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第21話 ドラゴンライダーの実力

 さすが【馬術】スキルだ、縦横無尽にドラゴンのブレスを避けまくる。

 僕とカービン王子はナンヌさんに抱えられて急制動や急旋回に耐える。

 というか、馬、馬の挙動を越えている。

 つんのめるように急制動して、馬体を振るようにして攻撃をよけるとか、あり得ないぞ。


「なかなか上手いな、ナンヌ」

「このまま隙を見て逃げるわ、王族が死んでは駄目よ」

「それは駄目だぜっ!」


 カービン王子は馬体を蹴り飛ばしてナンヌさんの腕から離れ、路上で回転して勢いを殺して、再度黒竜へと立ち向かう。


「馬鹿王子!! チンピラっ!!」


 ナンヌさんは王子を口汚くののしって、僕を放り出した。

 王子を見習って路上で回転!

 あいた、転んでお尻を打ったよ。


ご主人様(マイマスター)!! 襲撃ですか!!)

(ああ、念話があった、ペルさん魔王軍が来た、助けて!)

(今行きますから!)


 慣れない力は使う事を忘れるからいけないね。


「ペルさんが来ます」

「おうっ! 百人力だ!」

「人形姫は心強ええ!」


 しかし、勇者学園なのに、勇者候補は来ないのか。

 これだけ大暴れしているのに。


「はははは、何人来ようと暗黒竜カンパリアにはかなう訳があるまい、諦めて、死ねい!!」


 暗黒貴公子リッチモンは、そう言うと、黒竜にブレスを吐かせた。

 くそ、火は範囲攻撃だから避けにくいし、近づけない。

 ロッカさんが独特の歩法でブレスをかいくぐり、ナイフの一撃を加えるが、竜の鱗を貫けない。


「勇者学園というからどんな猛者がいるかと思ったが、雑魚ばかりだな、もう飽きた、死ねっ!」


 黒竜が僕に向けて突進してきた。

 杖を構える。

 口が大きく開き、ブレスが吹き出してきた。

 姿勢を低くして地面を転がり、炎を避けて横に取り付き、リッチモンの足を杖で殴打した。


「ぐっ! 貴様っ! 棍棒ごとき下賎な武器で我が体を打つとは、許さんぞっ!」


 リッチモンは大剣を抜き打ち、僕を切ってきた。


 ガチン!


 何度も言うが、杖は防御力が高い武器だ。


 ガキンガキン!!


 だが、避ける事しか出来ない。

 竜の前足も参加して、僕を打ち殺そうとしてくる。

 ドカンドカンと石畳が砕けて飛んでくる。


「死ねい、【幼女テイマー】!!」


 リッチモンの大剣が複雑な軌跡を描いて僕の頭上に振り下ろされた。


 ガッ。


 なんとか受ける。


「くそっ! 何と言う防衛力か!!」

「しゃあああああっ!!」


 小柄な銀髪の女の子がレイピアを構えて飛びこんで来て、リッチモンの腕を貫いた。


「ご無事ですか! ご主人様(マイマスター)!!」

「ペルさん!!」

「ぐっ!! 貴様あ、何やつだ!!」

ご主人様(マイマスター)の奴隷、ペルリタ!!」

「は、ははっ!! その薄汚いスキルの犠牲者か!! 情けない奴、死を持ってお前の尊厳を救ってやるぞ!!」

ご主人様(マイマスター)との繋がりは我が誇り! 侮辱するその口を二度と利けぬように縫い付けてやろう!!」


 うおお、ペルさん格好いい!

 やっぱり、戦っているペルさんは三割ましに魅力的だな。


 ペルさんの得物はレイピアで速度で突く武器だ。

 黒竜は強いが鈍重だ、高速でペルさんはドラゴンの周りを跳び回り騎乗しているリッチモンを狙った。


「くそ、何と言う手練れか!」

「よし、たたみかけるぜ、ロッカ、リュート」

「あいよう、王子さん」

「了解ですっ」

「がんばれーみんなー」


 ジナンさんは木陰で応援だ。

 剣もあまり強く無いし、スキル【金魚】では戦いようが無いからね。


「くそっ、卑劣な奴らめ!! 飛べ! カンパリア!!」

 GAOOON!!


 一声吠えて黒竜は空に舞い上がった。

 ペルさんの刺突が空振りした。

 空から、何を?


「わはは、航空戦力の恐ろしさ、思い知るがいい!!」


 上空から高速で飛来して、ドラゴンが僕に向けてブレスを発射した。

 長いブレスではなく、弾丸型のブレスだった。


「あぶない!!」


 僕は転がって避けた。


 ドカーン!!


 竜弾は路上に着弾して爆発し、大穴を開けた。

 あんなもの、直撃したら体がバラバラになってしまうぞ!!


 ペルさんが飛行の軌跡を読んでジャンプで攻撃しようとしたが、黒竜の動きは鋭く、避けられた。


「くっ!」


 また高空に舞い上がり、そして急降下で竜弾での攻撃を繰り返す。


「飛び道具ぢゃねえと落とせねえっ! クソッ!」


 ロッカさんが黒竜の急降下に合わせてナイフを投げたが、鱗に弾かれた。

 みな、なんとかギリギリで避けているが、まぐれでも竜弾が当たったらそれで終わる。

 負傷して動きが鈍ったら空から黒竜が飛びかかり八つ裂きにされるだろう。


 くそ、どうしたら!!

 弓とかのスキル持ちは居ないのか。


「こまってるかー」


 だぶだぶの白衣を纏った小柄な少女がやってきた。

 リボンの色からすると上級生だ。


「エリン・トーホグ、S組、職業は研究者、スキルは【鑑定眼】だ」


 うおお、なんだか頼りになりそう!!


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