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木琴

作者: 口羽龍
掲載日:2026/07/19

 広島の夏は、8月6日なしでは語れない。この日は平和記念日であり、平和記念公園で平和祈念式典が行われる。というのは、1945年のその日、8月6日に、原子爆弾が投下され、多くの人の命が失われたからだ。この日は平和について考える日で、テレビでの生中継が行われる。


 それは、夏休みの広島市のとある小学校での話だ。明は小学校6年生。広島市出身で、実家はお好み焼き屋だ。明は朝から友達と遊んでいた。長い夏休みだ。宿題があるけれど、長い夏休みを思いっきり楽しもう。そして、9月を笑顔で迎えよう。


「知ってるか?」

「何?」


 友だちの1人、一郎が声をかけた。明は首をかしげた。何だろう。何かのうわさだろうか?


「夏休みの朝、音楽室の近くを通りかかると、木琴の音が聞こえるんだぜ」

「本当?」


 どうやら怪談話のようだ。明は全く興味がないが、こんなうわさがあると、朝に行ってみたくなる。秘密で一緒に行ってみようかな? それが何なのか、自分の目で確かめよう。


「うん」


 一郎はびくびくしている。怖いようだ。だが、明は興味津々だ。怖くないんだろうか?


「なんか興味あるな。行ってみようかな?」


 明は行こうと思っているらしい。じゃあ、一緒に行ってみようかな? 先生に見つからないように気をつけないと。


「わかった。一緒に行こう」

「うん」


 明と一郎は明日の朝、音楽室に行ってみる事にした。あの音の正体は一体、何だろう。ちょっと怖いけれど、興味があるな。




 明日の朝、明と一郎はこっそりと小学校に入った。音楽室は3階だ。できる限り音をたてないように、先生に見つからないように気をつけて向かおう。


 明と一郎は3階にやって来た。その先には音楽室がある。音楽室は音楽の授業以外で入る事はあまりない。


 明と一郎は音楽室の前にやって来た。音楽室は電気が消えている。本当に聞こえるんだろうか? とても疑問だ。


「ここか」


 と、中なら何か音が聞こえる。それが噂の木琴の音だろうか?


「何だろう」


 明はその音が何なのかわかった。これは木琴の音だ。一郎が言っていた、木琴の音って、これだろうか?


「あっ、聞こえる」

「本当だ!」


 明と一郎は音楽室に入った。音楽室の壁には、ベートーヴェンやモーツァルトなど、有名な音楽家の絵画が飾られている。教卓の横には、ピアノがある。生徒の机といすの後ろには、様々な楽器があり、木琴もある。


 明と一郎は木琴を見た。すると、木琴がひとりでに動いている。やっぱり噂は本当だった。


「えっ、ひとりでに動いてる・・・」


 明は木琴に近づいた。すると、その木琴には、血が付いている。叩くたびに、血が付いていく。


「見ろ! 血だ!」


 それを知って、明と一郎は音楽室から逃げていった。これは大変な事になりそうな気がしたからだ。


「にげろーーーーーーーーー!」


 明と一郎は全速力で廊下を走り、下駄箱に向かった。早く行かないと。


 明と一郎は学校の外に出た。2人は汗をかいている。全速力で走ってきたからだ。


「何だったんだ・・・」

「わからない・・・。もう近づかないようにしよう」

「そうだね」


 明と一郎は決めた。夏休みの朝は音楽室に立ち寄らないようにしよう。




 その夜、明はいつものように眠っていた。明は遊び疲れていた。午後からは勉強をして、ある程度夏休みの宿題を進めた。だが、まだまだ残っているのがある。それを早く終わらせないと。


「うーん・・・」


 明は夢を見た。目を覚ますと、そこは古めかしい広島の風景だ。産業奨励館がしっかりと残っているので、1945年8月6日の前だと思われる。だが、明には全くわからなかった。


「あれっ、ここは?」


 明は呆然としていた。ここはどこだろう。全くわからないな。見る限り、太田川の辺りだ。


 と、明はドーム型の屋根の建物を見て、原爆ドームを思い出した。これが原爆ドームの被ばく前の姿だろうか?


「昔の広島だ!」


 明は首をかしげた。どうしてこんな夢を見ているんだろうか?


「どうしてここに・・・」


 と、明は空から落ちてくる何かを見つけた。それは光っている。一体それは何だろう。街を行く人々も見ている。


「あれっ、何か落ちてくる・・・」


 ふと、明は思った。これは原子爆弾だろうか?


「ひょっとして、原爆?」


 突然、まぶしい光に包まれた。これは何だろう。まさか、原爆が投下されたんだろうか? その後、すさまじい熱風が襲ってきた。


「うわっ・・・」


 目を開けると、そこには地獄絵が広がっていた。街を行く人々は服も体もボロボロだ。とても生きていると思えない姿だ。


「な、何だ、この光景は。まるで地獄みたいだ!」


 明は目を覚ました。あの夢は一体何だったんだろう。全く理解できないな。


「夢か・・・」


 と、明は手が濡れている感覚を覚え、手を見た。


「あれっ・・・」


 明の手には、血が付いている。ケガでもしたんだろうか? それとも、夢の中で血みどろになったんだろうか?




 次の朝、明は一郎と遊んでいた。だが、一郎の様子がおかしい。どうしたんだろうか? まさか、一郎もあの夢を見たんだろうか?


「どうしたの?」

「今朝、手に血が付いてたんだよ。どうしてだろう」


 明は驚いた。自分と同じ事が起きたとは。まさか、一郎も原爆投下の夢を見たんだろうか?


「まさか、明くんも原爆の夢を見た?」

「うん」


 一郎はびくびくしている。まさか、明も同じ夢を見たとは。昨日の朝、音楽室に行ったから、こうなったのかな?


「えっ・・・」


 2人は音楽室の方を見た。すると、血みどろの少女が見えた。まさか、あの少女だろうか?

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