第35話 街の冒険者ギルドに大ヘビを売りにいく
カンパが一撃で倒してくれた大物のレイクサーペントだけれども、大物過ぎてちょっとこまる。
ペルさんがナイフで切って、なんとか魔石だけはとりだしたけど、これも子供の頭ぐらいでかいものだった。
「これだけの大物、良いお値段で買い取ってくれますよ、ご主人様」
「そうだね、でもどうやって持って行こう」
『カンパが持って飛ぶよう』
「飛べる?」
『なんとかがんばるー』
近くに街は無いかなと、キョロキョロしたら南の方に小さな町があった。
「あそこに冒険者ギルドはあるかな」
「あるかないかギリギリのサイズの町ですね」
冒険者ギルドというのは全世界組織で、あちこちにあるんだけど、さすがに村ぐらいの発展ではあまりない。
町だとあったり無かったり、領都ぐらいの街になると確実にある。
「ああ、でも僕は冒険者登録してないや、困ったな、即日発行じゃないでしょ」
ペルさんが胸元から銀色のカードを出してきた。
「おお、冒険者カード! しかも銀!」
「武道をやっている子は持ってると便利なので取るんですよ」
「偉いよ、ペルさんっ」
「いえいえ、えへへっ」
『いいなあ、カンパもカード欲しい』
「カンパは出してもらえるかな? 従魔の鑑札は貰えるかも」
『主様の所有物という証、ほし~~』
ということで麓の町に向かうことになった。
ペルさんが荷物からロープを出して、長いレイクサーペントがぶらぶらしないように円にしてまとめた。
ペルさんの袋にはお弁当だけじゃなくて色々な道具が入っているのだなあ。
『持ちやすくなった~』
カンパは前足と後ろ足でがっちりレイクサーペントの巨体を掴み、羽ばたいて宙に持ち上げた。
『おーもーいー、けど、まあなんとか』
ふらふらよろけているがなんとかカンパは飛んでいた。
頑張れ、頑張れ、落っこちたら大惨事だぞ。
カンパは休み休みレイクサーペントを運び、町の外壁まで持って行った。
『ああ、たいへんだった』
「おおおお、なんだ、きさまっ、魔王軍か!!」
「あ、違います、勇者学園の生徒です、こちらはペルさん、それでこの子は僕の従魔のカンパです」
「え、ええええっ、これ暗黒竜でしょ、魔族しか懐かないっていう、そんな凄いドラゴンをテイムしたのー?」
「あはは、はい、御縁がありまして」
「町に入りたい……、なんだー、そのでかいヘビはあああっ!!」
この町の門番さんは感情豊かだなあ。
「山の上の湖で襲って来たので、倒したんです、で、もったい無いので冒険者ギルドで売ろうかなって思いまして、この町にはギルドはありますか?」
「あ、ああ、西にちょっと行ったところにダンジョンがあるから、ちゃんとした冒険者ギルドはあるよ。……え、まさか、これってカラスミ湖の主かあああっ!!」
「有名なんですか?」
「二十年ぐらい前に住みついた害獣で、湖に行く者を無差別に襲うから困ってたんだ、農業用水路の補修も出来なかったし、あいつが倒されたのかあ、やったなあっ、ありがとう勇者学園の生徒さんっ」
「あ、いえいえ、喜んでいただけたら幸いです。冒険者ギルドに持って行きたいので入ってもいいですか」
「もちろんさっ、俺が先導するよ、ささ、どうぞどうぞ」
感激屋の門番さんに先導されて、僕たちは下カラスミの町の冒険者ギルドに行った。
「なんだと、暗黒竜をテイムした凄腕テイマーが、あのにっくきカラスミ湖のレイクサーペントを退治してくれたと言うのか!!」
「その通りですよっ!! ギルド長!!」
あれだ、感激屋はカラスミ地方の民の特徴ではないのか。
ギルドマスターも頬を紅潮させて涙を浮かべて喜んでいた。
そんなにー?
「よくやってくれたリュート君、そしてあのにっくきレイクサーペントを売ってくれるというのか、それはとっても嬉しい事だ!」
「あ、はい、よろしくお願いします。あと、冒険者ギルド登録ってすぐできますか?」
「本来は二三日かかる、かかるが、君は町の恩人だっ、だから即日発行しようではないか、というか、冒険者登録してないのにこんなに凄腕なのか、それは凄いぞ」
「あ、春に十五歳になったばかりなので」
「おおお、それは凄い、凄いスキルを女神様からいただいたのだねえ、そうだろうそうだろう、勇者学園に通えるぐらいだからね、素晴らしい素晴らしい」
ああ、いやF組で鶏肋なんですが、まあ、そんな事を言うことはないね。
町長がやってきて感激劇場をまた最初から順番にやった後に、町の役所にレイクサーペントの剥製を置くということになり、全身をまとめて高値で引き取ってくれることになった。
「こんなに!」
「こんなにではないぞ、少ないぐらいだ、なにしろ、これから農業用水も補修できるし、町の人がピクニックにあの綺麗な湖にも行ける、それはとっても素晴らしい事なんだよっ」
「あ、はい」
「それでは町のレストランでお茶でも飲んで待っていてくれたまえ、すぐにシルバーの冒険者証を持って行くよ」
「え、銀冒険者になれるんですか?」
「そうだ、本来は鉄から始まって、鋼、銅、銀となるが、なにしろにっくきレイクサーペントのスレイヤーだ、二階級飛ばして銀カードを発行するよ」
「ありがとうございます、ギルドマスター」
冒険者ギルドを出ると、町の人がカンパを遠巻きにして見ていた。
ドラゴンだから怖いんだね。
『おかえりー、用事すんだー?』
町民から「しゃべった」「すごい」などの声が上がった。
「うん、しばらく町に居て、お茶でも飲むよ、カンパも飲みたい?」
「カンパちゃんの従魔鑑札も頼んでおいたわよ」
「わあいわあい、お茶のみたいー」
「じゃあ、変化して」
『あいー』
ボワンと煙がでて、カンパは裸ん坊の女の子になった。
すかさずペルさんがバスタオルを巻いてから、服をちゃっちゃと着せた。
手慣れているなあ。
「うおおおお、ドラゴンが女の子になったぞーっ!!」
「なんて事だ、町を救ってくれたのは、小さい可愛い天使のような女の子だったんだーっ!!」
「なんだってーっ!!」
というか、カラスミ地方の人、感激しすぎ。
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