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第17話 F組寮の全貌

 マノリトさんはカンカンに怒って乱暴にベッドの上に荷物を投げ捨てると302号室を出ていった。

 怒る事無いじゃんよ。


「なんですか、あのデブは、ご主人様(マイマスター)にむかって」

「ペルさん、あなた、ときどき口が悪いね」

「あらっ」


 僕が指摘するとペルさんは頬を赤らめてイヤイヤと手を横に振った。


 メロディは僕のベッドの上で毛繕いをして箱座りをした。

 んふー、可愛いねえ。

 と撫でていたら、シャー! とマジギレされた。

 とほほ。


「魔王さんの刺客はいつ頃くるかなあ」

『わからないにゃ、どっしり構えているのにゃ』

「何があってもご主人様(マイマスター)は私が命に替えても守りますから」

「命は大事だから無理しちゃ駄目だよ、ペルさん」

ご主人様(マイマスター)……」


 あ、目をうるうるさせるのは要らないから。

 その攻撃は僕に効くから。


ご主人様(マイマスター)は武道の覚えは無いのですか?」

「一応、杖の方は練習したいんだけどねえ」

「羊飼いらしい武器ですね。練習の方のお手伝いはお任せくださいね」

「うん、ペルさんは強いから頼りにしているよ」

ご主人様(マイマスター)……」


 うるうるはやめなさいって。


「寮の中に訓練をする場所はあるのかな」

「裏庭に稽古場がありましたよ」

「よし、見にいこうか」

「はい、ご主人様(マイマスター)

『わたしもいくにゃ』


 階段をトントンと下りる。

 古びた建物だけど、掃除はきちんとしている感じだ。

 ヘレナさんがやってるのかな。


 一階に着いた。

 この階には玄関があって、中に入るとロビーがあって、その奧が食堂だ。

 今はケイトさんがヘレナさんに絡んでいる。


「もっと良い部屋はねえのかよ、ああ?」

「ありません……、広い部屋はあるんですが……」

「いいじゃねえか、そこに入れろや」

「自殺者が出た部屋なので……、オバケでますし、呪われて死にますよ」

「ひいいいっ」


 不良のケイトさんもオバケは苦手のようだ。


「何見てんだっ、性犯罪者」

「なんだと、おまえ、いまご主人様(マイマスター)に何を言った」

「げ、げえっ、これが人形姫かっ」

「そこに手を付いて土下座しろ下品な女め」

「て、てめえは性犯罪者の性奴隷のくせに……」

「ペルさん、それ以上いけない」

「ちっ、ご主人様(マイマスター)はお優しい人だ、感謝しろ」

「ひいいいっ」


 ペルさんのレイピアがケイトさんの目を貫く所であった。

 というか、ペルさんは僕の事になると狂犬のようになるのが難だよねえ。


 ケイトさんに関わるとろくな事がないので、腰を抜かしている彼女の事は放っておいて、僕らは玄関から寮の外に出た。


 裏庭には家庭菜園の真ん中の道を通って行く。

 というか、【農業】スキル持ちがいるのか、プロっぽい美味しそうな作物だね。


 裏庭にはサンドバックがあったり、土舞台があって結構いい感じに練習場っぽかった。


「うん、これは良いね」

「明日から朝練をしましょう」

「うう、まあしましょうか」


 朝から運動は辛いけど、ペルさんが付き合ってくれるならばしかたがないね。


 さて、反対側の庭は庭園風になっていて東屋とかあるね。

 でも掃除されてないから汚いね。


「ここは早めに掃除をいたします、一緒にお花を見ながらお茶を飲むのです」

「は、はい」


 ペルさんは意思が強そうで元気だよなあ。


 玄関から寮の中に入った。

 食堂に料理をしているお姉さんがいた。

 良かった、第三食堂のおばさんじゃないね。


「新入生? 私はミリンダ、まかないよ」

「よろしくお願いします、リュートと言います」

「ペルリタです」

『メロディにゃ』

「ぎゃあああ、喋る可愛いネコチャン!! お魚食べますかっ!」

『お魚もお肉もたべるにゃよ』

「それでは、寮生と同じ食事をご用意しますね」

『ありがとうにゃ』


 メロディがポフポフとミリンダさんの足をはたくと、彼女は萌え死に、ひざまずいた。

 猫好きな人が多いなあ。


 階段を上がって二階は自習室とお風呂がある。

 お風呂は女風呂、男風呂と別れているよ。


ご主人様(マイマスター)のご入浴は?」

「晩ご飯の後だね」

「お背中を流しますよ」

「い、いりません、カービン王子とジナンさんと一緒だから駄目だよ」

「ちっ」


 ペルさん、あなた、今舌打ちしましたね。


 階段を上がって、三階は僕ら平民系の生徒の部屋がある。

 サテンさんも三階っぽいね。


 さらに階段を上がると四階、下級貴族さんたちはここに入る。

 五階は高位貴族、伯爵以上ぐらいの貴族さまのお部屋である。

 ジナンさんのお部屋はこの階だな。

 ロッカさんが珍しく働いていると思ったら面倒臭そうに荷物をどかどか部屋に投げ入れていた。


 さらに階段をあがると、六階だ。

 ワンフロアを使った王族用のスイートルームだよ。


「お、リュート、寮内探検かよ」

「そうですよ、カービン王子」


 王子はなんだかジャージ系のラフな格好でくつろいでいたようだ。

 というか、奧にメイドさんと執事さんがいるな。

 まあ、王子様だから使用人もいるね。


「カービン王子はお部屋でお食事ですか?」

「いや、料理人は連れてこなかったから食堂でみんなと食べるぜ」

「そうでしたか」


 カービン王子は、わりと庶民的で気さくだよなあ。


 さらに階段を上がると、屋上だ。

 わあ、遠くまで見えるなあ。

 学園も見えるね。


「ここで三年間、私とご主人様(マイマスター)は生活をするのですね、楽しみです」

「うん、僕も楽しみだよ、ペルさん」


 僕とペルさんは顔を見あわせて笑い合った。

 ああ、なんだか女の子とこんなに一緒で仲良しであった事は無かったから胸がポカポカして幸福感があるねえ。

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羊飼いといえば、巨人を倒した必殺兵器、石投げ紐(スリング)があるではありませんかwktk
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