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本物偽物騒動に巻き込まれるメイド(モブ)に転生って酷いと思いませんか?

本物偽物騒動に巻き込まれるメイド(モブ)に転生って酷いと思いませんか?

作者: Morisa1380

人物紹介


ルシア

、、、シルヴァ公爵家の失われた公女。銀髪赤目。


ルシエラ

、、、シルヴァ公爵家の養女の公女。銀に近い灰色の髪に桜色の目。


ミリアナ

、、、ルシエラの専属侍女


レオンハルト

、、、公爵家長男


レオナール

、、、公爵家次男


エドワード

、、、公爵家三男

幼い頃に行方不明になった公爵令嬢が発見される。

まるで小説のワンシーンのような場面である。


10年前、シルヴァ公爵家に公女が生まれた。

名前はルシア。

美しい赤い目をした赤子だったが攫われてしまい行方不明になった。


そして、5年前、公爵家は養女を迎え入れた。

名前はルシエラ。

攫われた赤子と似た赤い瞳に銀に近い灰色の髪を持った少女。

だが、今では瞳は赤ではなく桜色に近い色になっている。


そして、今、シルヴァ公爵家の失われた公女が戻ってきたのである。

皮肉なことにルシエラ公女の10歳の誕生日の日の出来事である。



そして、そんな光景を見ている私はシルヴァ公爵家の失われた公女……などではなく、養女として迎え入れられたルシエラ公女…でもなく、養女の公女様の専属侍女であり、たった今、前世の記憶を取り戻した、三条美菜(さんじょうみな)こと、ミリアナである。




困ったことになった。

本当にとてもヤバい状況である。


とりあえず、落ち着くために自分の部屋に戻ってきてしまった。


玄関ホールで彼女(ルシア)を見た時のあの子(ルシエラ)の戸惑いと驚き、そして唖然が混ざったような表情が脳裏によぎる。


周りの侍女やメイドの興味や探るような視線と違い、あまりにもルシー(ルシエラ)の表情が違かったせいだろうか。


ルシーを落ち着かせに行かなければならないと頭ではわかっているもののベットに大の字で倒れている私は動かない。


ルシエラの生い立ちはこうだ。


ルシエラは孤児であったが公爵に拾われて公爵家に来た。

だが、残念なことにこの公爵家には彼女の味方がいないのである。

いないわけではないが、あくまで自分たちの保身のために動くものばかりである。

強いていうならば、幼馴染であり5年前から姉妹のように過ごしている私くらいだ。

ルシエラは最初から天涯孤独の身であったわけではなかったらしく、公爵に拾われる2年前までは両親がいたと聞いている。

だが、父親が不慮の事故で死にそのまま母親が後を追ってしまいルシエラは孤児になったらしい。


そして、帰ってきた公女、ルシアについて私が知っていることは少ない。


ルシアは10年前、攫われた公女であり先ほど、この公爵家に舞い戻ってきたのである。

残念ながらそれ以上の情報を私は知らないのでどうしようもない。


今まで同様、詐欺師の可能性も否めないが私の勘は本物だと告げている。


以上の情報により、この世界が小説などの世界である可能性が出てきたのである。

残念だが、私が読んだ小説や漫画にルシアという名前やルシエラ、そして、シルヴァ公爵家などの名前は聞いたことがない。

私の知らない世界であると考えていい。


この世界を小説の中だと仮定するならば、おそらくだが主人公はルシアの可能性が高い。

そして、ルシアが主人公だとするとルシエラは確実に、と言って良いほど悪役令嬢ポジである。

そして、そんなルシエラに仕えている私はモブ悪役だろう。


私の容姿は特に目立つようなものではない、他の人から見える外見は、だが。

茶色の髪に茶色の瞳、そして小動物のような容姿をしている。


この容姿のおかげでルシーと仲良くなれた。

ルシーは小動物が好きなのだ。


そして、背が低い、悲しきことに前世今世、どちらも背が低い。

9歳だが120cmしかないのだ。


神様は私のことが嫌いなのかもしれない。


そんなどこにでもいそうな私は首にかけているロケットペンダントを外すと鏡に映る私の髪色は黒であり、赤い瞳だ。

ルシーにも教えていない。

私も主人公になれそうな容姿だが、今のところルシーを置いて主人公になりたいとは思っていない。


と、私の立場については今はどうでもいい。


こういう物語の場合、最初が肝心なのだ。

少しでも遅れるとルシーが破滅エンドまっしぐらだ。


こういう小説の場合、ルシア(ヒロイン)につく侍女は性格がいいと決まっているのだが、残念ながら性格のいい侍女はこの公爵家にいない。

私の知る限りだが。


つまり、ルシアの侍女は今の私が手に入れられる最良ポジと言える。


そして、ラッキーなことに我が母は侍女頭である。

正確にいうなら叔母であり、現在の私の義母である。


ついでに私との仲は死ぬほど悪い。

なぜなら私の父親がわからないから、だ。


叔母はとにかく世間体が大事な(外面至上主義な)人間だ。

父親がわからないどころか高確率で庶民(下民)の血が半分流れているであろう私を穢らわしいとよく言っている。


だが、幼くして母親を亡くした少女を見捨てるという行為はあまり褒められた行動ではないと理解している叔母は私を引き取った。

…どんな扱いをされるかはわかるだろう。


だが、幸運なことに、私が叔母に引き取られた時期はルシエラが養女にきた時期であり、尚且つ私とルシエラは年が近かった。


汚らわしいが仮にも公女であるルシエラに媚を売るのは叔母のプライド(矜持)が許さなかったらしい。


そんな時ちょうど、叔母からしたら穢らわしい血を半分だが引いているであろう姪の私、そして汚らわしい孤児だが公女になったルシエラが仲良くしているのを目撃された。

何かありルシエラが何かの罪に問われたりしたとしても自身(叔母)に特に被害を被らないというのもあっただろう。


叔母に利益があるのは少し癪だったが、ルシーが良い子であり歳の近い同性の存在が彼女だけであったのもあり、私たちの仲は良い。


お互いの話をしていくなかでルシーは自身の生い立ちや誕生日なども教えてくれた。


そして、今日、7月13日がルシエラの本当の誕生日だ。

ルシエラがルシアの代わりに祝われてきた誕生日ではなく。


ルシエラの本当の誕生日を知らない兄たち(クズ)公爵(無責任)は知らない。

この家で知っているのは私だけだろう。


と、考えている時間も惜しいので、侍女頭である義母の部屋に向かう。





「お義母様」

と、声をかけると明らかに嫌そうな顔をする叔母。


…こっちだって嫌だが


「なんのようかしら?ミリアナ」

とすごくすごく嫌そうな顔で返す叔母。


……こっちの方が嫌なんだが?


「叔母さま、ルシア公女の侍女は決まりましたか?」


「いいえ、決まってないわ、それが?」


「私をルシア公女の侍女にしてくれませんか?」


「あなたはルシエラの侍女でしょう?」

と叔母がいう。


ルシエラは公女なんだが?

呼び捨てにしないでもらいたい。


「まあ、そうですが」

と私が返す。


「それに、どうせ今回も偽物でしょう?すぐにいなくなるわ」

と叔母が言うが私はそうは思わない。


私の勘が本物だと言っているのだ。

悲しいほどに当たるのだ。

…悪いことであればあるほど。


「万が一があるじゃないですか、それに…」


本当はこんなを言いたくなかったんだが、


「それに?」


「最近、公女と、ちょっと、、、」

と少し濁して見せれば叔母は


「そう?なら、好きにすればいいわ」

と言う。


ルシエラと喧嘩したと思っているのだろう。

…全然そんなことないが。


「ありがとうございます、叔母さま」

と、言い足早に叔母の部屋を後にする。


叔母の趣味の悪いゴテゴテした部屋は嫌いなのだ。




「ちょっと!何しているのよ!!」

と、ルシーの怒鳴り声が聞こえる。


嫌な予感がするので少し駆け足で声の方に向かう。


と案の定、嫌な予感は当たっていた。


ルシーの荷物を侍女たちが別の部屋に移している。


「ルシエラ公女様!」

と私が呼ぶと、ぎゅるん!と音がしそうな勢いでこちらに振り向く。


「ミリー!」

と私を呼び駆け寄ってくる。


「どうかなされましたか?」

と私が聞くと、ルシーは


「あいつらが私の荷物を勝手に運んでるの!」

と言う。


「ちょっと待ってくださいね」

と言いながら他の侍女に声をかける。


「何をしているのかしら」


「あっ、ミリアナ様」

と侍女の1人が声を上げる。


侍女頭である叔母と一応親子関係な私は様付けで呼ばれている。


「何があったのかと聞いているのよ?」


「えっと、レオナール様の命令で」

と侍女の1人が答える。

…悪いが名前は覚えてない。


そして、最悪である。

ルシーに無関心なのはまだ良いのだが、ルシアが来た途端この態度は頂けない。

クズだと思っていたが、クソ野郎に昇格?だ。


「そう、わかったわ」


そう、今騒いでもどうしようもない。


たかが侍女が騒いでも、状況は変わらない。

言い方は悪いがルシエラは今、公女どころか侍女よりも立場が低い。

外聞のためにもルシーの養子状態をどうこうされることはないだろうが、今まで以上に立場が悪くなるのは必至だ。


「ルシエラ公女様、部屋を移動することになったようです。…あとで一緒に誕生日会の続きをしよう」

と最後の部分だけ小声で伝えると、最初の言葉には憤っていたものの最後の一言で落ち着いてくれた。




「なんで私が部屋を移動しなきゃいけないのよ!!!!」

とルシエラの声が部屋に響く。


ここは客室。

ルシエラは公女なのに、だ。

…性格悪いぞレオナール。


部屋に私たち以外がいないことを確認し、

「ルシー、ごめんね力になれなくて」

と申し訳なさそうに言うと


「ミレーは悪くないわ!悪いのはあの女よ!」

と言う。


誰だ!こんな悪い言い方教えたのは!私だ!


「ルシー、あの女なんで言っちゃダメだよ、性格悪いのはレオナールの方なんだから!」

と返す。


「お兄様は悪くないわ。あの偽物に騙されているだけよ」

とルシーが言う。


なんなんだろう、なんかムカつく。

レオナールはルシーに何もしてないのに。


「でも、ルシアかもしれないからってルシーのことを蔑ろにしているのよ?レオナールが悪いよ」


「で、でも」


「ルシー、今から私が言うことを繰り返して」


「う、うん」


「レオナールはクソ野郎」


「れ、れおなーるはくそやろう?」


「公爵は無責任」


「こうしゃくはむせきにん?」


「レオンハルトは馬鹿」


「れおんはるとは、ば、ばか?」


「エドワードはクズ」


「え、えどわーどはくず」


「よくできました!」


「よくできました?」


「ルシー!」


「なあに?」


「私頑張っちゃうから!」


「うん?頑張って!」


はい、ルシーに応援されたのでがんばります!





「はじめましてルシア様、ルシア様の侍女になりましたミリアナです」


「えっと、よろしくお願いします、ミリアナさん!」


…天使がいるぞい。

おめめ、クリっクリっだ。

髪はくすんでるけどそれが綺麗な赤い目を引き立てている。


ルシーとは別系統。


ルシーは綺麗系、ルシアは可愛い系だ。


半年以上離れているのでルシーが姉になるのか。

…可愛い妹いるの、ずるい。


「私に敬語は使わなくてよろしいですよ、ミリーとお呼びください」


「えっと、あっ、えっと、ご、ごめんなさい」


「ルシア様、謝ってはいけません、あなたは公女ですから」


彼女の姿に既視感を覚えるのは、あった頃のルシエラがチラつくからだろうか。


当初、ルシエラは猫だった。

本当に猫そのもので、近づけば威嚇するし逃げるし、その癖放置してると寂しいのか声をかけてくるし。

正直、ミリアナはイラついていた。

喧嘩などに発展しなかったのは前世があったからなのかあるいは家庭環境の影響だったのかは定かではない。


世話をしていくうちにミリアナは気づいた。

こいつ、可愛い物好きじゃね?と。

その後、ルシーをおとすのは容易だった。

ミリアナは容姿がよかった、金髪碧眼である母の遺伝子を色濃く受け継いでいた。


そして仲良くなってミリアナは気づいたのはルシーの自己肯定感が低いことだ。

とてつもなく低かった。

よく謝るし、敬語だった。

今までのザ・悪女は弱さを見せたくなかった故なのだろう。


綺麗系って悪女が似合うんだよ。

可愛い系の悪女って性格悪そうなただの悪女だけど綺麗系だとかっこいいんだよ。


回想終了。


「ご、ごめんなさい」

とルシアはまた謝る。


今更ながらに気づく、部屋に対しルシアはとても浮いて見える。

別に、服のせいではない。

確かにルシアは未だ連れてこられた時と変わらず汚く、古びている服を着ている。

連れてきたのは公爵とレオナールだ。

…一つ言いたいことがある。


着替えさせてから連れてこい、と。


こんな小汚い服を着た状態で連れてきたら使用人たちに軽んじられると思わなかったのだろうか。

事実としてこの部屋に来るまでに使用人たちがルシアのことを軽んじた言動をしていた。

その上、この部屋に私以外の使用人がいないのもその現れだ。


本当にこの家の人間はとことん使えない奴ばかりだ。

公爵はルシーを連れてきた当本人なのに放置。

長男のレオンハルトはその状態を知っているのに放置。

次男のレオナールはルシーが気に入らないのかルシーが養子になってすぐの頃によく暴言をはいた。

三男のエドワードはルシーが声をかけても無視した上に小馬鹿にしたような目でルシーを見た。

侍女頭の叔母はルシーに与えられたお金を幾分かちょろまかしている。

使用人はルシーが呼んでも返事しないことが多い。


などと、ルシーに害のある奴らばかりである。


汚いから浮いているのではなく、ルシアは可愛い印象の少女だ。

そしてルシエラは可愛いよりも綺麗でかっこいい印象の少女である。

この部屋はルシーの部屋だったので可愛いよりも綺麗なルシエラに合わせた黒と赤を基調とした部屋になっている。

ルシアに合わせるならば白やピンクを基調とした部屋にした方がいいのだが、センスのないレオナールは知る由もないだろう。

はぁ。


「ルシア様、お風呂に入りましょう」


「あ、は、はい」


「敬語は使わないでよろしいですよ」


「う、うん、わかった」




ルシアの髪を流しているとわかるがとても綺麗な銀髪だ。

そして今更ながらに気づくがルシアの髪は短く切られている上に先がバラバラになっている。

明らかに誰かに無理矢理切られている。


「ルシア様」


「っ、あっ、はい、なんです、、なに?」


「この髪は誰が切ったんですか?」

と私が聞く。


「えっと、それは…」

と明らかに言いにくそうである。


「言いたくないなら言わなくてよろしいですよ」


「あ、うん、ありがとう」




さて、ルシアの着替えはどうしようか。

ルシアはおそらくあまりいい生活をしていなかったためか半年違いのはずのルシエラの服が合わない。

サイズ以前に顔が別系統なのでルシエラの服を着てもあまり似合わないだろう。

だが、運のいいことにルシアと一年違いの私の服は着られそうだ。


ルシーはよく私にも様々なドレスをあしらえてくれる。

おかげさまでルシアに似合うドレスもある。

青みがかった銀のドレスにピンクの宝石が散らばっている綺麗なドレス。


ペンダントを外せば私にも似合いそうだが今の姿では似合いそうになかったドレスだ。

綺麗で着られなかったが気に入ったので残しておいたものだ。

私が着られないのは残念だが、ドレスも可愛い子に着られるならば本望だろう。


それにコルセットのないドレスしか私もルシーもあつらえていないので着ていても息苦しくなったりはしないはずだ。

コルセットはやばい、まじやばい。

あれは殺しに来てる。


ルシアに部屋着を着させ髪の長さを揃える。

元の髪質がいいのか少し洗っただけなのにとてもすべすべで触り心地がいい。

そして先ほど選んだドレスを着させる。


お姫様の出来上がりだ。


めちゃくちゃ可愛く仕上がった。

ルシーは赤みがかった黒のドレスに銀色のバラの刺繍が入ったものが一番似合っていたが、それと対照的にルシアは青みがかった白いドレスに金色のバラの刺繍が入ったこのドレスがとても似合っている。


「出来ましたよ、ルシア様」


「わぁ、これが、私?」


「はい、とってもお綺麗ですよ」


「ありがとう!ミレー!」

とルシアは興奮したようにお礼を言う。


化粧はしていない。

ルシアもルシエラも顔立ちが整っているので化粧をしない方が綺麗だ。


すると、コンコンっとドアを叩く音がする。


「ちょっと待っててくださいね」

と私が言うとルシアは黙ったまま頷く。


ドアを開けるといるのは叔母だった。

「公爵様がその子を晩餐に連れてくるようにと、はぁ、なんであんな汚らしい子を…」

と叔母はルシアを指差していう。


最後は小声だったがルシアの耳にも届いているだろう。


指差すなよ、行儀悪いなぁ。

本物だったらどうするつもりなのか。

まあ、叔母からしたらはそんなこと(本物か偽物か)は些細なことなのだろう。


叔母は血統主義ではあるものの約10年もの間、平民と一緒に過ごしていたという事実だけでも気に入らないのだろう。

ルシエラのことは貴族の家系でないから気に入らない、ルシアは平民として生きてきたから気に入らない。

じゃあ、お前はなんなら気にいるんだよ。


叔母が伯爵令嬢なのが尚更タチが悪い。

何かしたわけでもないくせにプライドだけは一丁前に高いのが最悪だ。


「ええ、わかりました、叔母様」

というと、


「はぁ」

とため息をついて勢いよくドアを閉めていく。


私は心の中で『チッ』と舌打ちをつきながら。

笑顔でルシアの方に振り返る。


「ひぇっ」

とルシアの可愛らしい悲鳴が聞こえた気がするが無視する。


よーし!こうなったらちゃんと使用人にルシアのことを認めさせるか。




晩餐が始まるが、ルシエラの姿は見えない。


「ルシエラは欠席か?」

と公爵が言うと


「はい、ルシエラ様はお部屋で食べるそうです」

と叔母がいう。


何度目かわからないが、何度でも(心の中で)言う、ルシーを呼び捨てにするな、ルシエラ公女様と呼べ。


「そうか、わかった」

と公爵が言うと。


「ふんっ、来るハズないだろルシアがいるのに偽物が来ていい席じゃない」

とレオナールがいう。


はあ?お前何様だよ。

ルシーを連れて来たのは公爵だし、別にルシエラはルシアを名乗ってたわけじゃないんだけど?

偽物じゃなくて、れっきとした公女であんたの妹でしょうが。

あんたになにしたって言うんだよ。


そして、レオンハルト、おいお前、なんで否定しないの?あ゛?


「レオナール、口が悪いですよ、ルシアの前です、言葉には気をつけてください」

とエドワードが言う。


ほんとムカつく。

ルシアの前で悪い言葉を使うなって言っただけでルシーの悪口は否定しないんだよね。

何気にこいつが一番ムカつくんだよ。


そして、公爵。

マジで無責任すぎるよ?あんたがルシエラを養子にしたんだから面倒見ろよ。

息子が義娘の悪口言ってるんだよ?咎めろよ?ルシエラは何も悪いことしてないよ?


と私はルシアの後ろに控えてニコニコしながらとてつもなくイライラしていた。


「えっと、」

とルシアが戸惑っている。


そんな様子に一切気がつくことのない、公爵や公子たち。

そんなに大切ならちゃんと気を遣ってあげてほしい。

さっきから全然食べていないのにも気づいていなさそうだ。


わかんないかなぁ?

ルシアは今まで平民として過ごして来たんだがら急にテーブルマナーなんてわかるわけがない。

そんな彼女にこんな晩餐(豪華な席)は負担だし、困るだろう。


それに、風呂に入れた時にもわかったがルシアはとても痩せている、ろくに食事を食べていない証拠だ。

手首を見ればすぐにわかるだろう事実にも気づいていないようだ。

そんな彼女が並んでいるステーキや豪華な食事は食べられないだろう。

食べれたとしても体調を崩すに決まっている。


私は、後でルシーの食事を貰う時にルシアの分のスープなどの食べやすい物を食べさせようと決意する。




「大丈夫ですか?ルシア様」


「あっ、う、うん、公爵様も公子様もたくさん喋りかけてくださったし、料理もとっても豪華で…」

とルシアは遠慮がちに言う。


そろそろ距離を詰めようかな。


「大変だったよね、楽しくなかったよね、はい、これ」

と私はスープと食べやすいようにすりおろしてもらったりんごをだす。


「えっ、なんで」

と、驚いたようにルシアが言う。


急に敬語じゃなくなったからなのか、はたまた急にこれが出て来たからなのか。


優秀な私は晩餐に来るようにと叔母が言ったときすぐに他の侍女に命令しておいたのだ。


「さっきの晩餐でほとんど食べてなかったでしょう?急にあんな食事食べれないよね、あっ、タメ口嫌だった?」


「い、嫌じゃない!そっちの方が嬉しい、かな」


「よかった!食べていいよ!お腹すいてるでしょ?」


「うん、ありがとう」




「ご馳走様、ありがとう!」

とルシアが元気よく言う。

やっぱり元気が一番。


「どういたしまして、お腹はもう大丈夫?」


「うん、もうお腹いっぱい、食べやすかったよ、ありがとう」


「よかった、それとルシア、2人の時はタメ口でいい?」


「うん!ミレーがいいならそれがいい、後…」


「後?」


「ルシアじゃなくてシアって呼んでほしい、えっと、やっぱりなんでも…」


「シアっ!これからよろしくね!」

とルシアの言葉を遮って呼ぶと、嬉しそうに


「うん!」

とルシアは笑顔で返事をした。


やっぱ、可愛いは正義っ!!!!!




「失礼します、遅くなって申し訳ございません、ルシエラ公女様」

とルシエラの夕食が乗っているワゴンを押しながら部屋に入る。


「遅いわよ!ミレー!どこ行ってたの!」

とルシーが叫びながら飛びついてくる。


「ごめんねルシー」


「答えになってないわ!」


「秘密、かな?」


「なんでよ!」


「ごめんねルシー、ルシーの為だから」


「私のため…」


「そっ!ルシーのためなの」


「わかったわ」


「ありがとう、ルシー」


秘密だと言っても、ちゃんと理解してくれるルシーは良い子だ。




「おはようございます、ルシア公女様」


「おはよう、ミレー」

とルシアが目を擦りながら言う。


「シア、今日はいいところにつれってってあげる!」

と私が言うと、


「ほんとっ!?やったぁ!」

と一瞬にして目を開く。


こう言う現金なところがミレーと似ていると思う。




「わぁ!綺麗!」

とシアが感嘆の声をあげる。


ルシアからみて左の方に広がるのはひまわりの咲き誇る平原のような場所。

そして、右の方に広がるのはラベンダーを中心とした紫色の花々だ。

正面には色とりどりのマリーゴールドが咲き誇っている。


今日のシアは動きやすく、そしてあざとい可愛さとこの場所にマッチするドレスを着ている。

コンセプトは花畑とうさぎだ。

シアの銀髪と綺麗な赤い目がうさぎを思わせるからだ。


完全にシアが花々や飛び回っている蝶々に夢中になっているのを確認し、私は静かにその場を去った。




「ルシー!ちょっと来て!」

とルシエラの手を引きながらルシアのいる花畑に連行する。


「ミレーまだ眠いぃ」

とルシエラは眠たい眼を擦りながらもついて来てくれる。

ルシエラは朝が弱かった。


「ふふっ!」

とつい笑ってしまう。


あまりにもルシーとシアの目の擦り方が同じだったからだ。


「どうしたの?」

とルシエラが聞いてくるが


「なんでもないよ」

と誤魔化す。


「????」

とルシーは不思議そうな顔をしているが、見て見ぬふりをしてルシーの手を引いていく。




「…」

とルシーは固まっている。


私はすぐにルシーの口を塞ぐ。


「もがーがー」

と唸る。


可愛いー!!!!と言ったところだろう。

うん、私もそう思うよ。


すごいね、ヒロインって、すごいね、相乗効果って。

シアに着させた色とりどりのドレスは花畑とマッチしており、そして、周りに蝶々が飛び回っている。

まるで別世界に思えるほどに、輝いて見える。


「しー」

と人差し指を口元に当てながら言うとルシーがこくんと頷いたので手を離す。


「あの子だあれ?」

とシアを見たまま聞いてくる。


ルシーはシアに目が釘付けになっている。

シアと合わせるために連れてきたが少し複雑な気持ちになる。


「いこ」

とルシーの問いに答えることなくルシーの手を引いてシアの元に向かった。


「シア」

と呼ぶと私に気づき嬉しそうな顔をし、直後、ルシーの存在に気づいたのか固まる。


「えっと」

とシアが再起動しとまどったような顔でこちらを見る。


「可愛いわね!キラキラしてるわ!あなた名前は?!どこから来たの?どこの家の子?」

とルシーがシアに矢継ぎ早に質問する。


ルシーは猪のように猪突猛進な性格をしている。

まっすぐに相手を見る。

相手がだれだとしても臆することなく喋りかけられるのは一種の才能だろう。


相手がルシアであると気がついていないのだろう。

まあ、それもしょうがないだろう。

ルシアは連れてこられた時、ボロい服で銀髪がわからなくなるほど髪が汚れていた。


…あっ、なんか、ムカついてきた。


「あっ、名乗ってなかったわね!私の名前はルシエラ。ルシエラ・フォン・シルヴァよ!よろしくね!」


「ルシー、彼女は…」


「ル、ルシア、です」


「…う、嘘おっしゃい!だってお父様ともお兄様たちとも似てないじゃない!」

とルシーが半ば叫びながら言う。


うん、失礼だよ、ルシー。

確かに嫌味なクズ公子や無責任で無口な公爵とは似ても似つかないくらいに可愛いけどさ。


「嘘じゃないよ、ルシー、確かに公子や公爵とは似ても似つかないけど、ね」


「ほ、本当です」

とシアはこくんこくんと頭を縦に振る。


「そ、そんな、じゃあ、あなたは私の妹なのね!」

とルシーが言う。


切り替えはやすぎんか?ルシー。

いや、間違ってはいないんだけどさ。


「そうだね、誕生日がルシーは7月でシアは3月だから半年違いでルシーの方が姉だね」


「…」


シアは全くもって話についていけてないようだ。

しょうがない、経験の差だ。

伊達に5年も一緒にいたのだから。

なれだなれ。


「よろしくね!私のことはお姉ちゃんって呼んで!」


急だな、早いって。


「お、お姉ちゃん?」


適応早いな、おい。


となぜか置いて行かれている私。

まあ、綺麗な花畑で笑っている2人をみているだけで十分私は満足だ。


どうか2人が永遠に幸せでありますように!

珍しく長い短編、、、。

いつも途中で飽きるのに、なんか書けた、、、、なぜに?

ブクマとポイントが多ければ続き書く、かも。

ルシーとシアの兄や父はほとんど出番なかったwww

もっと出すつもりだったのに…

続編ででる、かも?

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