帰り道のノスタルジアワルツ
人身事故…か。
わたしは
何故か
ふと人身事故をした人を思った。
そして、その場面に出くわした人々の
気持ちを考えてみたりして
自殺かな〜?
いや。この時間なら酔っ払いの
おじさんが落ちたのかも。
大変だなぁ…
とか考えたりして、
結局その線は自分の使っている
線ではなくヨカッタと思っているのだが。
「次は 冬米〜 冬米〜」
液晶では
NEXT FUYUGOMEの文字が
映ったり消えたり
もう2年経つのか…
私は巻いていたマフラーを
口元まであげた
2年前、私に彼氏ができた。
始めての彼氏だった訳じゃない。
特別イケメンで、優しくて
という訳でもない。
さみしかったのかもしれない。
彼氏がただ欲しかったのかもしれない。
ただただ真っ直ぐな人だと思い、
惹かれた
どんどん好きになって
大好きになって
彼を”愛している”んじゃないか
と思えるくらいだった。
私は寂しいとか言って
彼を困らせた。
本音半分に
困った顔がみたいの半分
彼はいつも私を
”大好き”でいてくれた
私がこう言えるくらい。
”愛し”ていたのかは
分からないけど。
そして私達は
大きな間違いを
犯して しまったのだ。
夏休みも終わり
熱もさめた秋雨の日。
私達は
たわいない事でケンカをした。
その日、彼は
私がさみしく笑っても
笑わずに、困らずに黙っていた。
駅までの一人ぽっちの道で
何度私が振り返ったかわからない。
君が
追いかけて来てくれる気がして。
その翌日
待ってましたとばかりに
私はフラれまして。
ボロボロに泣いて
ボロボロになって
きゃーきゃーいいながら
二人乗りした事とか
都心にお出かけした事とか
プリクラの笑顔とか
冬米で告白されたこととか
思い出の思い出せるだけ全てを
ひっぱりだしてきて
たくさん浸って寝ていた
夜中に目覚めると
携帯にメールが一件入っていて
「幸せになれ。」
最後に見た君の
泣き笑顔を思い出した
「ドアが閉まります。
ご注意ください。」
私は目を開けた
次は私の降りる駅だ。
今日はたくさんいい事あったな
あ、けど、明日ニガテな教科のテストだ
予備校の勉強もしなきゃ。
歩いてる帰り道
星がよく見えて
上を向きながら歩いて
やっぱり冬の空はいいな。
なんて考えたりして
あ、ワルツだ。
イヤホンから流れる
そのワルツに合わせながら
歩いてみたりする。
ノスタルジアなかえりみち。
寒い風が私のスカートを揺らした。
気付いたら思い出している
そんな追憶を
ワルツにして
私は踊るの。