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第8話 謝罪と賠償をいただく

 それは確かに魔王特効スキルの持ち主と聞けば暗殺者も来るよな。

 そうやって僕を殺させて天界の失態を隠蔽するつもりだったのか。


「大天使のくせに何と言う卑劣なのか」

「め、面目ない、いやあ、馬鹿小僧が悪戯で取ったと思ったんだよう、だから、魔王軍に知らしめて消させてやれって、まさかまさか、死んだ妹を庇う為だとか、女神さま好みの話だとは思わなかったんだよう」

「まったく酷い話ですね、どうするんですか、僕は武力が無いので暗殺者の撃退とか出来ませんよ、あとペルに頼るのもなんか悪いでしょう」

「君の奴隷(スレイブ)なんだから好きに使えばいいんじゃない?」

「だああっ、人の家の娘さんですよ、何言ってんですか、慈愛の大天使さまがっ!!」

「まあ、ペルリタちゃんも君を守るのには嫌も応も無いとは思うけど、確かに布陣が弱いね」


 さすがに、魔王軍ともなれば、凶悪な魔族戦士が襲ってくるだろうし、それを【幼女テイム】だけで切り抜けるのも難しいだろう。

 ペルがスキルを覚えるのも来年だし、これは困った。

 マチスさんに護衛してもらうのも悪いしなあ。


「よし、そうだ、メロディくんを君に付けてあげよう」

「は? 夢の中にでてくる天使がいてもあまり役には立ちませんが」

「受肉……、は無理だが、あれだ、小動物に変化させて君の身辺を警戒させよう。一応天使だから魔族相手に強いし、緊急事態だったら天界から軍勢を呼ぶ事ができるしね」


 メリーが生きかえって小動物として僕の近くに居るのか。

 それは、なんだかそれは、良いなあ。


「でも良いんですか、そんな大盤振る舞いで」

「うん、こちらの手違いのお詫びもあるから、良いよ」

「ありがとうございますっ」

「というか、凶悪な魔族暗殺者が来るのだが、油断しないでよ」

「はいっ!」


 やったあ、メロディが来たらいっぱい可愛がろう。

 嬉しいなあ。


「あと、マチスが早馬で君の事を王都に知らせた。王府は君を勇者学園に入学させる気のようだ」

「ええっ、そんな場所に!」

「勇者の卵が沢山いる学園の方がリュートくんの安全が守れるだろう」


 王都かあ、勇者学園は全寮制だろうなあ、凄いなあ。


 勇者学園では全国から希少スキルを賜った子供達が集められ、将来の勇者を目指して切磋琢磨する場所で、本当なら僕なんかが行ける所じゃないんだ。


「では、一年様子を見よう。暗殺者は強いけれども、頑張ってくれ」

「はい、メロディの事ありがとうございます」


 リカルエルさまは、はあと息を吐いた。


「良い子なんだよなあ、これは女神さまもカンカンになって怒るぞ」

「まあ、そこらへんはシルビアさんと一緒に頑張ってください」

「ちえっ、じゃあ、またなあ、リュートくん」


 リカルエルさまはフワフワと浮かび上がり、天に昇っていった。

 やっぱり天界は夢の中でも遙か上にあるのだなあ。



 目を覚ました。

 なんか天使様が出てくる夢は起きてもはっきり覚えているらしい。

 リカルエルさまがあんなだとは思わなかったな。

 あと、メリーは何の動物になってやってくるのだろうか。

 楽しみだなあ。


 朝起きて食堂に行くとペルとお母さんが朝ご飯の支度をしていた。


「おはようペル、よく眠れた?」

「はい、とても良いベッドでしたわ」


 ペルはなにげにフライパンの使い方が堂に入ってるな。


「マチスさんのお家では、お料理はペルがしてたの?」

「そうですわ、お母様が死んだあと、お父様は腑抜けみたいになりまして、家事は私がやっておりました」

「まあ、偉いのねえペルちゃん、このまま我が家にお嫁に来られるわねえ」

「まあ、いやですわあ、お義母さまったらあ」


 まあ、ペルもお母さんが死んでから家族の温かさに飢えているだろうから、味わうといい……。

 マチスさんは一人で家か。

 なんというか、うん、可哀想だな。


「おはようみんな、良い朝だね」

「おはよう、とうさん」

「おはよう、あなた」

「おはようございます、お義父さま」

「お、ペルちゃんもお手伝いか、偉いぞ」

「ありがとうございます」


 ああ、なんだか、お父さんもお母さんも、女の子が家にいる状態を懐かしんで喜んでいるね。

 二人とも目がやさしい。


 家族四人で朝ご飯を食べる。

 やっぱりみんなで食べると美味しいね。


「このお皿、お義父さまがお造りになられたんですか、とっても素敵です」

「スキルが【陶芸】だからね、結構街でも評判が良くてね」

「わあ、さすがご主人様のお義父さまです」

「あはは」


 お父さんは照れ笑い、つられてお母さんも僕も微笑みを浮かべた。


「じゃあ、僕は羊を追ってくるよ」

「おう、気を付けてな」

「もう大丈夫さ」

「ご主人様、わたくしも参ります」

「え、羊を追って草を食べさせて帰るだけの仕事だよ、あまり面白い物でも」

「いいえ、ご主人様のお仕事ですし、聖典の救世の勇者も羊飼い出身という事ですから、見逃す訳にはいきません」

「そうなの、では行ってらっしゃい、お昼には帰ってくるんですよ」

「はあい、お母さん、行こうペル」

「はいっ、ご主人様っ!」


 僕とペルは元気に外に駆けだした。

 今日は抜けるような快晴で、気持ちの良い天気だな。

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