第36話 カラスミ町の英雄リュート
カフェでお茶を飲んで待っていると、ギルドマスターがやってきた。
「さあ、出来たよ、リュート君の銀カードだ。ここの町の西にはダンジョンがある、また腕試しに来てくれたまえ、歓迎するよ」
「いえいえ、そんなそんな」
渡されたカードは銀色でピカピカだった。
嬉しいなあ。
「カンパくんは?」
「ここれーす」
「え?」
「あ、黒竜カンパリアは変化すると、カンパになるんですよ」
「ふおおお、竜の人化かねっ、凄い、え、鑑札掛けていいの?」
「かけるーかけるー、主様の所有物~」
「そうかでは、どうぞ」
ギルドマスターはカンパに鑑札を掛けてくれた。
カンパは嬉しそうだ。
町長さんが走ってやってきた。
「リュート殿! これを、カラスミの町公認英雄のメダルです、ご笑納ください!!」
「ぬお、良いんですか、そんな素晴らしい物」
「リュート殿、あなたは素晴らしい人だ、是非町の公認英雄として子々孫々に讃えさせてください」
「わあ、ありがとうございます、ありがたく頂きます」
これはなんだか嬉しいなあ。
メダルはペンダントになっていて、首に掛けられる。
掛けてみた。
「わあ、格好いいです、ご主人様」
「主様、かっこいいー」
町長さんとギルドマスター、そして町の人々に見送られて、僕たちはカンパに乗って飛び立った。
「良い町でしたね、ご主人様」
「そうだね、ダンジョンもあるらしいから、またこようね」
『たのしみたのしみ』
そのままカンパを火山に向けて飛ばせて、麓で爆裂石を拾った。
「けっこうかさばるからあまり持って行けないね」
「箱にいれて運んでも、これ、爆発するんでしょう?」
「うん、強い力でどーんってやるとドカーンって」
うん、木箱に入れて保管しておくと、うっかりF組寮を吹っ飛ばしてしまいそうだ。
カンパの竜の体に入れておけるだけにしておこう。
八発使ったら、また拾いにくればいいね。
「さて、勇者学園に帰ろう」
「そうですね」
「たのしかったあ~、また来ようね主様」
「そうだね」
カンパに跨がって空を行く。
テイムの視界というか、従魔にライドしている時は、僕の視野とカンパの視野で二重写しみたいに見える。
二つの脳で処理しているので、それぞれの視界は独立していて惑うことも無い。
これは、意外に凄いかも。
カンパが前を見て、僕が後を見ると、後からの攻撃を避ける事が可能かも。
凄い。
無敵の飛行存在となってしまうかも。
『主様と一緒に、空の王者になる~~』
「そうだね、頑張ろうっ」
F組寮の中庭にカンパをふわりと着地させた。
「おつかれさま、ご主人様」
「なんのなんの」
「楽しかった~、また行こうね」
「うん、行こうね」
『帰ってきたにゃ、どこへ行ってたにゃ』
メロディが三階の僕らの部屋の窓から顔を出し、跳び降りて来た。
おおう、身軽だな。
「カラスミの町ー、楽しかった」
「メロディもつれて行こうと思ったんだけど、寝てたからね」
メロディはしょっぱいしかめっ面をした。
『この体はすぐ眠くなるにゃ』
「猫だからなあ、無理しなくていいよ」
『そうも行かないにゃ、魔王軍がきたら天界に通報しないといけないにゃで』
「そうか、じゃあ、今度は寝ていても抱いて行くね」
『おねがいにゃ』
メロディを肩に乗せて、F組寮にはいる。
「お茶を入れますね、ご主人様」
「おねがいします」
「はい」
「クッキーをくらはいっ」
「はい、解ったわ、カンパちゃん」
「私、クッキーだいすき~」
『私はミルクとクッキーにゃ』
「はいはい」
ペルさんのお茶を飲みながら、クッキーをカリカリ食べていると、ジナンさんとロッカさんが帰って来た。
「おう、リュート帰ってたか、俺にもお茶をくれよペルさん」
「自分でいれろ」
ペルさんはヤカンとポットをガチャンとジナンさんの前に置いた。
「相変わらず塩対応だなあ、まったくよう」
と言いつつ、ジナンさんはポットにお湯を入れて、自分とロッカさんのカップにお茶を注いだ。
「おう、坊ちゃん、ご苦労」
「お前がやれよ、メイドの格好してんだからよう」
「こんなもんは近くに居る奴が入れればいいんだよ」
というか、ロッカさんは何故にメイドの格好をしているのだろうか。
まったくメイドではないのに。
「あ、リュート、メイドの格好か? 女中の格好をするとみんな油断すっからな、そんだけだ」
「そうなんだ、メインは殺し屋なんだね」
「本当はな、あんまりボディガードは得意じゃあねえんだ、愛想無いからな」
それは解る。
「それよりも見てくれよリュート、冒険者カードが銅になったんだぜっ、苦節一年、狩りに狩ってやっとだぜ」
「あ、そ、そうですか」
「ん、なんだよ、リュートお前冒険者カードもってねえの、今度一緒に行ってやろうか?」
「主様もってるよ、銀色の」
「!」
ああ、幼女は無邪気に無神経な事を言うから。
「あ、今日、その、凄いのをカンパで狩ったから、銀にしてくれましたよ、ははっ」
「うぐぐ~」
ジナンさんは悔しそうである。
ごめんね。
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