番外編 ☆Happy Halloween☆ 前編
10月なので、企画物を。
よし、4つめ完成!!
シャープペンを苺の形をしたメモから離し、それを半分に畳んでからまた半分に畳む。
そしてそれをペンケースの隣りに置いてある、某キャラクターの描かれた缶の中へと入れた。
缶の中を覗くと、同じように畳まれた紙が丁度4つばかり入っているのが見える。
その折りたたまれたメモの中には、『ある事』が書かれていて、内容は全部バラバラ。
ん~。4つかぁ……もう少し増やして、5つにしようかな?選択肢多い方が良いと思うし。
ぼんやりと缶を見つめながらいろいろと考えていると、私の座席の前の椅子がガタガタと揺れ動く音が耳に届いてきた。
音と一緒にふんわりとムスク系の香りが漂ってきている。
この良い香りの香水は――
「みくっ!!」
みくは椅子に斜めに座りながら腕を組んでこっちを見ていた。
左手の薬指に嵌められてあるものが教室のライトに反射して、輝いている。
それは猫をモチーフにした指輪。
「桜音。あんた、何してんのよ?」
「ん?これ?これね、今日はハロウィンだから準備」
「準備?」
「うん。ハロウィンってお菓子を持ってないと悪戯出来るじゃん。それでその悪戯を決めるのに、くじ式にしようかな~って。罰ゲーム感覚にさ。ほら、海ってお菓子持ってなさそうでしょ?」
海は普段からお菓子を持参してない。
キャンディーやガムすらも。
なんか、甘いのが苦手なんだって。
でも、口の中に尾を引かない甘さのレベルなら大丈夫みたい。
だから私が作って海に渡すのは、ちゃんと甘さを抑えたちょっとビタータイプのお菓子ばかり。
「あ~、今日ってハロウィンか」
「うん」
今日はハロウィン。
今年は海の家で学校の課題をしながらハロウィンを楽しむ予定なんだ。
別にパーティーとかそういう大きな事はしないよ?
ただおやつにカボチャのパイ食べたり、ハロウィンパッケージのお茶を飲んだりして、ちょっとだけハロウィンを楽しもうかなって考えてるんだ。
「んで?どんな悪戯するの?」
「ん~とね、3分間くすぐられる刑とか」
「……。」
みくが口を固く結んだまま、頬杖をつきながらこっちをじっと見ている。
それに対し、すごく居た堪れなくなった。
「え?駄目……?」
「っうか、それって色気なさすぎだろ」
「ハロウィンに色気って関係なくない?」
首を傾げながらみくを見つめると、深くため息をはかれた。
えっ?なんで?
ハロウィンと色気について考えていると、「逢月さん」と遠くから名前を呼ばれ一瞬思考が停止した。
なんだろう?
その声のした方向に視線を移すと、それは教室のドア付近。
ちょうど開け放たれているドアの前に、同じクラスの翠ちゃんとA組のさゆりちゃんが立っていた。
――あー。もしかして、教科書でも忘れたのかも。
「ごめん、みく。ちょっと行くね」
私はみくにそう断ると席を立った。
まさか、この行動が後に激しく後悔することになるとは知らずに――