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第28話 お風呂に入ってゆっくり寝る

 お騒がせのエリン先輩が帰ったので、F組一同はほっと安堵の息を吐いた。


「あんなに小さくて可愛いのに、処女じゃ無いのか、相手はだれなんだ……」

「いや、すまん、俺の兄貴だ、振られたがな」

「第二王子!!」

「いや、第一」

「「「第一!!」」」


 王様一直線の人がエリス先輩とねえ。


「え、でも、第一王子は婚約者が……」

「居たんだぜ、だが、エリンを妃として迎えたいのだ、と強弁しやがってよ、侯爵令嬢を婚約破棄してから、求婚のために王家の使者がエリンの実家に着いたら、普通に振られてやがってよう」

「あ、なんか第一王子様、良いとこ無いですね」

「スキルは【統率】で王位を継ぐには申し分ねえんだが、まあ若気のいたりって奴か」

「というか、そういう王家の秘密をべらべら喋ってはなりません、カービン王子」

「リュートはカッチリしてんな、よし、お前は俺の王朝の宰相な」

「はいはい、王朝が出来たら良いですね」

「ちえー、【チンピラ】舐めんなよ~」


 とはいえ、スキルがアレなだけで、カービン王子は結構王様の貫禄はある感じだと思う。

 なんだろうな、漢としての器の大きさがあるよね。

 王家ができたなら、僕も一生懸命手伝いたい気持ちはある。


「兄貴、俺は俺は?」

「ジナンはなあ、あれだ、軍隊を率いろ」

「俺のスキルは【金魚】で【統率】でも無いし、【軍略】でもありませんや」

「でえじょうぶだ、世間の奴らはスキルに期待しすぎだ。スキル無くても勉強すりゃ将軍はやれるし、なりたい自分を目指して努力し続ける事が、まあ大事なんさ」

「そんなもんすかね」


 ジナンさんは納得してないけど、僕もまあ、その通りだと思う。

 僕も羊飼い用のスキル無くても羊を追い回していたしね。

 有れば便利で活躍できるのだろうけど、無いと絶対に願った職業になれない、という訳でも無いらしいね。

 まあ、人生は奥深いのだ。


「よし、風呂に行こうぜ、ジナン、リュート」

「お背中流しやすぜ、兄貴」

「ご一緒しますよ」

「主様~~、私も一緒にはいる~~」

「いやあ。ペルさんお願いします」

「はいな、カンパちゃん、ペルおねえちゃんとお風呂に入りましょうね」

『サテンも入るにゃ』

「え、三日前に入りましたよ、まだそんなに臭くないです」

『王都の乙女は毎日入浴するにゃ!! これは鉄則にゃ!!』

「は、はひ」


 女子組も一緒にお風呂に行くようだね。

 男子組も部屋に戻ってお風呂セットを持って二階の浴場へ。

 自習室のブースでマノリトさんが勉強をしていた。

 僕の目が合うと、彼はフンとそっぽを向いた。


「リュートが無意味にモテるからよう、マノリトが嫉妬してんなあ」

「いや、モテてもですね、性行為するとテイムが外れるので潤いがありませんよ」

「なに!!」


 マノリトさんが凄い勢いで振り返った。


「君のテイムは相手と性行為は出来ないのかねっ!!」

「え、ええ、処女じゃ無くなると幼女の範囲から外れるみたいなので」


 マノリトさんは目を閉じ、天を仰いだ。


「ああ、神のなさることに無駄はないのだ。ありがとう女神」


 なんで震えながら超感動してるのだ、この人。


「リュートが意味無くモテモテなので嫉妬していらついていたけど、話を聞いてみると生殺しハーレムなので安心した、という所かよ」

「さすがはカービン王子、慧眼ですな」


 その通りなのかよっ!


「いやあ、リュート君、僕が狭量だったようだ、これからは良いルームメイトとして付き合ってくれたまえ」


 なんだかマノリトさんは上機嫌だな。


「人がどんなにモテようと気にする事はねえじゃねえか」

「そうですね、まったく、ははは」


 なぜだか上機嫌のマノリトさんを置いて、僕たちは浴場へと入った。


「解せん」

「まあ、他人が幸運だったり、幸せだったら不幸に思う人間も居るってことだよ」

「ああ、俺もリュートが生殺しハーレムと聞いて嬉しかったあ」

「ジナンさんもなんですかっ、僕なんかペルさんと一緒に色々関係を深めたいのに、駄目なんですよ」


 ざあっとかけ湯をして浴槽へと入る。

 肩まで浸からないとね。


「マジで、この幼女テイムのスキルは変な感じだよな。ハーレムを作るというよりも、無限に妹を再生産するみたいな感じだ」

「……」


 それはあるのかも、死んだメリーの代わりに沢山の妹と絆を結びたい、という僕の隠された気持ちがこのスキルを変質させているのかもしれないなあ。

 なにしろメロディが偶然に割ってできてしまったスキルだから、得体が知れない所がある。

 竜をテイムとか、やっぱり威力が凄すぎないだろうか。

 これからの人生全てをカンパに頼りきりで生きて行く事も出来るだろうし、カンパもそれを嫌がらないだろう。

 何しろ黒竜だからねえ。


 まあでも、そういう怠惰な人生はまっぴらごめんで、ペルさんが居て、カンパが居て、僕も何か出来る事をして、三人でずっと笑い合いながら生きていけたらいいなあ。


 魔王さんに殺されなければ、だけどね。


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― 新着の感想 ―
妹をどんどん増やしていくって、某ローグライトゲームみたいだなあと思ってしまったのですわ まあペルちゃんの方はテイムが外れても大丈夫な気がしますけどね。心配してるのは本人だけでしょ
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