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第18話 晩ご飯を食べて、裸のお付き合い(男子)

「あわー、あわあわ、ここのご飯おいしいでしゅ! 三級食堂も美味しかったですけどーっ!」


 サテンさんが興奮気味に晩ご飯をがっついて食べている。

 マ、マナーがなってないなあ。

 というか、三級食堂のご飯が美味しい?

 正気かサテンさん。


「サテンのスキルが解ったぞ、リュート」

「人のスキルを詮索しちゃいけませんよ、カービン王子」

「そうか?」

「良いじゃねえかスラムの女なんか人間の範疇じゃあねえんだからよう」


 まったくジナンさんは差別的で困るね。

 カービン王子は声を潜めた。


「【健啖家】だそうだ。なんでも美味しく食べられる」

「それはそれは」

「スラム女らしいスキルですなあ、しかし、そんなので勇者学園に入れますか」

「今現在、なんでも食べられるそうだ。うん、ゴミでも、毒でも」

「ああ、それでですか、王府は毒見役とかに抱えるんすかね」

「そうだろうなあ」


 毒でも何でも食べられるのは凄いな。

 それで三級食堂のご飯が美味しく食べられるのか。

 すごいぜサテンさん。


 ちなみに、ミランダさんの晩ご飯は、まあ普通かな。

 不味くはない。


「お料理はペルさんの方が美味しいね」

「うふふ、ありがとうございます、ご主人様(マイマスター)

「ちっ、いちゃいちゃすんじゃねえよ」

「まあ、そう言うなジナンよ」

「へ、へい、カービンの兄貴」


 メロディがすたすたとサテンさんの方に行った。


『食べ方がきたないにゃ』

「え、食べ物は美味しく食べれば良いっておとうさんが」

『この寮には色んな階層の人間が居るにゃ、あのケバい貴族女とかは不快そうな顔でこっちを睨んでいるにゃ』

「あ、そ、そうかな」

「そうだっ、不愉快だ、てめーっ」

『というように難癖をつけてくるので、マナーを覚えるにゃよ』

「え、でもその、誰に教われば……」


 ペルさんが席を立ってサテンさんの方に行った。


「私が教えますよ、すぐ覚えますから大丈夫ですよ、サテンさん」

「ペルリタさん……、ありがとう、私は本当に当たり前の事が何もできなくて、情けなくて……」

「大丈夫、だんだんと覚えて行けば良いんですよ」

「はい……」

「そんな臭え女は追い出しゃあ良いんだっ!!」


 ペルさんは無表情で振り返った。


「うるせえ、ケイト、殺すぞ……」

「ひいいっ!」


 ペルさんは礼儀正しいし、優しげだけど、心の中は武闘派だからなあ。

 ケイトさんも喧嘩売らなきゃ良いのに。


 マノリトさんも食堂でご飯をたべていた。

 やあという感じに手を振ったが、そっぽを向いて無視をされたよ。

 まだ怒っているのかなあ。


 ご飯を食べ終えた。

 うん、満足満足。


「それでは、自習室でお勉強をしましょう、ご主人様(マイマスター)

「ええ~」

ご主人様(マイマスター)は学業が遅れておりますから、勇者学園での授業に付いていけませんよ」

「はい……」


 ペルさんは厳しいなあ。

 まあ、教科書も貰ったし、ざっと目を通していこうかな。


 階段を上った二階に自習室はある。

 本とかが並んでいてなかなか良い雰囲気だね。

 僕は鞄から教科書を出して机に広げた。

 メロディの毛がいっぱい付いてるなあ。

 ペルさんが懐からブラシを出して拭き取ってくれた。

 当のメロディは机の上で箱座りをしている。


 うわ、教科書難しそう。

 僕は田舎の寺子屋出身だから、レベルが足りて無い感じだなあ。


「ペルさんは解るの」

「はい、私は優秀なので、これくらいは」

「すごいなあ」

「えへへ」


 メロディが僕の開いた教科書を読んでいた。


「面白い?」

『結構解るにゃあ』


 メリーはドジだったけど、勉強も頑張っていたからね。

 うん。


 自習室とはいえ、壁で閉鎖されてはいないのでお風呂に行く人の姿が見える。


「おい、リュート、風呂行こうぜ」

「お、行きますか、ジナンさん」

「行こうでは無いか、リュート」


 カービン王子はチンピラ口調と王子様口調が混ざって変な感じだよね。

 で、ジナンさんはずっとチンピラ口調だな。


「じゃあ、ペルさん、僕は行ってくるね」

「はい、お片付けはお任せください」

「おねがいね」

「俺らは先に行ってるから、風呂用品と着替えもってこいよな」

「わかりましたー」


 トントントンと階段を一段飛ばしで上がって自室である302号室に入り、鞄から入浴用品とパジャマを取りだした。

 しかし、お風呂に毎日のように入れるとは王都は恐ろしい所だね。

 スラムほどじゃないけど、僕らのいた村でも入浴は週二回ほどだよ。

 魔道具で一度、寮の屋上貯水槽まで水をくみ上げ、それをお風呂の魔導ボイラーに循環させてお湯を作っているそうだよ。

 いやはや便利な時代だね。


 脱衣所で服を脱ぎ、浴場に入ると、カービン王子とジナンさんは先に入っていた。


「お、来たなリュート、意外に良い筋肉だなあ」

「羊飼いだから良く歩くんだろうぜ」

「まあ、そうですね」


 僕はかけ湯をして、湯船に入った。

 おお、良い湯加減だな。


「まあ、その、なんだな、なにげに良い奴だな、お前」

「ありがとうございます、ジナンさん」

「俺はこんな性格だから、よく誤解されるんだけどよお、まあ、多めにみてくれや」

「はい、解ってますよ」


 口調は荒いし、気分屋さんだが、まあ、それほど悪い人では無いね、ジナンさんは。


「わはは、仲直りか、良いな、そのうち俺がお前達二人を公爵家で雇ってやるぜ」

「おお、公爵家の執事ですかい、そりゃあ良い」

「夢が広がりますね」

「まあ、どうなるかわかんねえけどな」


 そう言ってカービン王子は顔にお湯を掛けてぬぐった。

 いやいや、きっと良い公爵さまになると思いますよ、僕は。

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― 新着の感想 ―
何でも美味しく食べられるのは幸せだよね 毒も美味しく食べられるとして、効くかどうかは別の話かな?
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