君と僕
皆さんこんにちは!作品に興味を示していただき、ありがとうございます!本作はシリーズ作品の2話目となっておりますので、1話目を読んでいない方はぜひそちらから読んでいただくことをおすすめします。1話目に引き続き、主人公に語りかける謎の声の正体は何だったのでしょうか?今回の声の主は前回とは違うような気がします。作者が小説初心者であるがために、大変読みにくくなっておりますが何卒お楽しみください!
収まらない耳鳴りと、このどうしようもない苦しさを、どうやったら止められるだろう。教室の実態に気づいていながら、相談したところで「気にしすぎです。」の一点張りの先生と、仕事が忙しいらしくろくに家に帰らない父さん。おじいちゃんとおばあちゃん、それから友達にだけはこの惨状を知られたくない。
母さん....は、絶対に駄目。私は悪い子だから。母さんの期待に応えられない、不良品で失敗作。
―本気でそんなこと思ってるわけー?ほんとはー、お母さんに失望しただけじゃない?
今のクラスになってから、成績が落ち始めた。学級委員にも、生徒会のメンバーにもなれなかった。1から5の五段階評価のうち、「3」で埋まった成績表。それに反して、殆どが空白の備考欄。本来ならこの空白は、クラス代表だとか、音楽発表会の指揮者だとか、キラキラした役職名で溢れかえっていたはずだ。かろうじて記されている「掃除係」と「音楽発表会:トライアングル」の二行が妙に虚しかった。
なんとも平和な「3」の整列と、埋まらない備考欄。悔しかった。と、同時に次はもっと頑張ろうとも思えていた。母さんならきっと、私を励まして「また一緒に頑張ろう」と言ってくれると信じていた。
「情けない」
ため息混じりのその言葉が、母さんのものだと理解するには時間がかかった。あまりにも冷たい声だったから。
「やっぱりあんたは失敗作だわ。今まで散々あんたに尽くしてきたのに、こんな結果で返すの?大した取り柄もないんだから、成績ぐらいは良くなくちゃ。いつからこんな悪い子になったんだろう?育て方を間違えたかな。お前はもとから不良品だったってことか。あんたみたいなのはもう要らない。」
何を言っているかわからなかった。ただあのときは、これ以上あの場にいることが耐えられなくて、とにかく一人になりたくて、自室に駆け込んだ気がする。そこから先は―。
あとになって、やっと母さんの言葉を理解した。私は失敗作。失敗作でろくでなし。母さんの期待に応えられない悪い子で、不良品。そんな私はきっと、母さんに話すら聞いてもらえない。もっと頑張らなくちゃ。期待に応えなくちゃ。いい子にならなくちゃ。...本当に?
―ほんとにー?本気でそんなこと思ってるのー?違うでしょー!お母さんに怒られたくないから我慢してるだけでしょー!僕わかるよー。お母さんに縛られるのー、もう嫌なんでしょー!もううんざりなんでしょー!
冷たい、痛々しい言葉を浴びせて、イライラして泣き叫んで、それでも怒りが収まらないからおばさんやおばあちゃん達に言いふらす。父さんと母さんの喧嘩後の恒例パターン。私の場合も、それは適応した。やっと気づいたよ。母さんは、そういう人だ。自分の思い通りにならないと、いつもこうだった。うまくいえないけど、わかった気がする。
...母さんにどう思われたって、別にどうでもいいかな、と初めて思った。母さんを喜ばせるためとかじゃなくて、結局母さんに怒られるのが怖かっただけなのかもしれない。今までどれだけ我慢して、母さんの期待通りに生きても、一回間違いを犯せばすべてが崩れた。我慢なんてもう懲り懲り。母さんとか、クラスのみんなとか、先生とか、いつもみんなの顔色伺ってばっかりで、いっつもビクビクして、そんなのもう嫌。ほんっと、もう嫌!
―そう、これが君の本音。我慢なんて面倒なこと、もうしなくていいんだから。大丈夫!君の本音は、ぜーんぶ僕が気づかせてあげる!
母さんに、相談「できない」のではなく、「したくない」のだ。自分の本心に、やっと気づいた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!1話目に引き続き、主人公に語りかける謎の声の正体は何だったのでしょうか?今回の声の主は前回とは違うような気がします。
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