第30話 王都の着物繊維通り
王都は色々な職務のお店が固まって一帯を成しているんだね。
武器防具鍛冶屋通りとか、生鮮食料品通りとかね。
衣服やアクセサリーは、着物繊維通りに集まっている。
王都の東側の着物繊維通りに、僕、ペルさん、カンパ、あとメロディでやってきた。
「わあ、服屋さんばっかりだね」
「着物繊維通りですからね、値段は……、まあ、高いですが王都なので」
「あ、本当だ、村の二倍とかするね」
まあ、村には布自体があまり売って無いけどね。
年に数回、行商人が売りにきたりするよ。
王都ではさすがに常駐のお店が成り立つぐらいお客さんが多いんだろうね。
キョロキョロしながら歩いて子供服の古着屋さんを見つけた。
大人用よりも、大きくなると要らなくなる子供服の方が良い物がでてるっぽいね。
「わあ、この色、カンパちゃんに似合いそう」
『貴族のお下がりかにゃ、可愛いにゃ』
「えー、色つきはやだー、白黒がいいなあ」
黒竜さんだから着る物もモノトーンの方が好きなのか。
「ええっ、可愛いのに、可愛いのに」
「あっちの黒いのが好き~」
『趣味が渋いにゃ』
さすがに子供服でモノトーンはなんかシックな感じの服しか無いかんじだけど、本人が好きならしょうがないね。
とりあえず、よそ行きと普段着を何着か買った。
モノトーンの服はあまり数が無いね。
「一着、一着は可愛いのを買いましょう、ねっ、ねっ」
「しょうがないなあ」
ペルさんオススメの可愛い服も一着買った。
凄い似合いそうだなあ。
下着と肌着も買って、店の奥で着替えさせてもらった。
「うおおお、いいじゃん、カンパ」
「そ、そうでしか、うふふふ」
「ああ、可愛いわあ」
『素敵にゃ』
モノトーンだけど、カンパがもの凄い美幼女なので、素晴らしくシックで可愛い感じになっていた。
「可愛いわねえ、お人形さんみたい、これはサービスよ」
「ありがと、おねえちゃん」
カンパはオマケとして子供用の小さなシルクハットを貰った。
頭にちょこんと乗せると途轍もなく可愛いねえ。
「服を脱いだり着たりして、すばやく着替えできるようになって、竜化するときは全部脱ぐのよ」
「おおきくなるとやぶってしまうね、キモにめいじます」
毎回、服を破り捨てて竜化してたらお金が貯まらないからね。
カンパの衣料はまとめて安ザックに入れて貰って僕が背負った。
「主さま、ペルおねえちゃん、メロディ、ありがとう」
「いやいや」
「いいのよ、お礼なんか、みずくさい」
『いいのにゃ』
「でも嬉しいから」
ああ、カンパは良い子だねえ。
うんうん。
あ、ジナンさんの仇敵の兜娘さんが居た。
古着屋さんで服を買っていたが、そんな時でも兜は取らないのね。
「なんだよ、【幼女テイマー】」
「いや、可愛い服を買うなら兜を取った方がいいかと思いますのです」
「……、素顔は恥ずかしいんだ、あんまり綺麗じゃないから」
『そうにゃのか』
「ややっ、猫が喋った、これは面妖な!」
そう言うとミリアさんはメロディを抱き上げて、なでなでと撫でた。
「今日はジナンめは居ないのか」
「居ませんね、寮で寝てるのかな」
「まったく、あの家は怠惰な奴ばかりだ」
しかし何があってジナンさんの家と不倶戴天の敵となってるのかなあ。
聞いてみたいが失礼になりそうだしなあ。
『なんで、ジナンを殺したいにゃ?』
メロディは遠慮がないね。
「いや、奴に遺恨はないが、奴の曾祖父が我が家の曾祖母を寝取り、それに怒った当主を惨殺したので、あそこの家は、我がミーガン家の不倶戴天の敵となり、ぶっ殺して血筋を絶やしたいのだ」
なんだか、もの凄い血生臭い由来であった。
なにやってんのカーソン家のご先祖。
「ずっとやっているのに血筋は絶やせなかったんですか」
「敵もさるものでなあ、腕自慢カーソンに返り討ちにあったり、討ち取ったりしたんだ。で、ジナン・カーソンは剣の腕も立たないし、スキルは【金魚】だしで、簡単にぶっ殺せそう、と思ってたら、卑劣にも殺人メイドなんかを護衛につけおって」
『いつまでも復讐してないで、水に流すにゃ』
「そうはいかない、絶対に在学中にジナンの首をあげる」
やれやれ、ジナンさんも大変だなあ。
ミランさんはなんだか可愛い春色のワンピースを買って包んでもらっていた。
趣味はちゃんと少女なんだなあ。
「それではさらばだ」
ミランさんはそう言って去っていった。
「変わった人ですよね」
「わりと勇者学園は変な人が多いね」
「そういえばそうでしたね」
それでも、みんな色んなスキルを持って、ちゃんと生きていて偉いよね。
その後、大通りのカフェテラスでランチを食べた。
初めて食べるものにカンパのテンションはうなぎ登りであった。
やっぱり幼女だから甘い物好きなのね。
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