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東洋のガラパゴス

作者: 春砂美心
掲載日:2026/06/14

大都会東京から南にずっと進んだところ。


ビル群に閉じ込められていた私はやっとの思いで取得した有給と旅行に行った。


非日常を味わいたくて、都会に汚された体を洗いに海が綺麗な街に来た。


リフレッシュするにはかかり過ぎた時間とお金。


今の私には何も関係ない。


東洋のガラパゴス。


小笠原諸島は世界自然遺産にも認定され、年中イルカを見ることができるのだ。


小さい頃からイルカを見ることはあったけど。


のびのびとした姿を見るのは初めてだ。


フェリーで約24時間。


楽しみよりも、ただ波に揺られる時間に有給を消費している現実に駆られて。


酔い止めも虚しく私は憂鬱な気分になった。


なんでイルカを見に来たのか。


広々とした海を群になってただ泳ぐ。


そんな姿に憧れて。


やけに青い空を見て、心はみるみる動き出す。


ツアーボートに乗り込んで、ドルフィンクルーズを楽しもう。


学生時代水泳部だった私は周りの人たちよりも遥かに優雅に泳いだ。


泳ぎ始めて1時間。スポットを変えて体が塩に慣れた頃。


「今日は厳しそうです。申し訳ない。戻りましょう。」


えー。えー。えー。えー。えー。


こちらは金と時間を払っているんだと言わんばかりの群衆が、静かに静かに顔を顰める。


海も私の敵なのか。これが現実。現実。


しょうがない。しょうがない。


船から降りて日が落ちる頃。


上司からの電話が30件。


ぴー。ぴーぴー。


遠くの方でイルカが泣いている。


鳴いているんじゃない、きっと私の代わりに泣いているんだ。


優雅に泳ぐイルカと自分を重ねて、



私は海に飛び込んだ。



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