木琴
広島の夏は、8月6日なしでは語れない。この日は平和記念日であり、平和記念公園で平和祈念式典が行われる。というのは、1945年のその日、8月6日に、原子爆弾が投下され、多くの人の命が失われたからだ。この日は平和について考える日で、テレビでの生中継が行われる。
それは、夏休みの広島市のとある小学校での話だ。明は小学校6年生。広島市出身で、実家はお好み焼き屋だ。明は朝から友達と遊んでいた。長い夏休みだ。宿題があるけれど、長い夏休みを思いっきり楽しもう。そして、9月を笑顔で迎えよう。
「知ってるか?」
「何?」
友だちの1人、一郎が声をかけた。明は首をかしげた。何だろう。何かのうわさだろうか?
「夏休みの朝、音楽室の近くを通りかかると、木琴の音が聞こえるんだぜ」
「本当?」
どうやら怪談話のようだ。明は全く興味がないが、こんなうわさがあると、朝に行ってみたくなる。秘密で一緒に行ってみようかな? それが何なのか、自分の目で確かめよう。
「うん」
一郎はびくびくしている。怖いようだ。だが、明は興味津々だ。怖くないんだろうか?
「なんか興味あるな。行ってみようかな?」
明は行こうと思っているらしい。じゃあ、一緒に行ってみようかな? 先生に見つからないように気をつけないと。
「わかった。一緒に行こう」
「うん」
明と一郎は明日の朝、音楽室に行ってみる事にした。あの音の正体は一体、何だろう。ちょっと怖いけれど、興味があるな。
明日の朝、明と一郎はこっそりと小学校に入った。音楽室は3階だ。できる限り音をたてないように、先生に見つからないように気をつけて向かおう。
明と一郎は3階にやって来た。その先には音楽室がある。音楽室は音楽の授業以外で入る事はあまりない。
明と一郎は音楽室の前にやって来た。音楽室は電気が消えている。本当に聞こえるんだろうか? とても疑問だ。
「ここか」
と、中なら何か音が聞こえる。それが噂の木琴の音だろうか?
「何だろう」
明はその音が何なのかわかった。これは木琴の音だ。一郎が言っていた、木琴の音って、これだろうか?
「あっ、聞こえる」
「本当だ!」
明と一郎は音楽室に入った。音楽室の壁には、ベートーヴェンやモーツァルトなど、有名な音楽家の絵画が飾られている。教卓の横には、ピアノがある。生徒の机といすの後ろには、様々な楽器があり、木琴もある。
明と一郎は木琴を見た。すると、木琴がひとりでに動いている。やっぱり噂は本当だった。
「えっ、ひとりでに動いてる・・・」
明は木琴に近づいた。すると、その木琴には、血が付いている。叩くたびに、血が付いていく。
「見ろ! 血だ!」
それを知って、明と一郎は音楽室から逃げていった。これは大変な事になりそうな気がしたからだ。
「にげろーーーーーーーーー!」
明と一郎は全速力で廊下を走り、下駄箱に向かった。早く行かないと。
明と一郎は学校の外に出た。2人は汗をかいている。全速力で走ってきたからだ。
「何だったんだ・・・」
「わからない・・・。もう近づかないようにしよう」
「そうだね」
明と一郎は決めた。夏休みの朝は音楽室に立ち寄らないようにしよう。
その夜、明はいつものように眠っていた。明は遊び疲れていた。午後からは勉強をして、ある程度夏休みの宿題を進めた。だが、まだまだ残っているのがある。それを早く終わらせないと。
「うーん・・・」
明は夢を見た。目を覚ますと、そこは古めかしい広島の風景だ。産業奨励館がしっかりと残っているので、1945年8月6日の前だと思われる。だが、明には全くわからなかった。
「あれっ、ここは?」
明は呆然としていた。ここはどこだろう。全くわからないな。見る限り、太田川の辺りだ。
と、明はドーム型の屋根の建物を見て、原爆ドームを思い出した。これが原爆ドームの被ばく前の姿だろうか?
「昔の広島だ!」
明は首をかしげた。どうしてこんな夢を見ているんだろうか?
「どうしてここに・・・」
と、明は空から落ちてくる何かを見つけた。それは光っている。一体それは何だろう。街を行く人々も見ている。
「あれっ、何か落ちてくる・・・」
ふと、明は思った。これは原子爆弾だろうか?
「ひょっとして、原爆?」
突然、まぶしい光に包まれた。これは何だろう。まさか、原爆が投下されたんだろうか? その後、すさまじい熱風が襲ってきた。
「うわっ・・・」
目を開けると、そこには地獄絵が広がっていた。街を行く人々は服も体もボロボロだ。とても生きていると思えない姿だ。
「な、何だ、この光景は。まるで地獄みたいだ!」
明は目を覚ました。あの夢は一体何だったんだろう。全く理解できないな。
「夢か・・・」
と、明は手が濡れている感覚を覚え、手を見た。
「あれっ・・・」
明の手には、血が付いている。ケガでもしたんだろうか? それとも、夢の中で血みどろになったんだろうか?
次の朝、明は一郎と遊んでいた。だが、一郎の様子がおかしい。どうしたんだろうか? まさか、一郎もあの夢を見たんだろうか?
「どうしたの?」
「今朝、手に血が付いてたんだよ。どうしてだろう」
明は驚いた。自分と同じ事が起きたとは。まさか、一郎も原爆投下の夢を見たんだろうか?
「まさか、明くんも原爆の夢を見た?」
「うん」
一郎はびくびくしている。まさか、明も同じ夢を見たとは。昨日の朝、音楽室に行ったから、こうなったのかな?
「えっ・・・」
2人は音楽室の方を見た。すると、血みどろの少女が見えた。まさか、あの少女だろうか?




