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THE幼女テイマー ~何故僕はかの不名誉なスキルを一年間この身に宿す決心をしたのか~  作者: 川獺右端


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第39話 副将戦、マノリト対オスヴィン

 オスヴィンさんは巨大な岩石のような偉丈夫だった。

 ぷよぷよしているマノリトさんとは比べものにならないな。

 十五歳なのに中年みたいな風格のある格闘家だ。


「わはは、おいデブよ、わざわざ痛い目を見ることはあるまい、降参しろ」

「……。鍛え上げた肉体を誇示して妬ましい」

「ははは、努力だ、努力の結果だ、お前のような運動一つしたことが無いぷよぷよではないのだっ」

「マノリトくん、試合はできるかね?」

「やりますよ」

「では、第四試合、S組オスヴィン、F組マノリト。始めっ!!」


 試合が始まった。

 オスヴィンさんはニヤニヤしながら腕組みしてマノリトさんの動きを待っている。

 マノリトさんは据わった目で、ゆらりと間合いを詰めた。


「憎い憎い、妬ましい」

「うおっ!!」


 マノリトさんの体から赤黒い炎が吹き上がった。


「火炎能力者か! ははっ、馬鹿め、わがコンバース流拳闘術に魔術対策が無いとでも思ったか」


 オスヴィンさんは拳を構え、気合いと共に黄色い気を纏った。

 バリア系の技だろうか。


「まずいな、 あの黄色い気はアンチマジックの性質があるんだぜ。魔法の火炎頼りのマノリトは負けるか」

「そんな、カービン王子」

「え、なんだあれ?」


 ジナンさんの声で、僕は台上を見た。

 ちなみにペルさんは口づけはやめているが、カンパと一緒に僕をぎゅうぎゅうハグをしている。

 動きにくいが、ほっこりして柔らかい。


「わはは、食らえ、『アンチマジックパンチ』」


 丸太のような腕から、ぶうんと黄色い気を纏ったパンチが放たれた。


「だめだっ、オスヴィン!! その炎は、呪いだ!!」

「えっ」


 エリン先輩の警告にオスヴィンさんは一瞬止まった。

 パンチは炎に達しているが、黄色い気を越えて炎が拳を侵食する。


「ぐああああっ!! なんだ、なんだこれはっ!!」

「僕には、出来の良い弟が居るんだよ。とても頭が良くて、性格が良くて顔も良い、女の子によくモテるんだ」

「くそっ、くそっ、なんだこの炎はっ!!」


 拳を下げて、オスヴィンさんは炎を素早い身のこなしで避ける。

 だが、だんだんと台の隅に追い詰められていく。


「本当に、僕は弟が妬ましくて憎くて、どうしようも無く懊悩していたんだ、それで春分の日に天使が僕に持って来たスキルが【嫉妬の炎】だった。なあ、僕は勉強だけが誇りだったのに、王国の最高学府の試験に受かったのに、この馬鹿なスキルのために、勇者学園のF組なんかに放り込まれて、本当に本当に、悔しいんだ」

「ぐあああ、くるなくるなーっ!!」


 オスヴィンさんが台上を逃げまどっていた。

 格闘家なのが致命的だな。

 剣とか槍とかの’炎の熱からワンクッション置いての攻撃が出来ない。


「オスヴィン、下がるな、相手は素人だ、炎は我慢して一発入れれば勝てる!」

「だ、だけどよう、マイタケ」

「F組のデブに負けるような男は俺のパーティにはいらんぞ」

「くっ」


 オスヴィンさんは背中を丸め、重心を低くしてマノリトさんの隙をうかがう。

 マノリトさんの炎は依然として、盛大に燃え上がっている。


「デブ、悪く思うなよっ!!」


 オスヴィンさんは炎の中に突っ込んでいき、マノリトさんを殴り飛ばそうとショートフックを放った。


 ブン。


 パンチがマノリトさんの頬捕らえた、と思った瞬間に、マノリトさんは消え、少し離れた所に現れた。


「ふっ、炎による陽炎残像だ」

「あががががっ!! 腕が、腕が!!」


 オスヴィンさんは腕を押さえた。

 場外にに飾られている、オスヴィンさんのデク人形の両腕が燃え上がっている。


「うおおおおっ!! 負けるか、負けるもんかっ!! 俺は『勇者の刻印』を貰い、勇者パーティとして魔王軍と戦うんだっ、それが我が家の悲願なんだっ!!」


 絶叫しながらオスヴィンさんはマノリトさんにむけて鋭い回し蹴りを放った。

 ふわりと炎がゆらぐようにマノリトさんは回し蹴りを避けた。


「あがが、あああっがああああっ!!」


 足にも嫉妬の炎は着火して燃え上がる。

 もう、オスヴィンさんは立っていられず、ガクガクと痙攣しながら台上に倒れ、失神した。

 同時に、彼のデク人形の両足が燃え尽き、崩れ落ちた。


「なんて火力の火だよ」

「すげえぜ、マノリト、俺はお前ならやってくれると思ってたぜっ!!」


 ジナンさんは調子がいいなあ。


「勝者、F組、マノリト!!」


 眼鏡先生はマノリトさんの手を上げた。

 これで二対二だ、最後の大将戦で決着が付く。

 だがS組チームのの大将は、勇者の末裔のマイタケだ。

 僕は勝てるだろうか……。


 マノリトさんは台から降りて来た。


「リュート君、君の大将戦まで勝負を繋いだよ」

「ありがとうございます。凄いスキルでした」

「いや、一度手の内を知られたらね、僧侶の【解呪(ディスペル)】で対処できるし」

「それでもありがとうございますっ」

「いや、やっぱりカンパちゃんをS組に取られるのはね」


 僕に抱きついていたカンパがトテトテとマノリトさんの所に近づき、がしっとお腹に抱きついた。


「マノリトのおっちゃん、ありがとー」

「いや、ははは、結果は君のご主人さまの頑張りしだいだよ」


 そう言って、マノリトさんは微笑んで、カンパの頭をぐりぐりと撫でた。

 やっぱり良い人だなあ、この人。

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これは良いしっとマスク・・・!
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