無事に訓練兵に登用~初陣
なんでも直接皇都に向かって竜騎兵や、海からは艦隊が来ているらしい、ここ数年なかった動きで、余裕があった位置で索敵出来たのに半ば奇襲を受けた様に、指揮は混乱したらしい。
そんな状態で言い渡されたのは、城の警護、はっきり言おう貧乏籤である。主力は確実に来るし、俺はともかく周りも新兵同然、挙げ句指揮官はこんな最重要な位置に昨日一昨日まで訓練兵だった奴らを置くんだ、無能だろう。
なんでも正規兵は国境に置いていたらしく、早急に集められたのは俺等みたいなのと、実力があるのがちょっとである
何でこの国10年も戦えたの?
「カイト、初陣が劣勢だなんて、逆に幸運かもよ?」
横に立っているこの男、名をライト=スパージュと言い金髪をショートに切りそろえていて、目は切れ長でそれでいて優しげな雰囲気を匂わせる、貴族の次男で、そんな王子様系美男子も今は新兵である
「おたくさんは立身出世にガツガツしてるから、そんなことが言える、俺は訓練とカンタンな戦闘で固定給貰えれば充分。現状に満足してんのに何でこんな危険地帯に・・・はぁ」
城は断崖絶壁を背に建っている皇都は港も兼ねていて、竜騎兵はともかく自ずと帝国の侵攻は正面に絞られる、俺らはそんな城の正門前で待機している
どう考えても敵の主戦力と当たる、というこの状況に周りの士気は恐ろしい程低い
「でも、ここまで来たら戦った方がいいんじゃない?」
「あぁ、そうだな。むしろ多額の報酬を貰って楽な暮らしをしよう、そうしよう」
そうだ、何でもポジティブシンキングが一番だ
ならば、この訓練兵共を有効利用しようじゃないか
「おい」
横にいる笑顔王子様系に言う
「なんだい?」
「とりあえず、今から見たことは広めんなよ?、あんま期待しないいが」
「???」
少し、周りと距離をとって構える
体内を循環している魔素を、属性変換し体外に顕現させる、現れたのは、アカい炎だ。体表から滲むように出てくるとアカい奔流となって体を取り巻いて螺旋となって数秒、体の左右に延びる
こう言うのは、出来るだけ派手な方がいい
同時に属性に変換していない魔力を体表から全方位に放出すると体は重力に逆らって浮上する
さて、体は遂に地表20mまで浮上し、アカい奔流は一対の翼となった。
訓練兵達だけではない正門前に集まった群集の視線を集まる
その場の喧騒は驚愕によって静粛に包まれる、
「この場に集まりし、」
更に体内から単純な魔力を顕現して散布する、それは彼等の体に高揚を与えるモノだ、本来は身体能力を上昇させるだけだが結果的には、体力が漲ることで高揚する
「皇国の勇士達よ、我は炎の神だ。
人の身において、誇り高き竜の眷族を謀り、聖なる海を穢すその身に余りある咎を以て暴徒と化した帝国に神罰を、
この国が、勇士達がその清き心によって、その勇ましき剣によってこの神罰の傍らに寄り添い共に戦うというのならば。
」
何人は落ち着いて身体強化に気付いてるみたいだが、諦観してる…か
「与えよう!栄華を!、繁栄を!平和を!太平を!、そして絶対的な勝利を!」
最後に、頭上に全長20mのアオい炎を権限すると、帝国側に向けて放つ
帝国の騎竜や地上を行く兵達をも巻き込んで燃え盛っていく、炎が晴れると、そこにはこちらに向かって来ていた第一陣が灰になっていた
やべぇ、最後のあたり自分でも何言ってるかわかんなかった、トチったか?
「「「「「…うおぉぉぉっっっ!!!」」」」」




