱きしめ返してくれた。

相変わらず顔は見せてくれないが。

幸せすぎる―― 一年前はこんな事考えられなかったのに。


「クリスマス、一緒に楽しもうな」

「……うん」

俺達の初めてのクリスマスは、始まったばかりだ。














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