『霊魂不滅里』 ~第1部 とある夏の幻想~ 1話
―宿泊学習での帰りに見た、あの祠。
あれからというもの、俺はあの祠のことがずっと気にかかっていた。
色々と調べては見たものの、祠についてはいまひとつ情報を得られなかった。
クラスの人も、ほとんどが眠っていたし、起きてた人も他の人とおしゃべりしていたので、誰一人として見た人はいなかった。
そこで、俺は夏休みの始めに、あの祠に行ってみることにした。
テストも終わり、いよいよ明日から夏休みが始まる。
特に家族旅行などの予定はなかったので、夏休み初日に行くことにしていた。
「・・・おーい、はじめー」
『始』。俺のことだ
「ん?」
帰り際、なじみ深い声に名前を呼ばれたので、後ろを振り返った。
『瑠東志郎』。同じクラスの男子。家が近く、幼稚園からの腐れ縁だ。
「よかった、まだ帰ってなかったかー」
「ああ、ちょっと先生に聞きたいことあってな。今から帰るとこだ」
「例の〝祠〟のことか?」
「あぁ、覚えてたのか」
一応こいつにも聞いてみたが、その時は爆睡していたらしい。
「まぁ、授業中も寝てるしな・・・」
「ん?なんかいった?」
「いや・・・別に・・・」
そんな他愛もない話をしながら、帰路についていた。
「そういえば、始は進路とか決めてんの?」
「いや、まだ・・・」
「え、お前大丈夫なの?だってそろそろ固めておかないとやばいのでは?」
「いやまぁそうだけど・・・」
俺たちは将来に向けてそろそろ進む先を決めなければいけない。
・・・のだが、俺は将来の夢というものが今のところないのだ。
「お前は親父さんの仕事継ぐんだったよな?卒業したらどうすんだ?」
「一応俺は大学行こうと思ってるよ。親父からも「お前の人生だ。行きたい道を選べ」って、言われてるしね」
志郎の実家は豆腐屋を営んでいる。その豆腐は人気が高く、他の町からお客さんが来るほどだ。
「将来・・・か・・・」
「んじゃ!よい夏休みをー!」
「おう。じゃあな」
志郎と別れを告げ、家に帰宅した。
「ただいまー」
「あっ、お兄ちゃん。おかえりー」
家に帰り、リビングへ向かうと妹がプリンを食べながらくつろいでいた。
うちは、両親共働きで、、この時間帯は二人ともいないので、家には妹しかいなかった。
「あれ、真紀はどっか出かけたりしないのか?」
妹の真紀は、俺の3歳下の中学2年生だ。
よく仲がよいといわれる。実際自分でもそう思う。
そんな妹は、一昨日夏休みに入ったばかりだ。
「んー?別に今日は予定はないよー。でもなんで?
・・・あっ!もしかして私とデートしたいの~?」
真紀は、持っていたスプーンをこっちに向けて、空中に円をかきながらからからかうようにいった。
「違いますー、なんとなく聞いてみただけだ」
「またまた~照れ隠しがご上手なようで」
「はいはい、ありがとうございます」
「も~、冷たいなぁ~」
「はいはい、すいませんでした」
そんな会話をしながら、俺はある質問をした。
「そういえば真紀って、将来の夢とかあるのか?」
「あるよー」
「へー、何?」
「イラストレーター」
「あぁー、お前絵うまいしな。真紀ならきっとなれるな」
「どもども。で、お兄ちゃんは?」
「俺は・・・」
「え!?まさかまだ決まってないの?そろそろ決めないとまずいんじゃない?大学とかさぁ」
「わかっちゃいるんだけどさぁ・・・」
「んー、でもまぁお兄ちゃんなら大丈夫そうだよね。頭もそこそこだし」
「・・・なんかその言われ方やだな」
妹との会話を終えると自分の部屋に入った。
そのまま着替えもせずに、ベッドに横たわった。
「将来何してるんだろうな・・・俺・・・」
俺はそのまま眠りについてしまった。
お久っす
どもども。
やっと1話
長かったあね
これから月1で出すから。うん。
以上。