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第7話 僕の思ってた大天使さまとちがう

「というかー、なんなのお前、あんな酷いスキル取る事無いじゃーん、あれか、あれか、思春期特有の女児をテイムして良からぬ事をしてやれという間違った冒険心かよ?」

「違いますよ、リカルエルさま、侮辱するとぶっとばしますよ」


 夢の中である。


 あの後、父さん母さん村中の大人、マチスさん、ペルを加えて、もう、思い出すのも嫌なぐらいの大騒ぎになって、ヘトヘトになって家に帰り、付いてきたペルと家族と一緒に晩ご飯を食べ、一緒の部屋で寝ると言って聞かないペルを客間に寝かせて、やっとすやあ、と寝たら、夢の中にリカルエルさまだよ。

 そして、昼間顕現した時とキャラが違う。

 なんですか、あなたはチンピラ大天使ですか?

 このウザイ大天使にさっきから正座をさせられて事情聴取をされているという訳だ。


「メロディはどうなりましたか、僕がマチスさんに殺されそうだとリカルエルさまに通報してくれたのは彼女ですよね」

「天界の牢屋。まあ、リュートきゅんの事情聴取で下手をすれば消滅刑、良くても、天国の門番とか、できない天使さんがやる部署に異動だな」

「消滅もあり得るんですか」

「ありえるありえるというか、天界裁判所の大体の裁判官天使は消滅刑にしろと言ってる。それぐらいスキルを改造するってえのは重罪なんだ。というか、なんで駆け出し天使がスキルを壊せるの? そして繋げられるの。さらに繋げた二つのスキルがちゃんと動いているのはなんでなの? とまあ、色々と疑問も湧いてくるわけでね」

「スキルは割れないんですか」

「割れない、物質じゃない、概念だし」

「くっつかないんですか」

「くっつかない、概念だから」

「間違って合体させて機能しない物なんですか」

「そんな事をやらかした天使は史上いないから、解らないが、普通は機能しないと思う。一応カナタちゃんの【グリフォン育成】を確かめたけど、ちゃんと機能しているっぽい。隣町の生産牧場からグリフォンのヒナを買ってたよ。スキルも動いていて、すくすくと育ちそうだね」

「それは良かったです」


 カナタは良い奴だからな。

 グリフォンをしっかり育てて幸せを掴んでくれ。


 リカルエルさまは僕の表情を見て、なんだか解せないという感じの顔をした。


「どうも幼女をテイムして悪戯するタイプじゃあ無いなあ。じゃあなんだ、メロディちゃんに一目ぼれか、可愛いもんなあ、彼女。で、良い所を見せようと酷いスキルを抱え込もうとしたのかい?」

「いやまあ、初めての仕事で失敗して可哀想だから、一年抱えて次の春分の日に取り替えて貰おうと思いまして」

「スキルは人の人生に一回だけ天から授かる物だよ。交換とかできないよ」

「え、そうなんですか」


 しまったなあ。

 一年我慢すればいいやと思ってたけど、僕は一生幼女テイマーのままなのかあ。


「人の人生に一回だけの物だからこそ、改造したり、ごまかしたりするのは僕はゆるせんわけさ。失敗で壊しちゃったら持って帰ってそのむね報告するべきだったんだよ、というか、まあ、割れたりくっついたりは前代未聞だから、上の女神さまも困ったろうけどね」

「やっぱりそうしろと言うべきだったんですね、失敗しました」

「しかし一目ぼれで一生に一度のスキルを投げ捨てるとか、まーなんというか、ついてないね、リュート君」

「あ、一目ぼれとかじゃないですから、彼女、妹のメリーの生まれ変わりですから」

「……は?」

「顔も仕草もそっくりでした。死んだ妹が困ってて泣いたりしたら、やっぱりお兄ちゃんとして何とかして上げたいじゃないですか」

「……、あ、あり得ない、いやその、うん、それは君の気のせいではないかな……。ちょっと待っててね」


 リカルエルさまは懐から輝く板のような物を出して表面を押した。

 軽快な音がして、彼はそれを耳に当てた。


「あー、この地方のシフトを決めたのは誰だっけ? え、シルビア、うん、シルビア居る? 出して、うん」


 なんだかただならぬ感じの表情の曇り方だ。

 ひょっとすると妹をこの地方のスキル配布役にするのは間違いだったのか。

 そういやそうだな、死んだ肉親の姿をみたら、遺族の気持ちは平穏じゃ居られないしね。


「あー、天使メロディの前世はどの地方、うん、え、うん、『あ、失敗した』じゃあないんですよっ!! 何考えているんですか、天使と遺族がバッティングですよ、大変な事態ですよ。今から急いで帰りますから、会議の準備をして待ってなさい」


 光る板を仕舞って、リカルエルさまは、こほんと咳払いをして僕に向き直った。


「えー、あー、その、こちらの手違いでした、申し訳ありません」


 大天使様は僕の前に手を付いて土下座をした。


「あ、いやいや、その、僕も死んだ妹に会えてうれしかったし、記憶は無かったですが、天使として生まれ変わっていたのでほっとした所もあって、頭をお上げくださいな」


 僕が言っても、リカルエルさまはプルプル震えて土下座をやめない。


「どうせ、チャラガキが悪戯半分で【幼女テイム】を取ったのだと思い、その、うん、魔王軍が来ます」

「……、は?」

「天界の失敗を取り繕うのに、これは魔王特効のスキル【幼女テイム】だと、僕は教会で大声で言いました。マチスはこの地方の教会で偉い者で、リュート君が魔王特効だと今は王都にまで届いています」

「え、それが何か?」


 何を心配してるのだリカルエルさまは?


「魔王特効のスキル持ちですから、当然、魔王軍から暗殺者が来て殺されるのです」

「あっ!!」


 なんて酷い事をするのか、天界の連中は、というか、この馬鹿天使はあまりに無責任だろうっ!

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そう来たかw
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