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聖女召喚?

「召喚成功だ!」




誰かが声を上げる。私自身も召喚成功したことへの安堵で力が抜けその場に座り込んでしまう。




「おい、あの御姿は……」




周りのざわめき声でもう一度人影の方を見る。その人影はこちらに向かって歩いてくる。その姿がはっきり見えるにつれて驚きが増していく




「ん?大丈夫かい?ほら、手を貸してあげるよ」




手を差し出してきた私と同じ見た目、声をした金髪の男…………私は聖女を呼び出したはずなんだ。確かに成功したはずなんだ。成功しなきゃならないんだ






私の名はリヒト。フュンフシュターン王国の王太子である。そして現在この世界は危機に瀕していた。なぜならこの世界は瘴気に侵され気が狂ってしまう者が増え魔物が凶暴化し魔王が現れたからである。このままでは間違いなくこの国、そしてこの世界は滅んでしまうだろう。滅ぶことを願っている国もあるらしいが我が国は違う。今日私はついに王命を下された




「王太子リヒトよ、王として命ずる。この聖女召喚を成功させて見せよ」


「はっ、必ずや成功させこの国に繁栄をもたらして見せましょう」




聖女とはおよそ1000年前に呼び出された1人の少女のことである。その少女は全属性の魔法、そして使い手が少ない光の魔法……すなわち癒しの魔法を使えるという。それだけでなくこの世界に溢れている瘴気を祓えるというのだ。毎年異世界人の召喚は行われているものの成功したとしてもほかの人より少し優れている程度。聖女が現れることはなかった。召喚成功自体百年に一度成功すればよい方ではあったが。神殿も毎年召喚は行っているようだが召喚成功したことはないらしい。理由は分からないが。神殿はそれを王家のせいとして長年敵対しあっていた。成功する確率がほぼない召喚。だが私は成功させなければならない。これに全てをかけてもいい。魔法陣の前に立ち手を合わせる。それと同時に魔法陣が紫に怪しく光り始める。魔力が魔法陣に吸われている感覚がある。次第に煙のようなものがで始める。これは…




「成功、したのか?」




煙の中に少しずつ人影が現れ始める。よかった、そう安心すると体から力が抜けていく。魔力も一気に失ったし限界か?召喚、されたのが聖女ならいいんだが




「召喚成功だ!」




そんな従者の声を聞いてほっとする。




「おい、あの御姿は……」




周りのざわめき声でもう一度人影の方を見る。その人影はこちらに向かって歩いてくる。その姿がはっきり見えるにつれて驚きが増していく




「ん?大丈夫かい?ほら、手を貸してあげるよ」




手を差し出してきた私と同じ見た目、声をした金髪の男…………変装の魔法か?つまり、聖女ではない…私は聖女を呼び出したはずなんだ。確かに成功したはずなんだ。成功しなきゃならないんだ。




「おーい、お兄さん大丈夫?」


「あ、あぁ」




目の前の男に話しかけられるが生返事しかできない。どうすればいい、このままじゃこの世界は…




「あ、申し訳ないんだが迷子になったみたいで…ここ特設会場?販売ブースどこかわかるかな?」




特設会場…販売ブース…一体何を言ってるんだ?そう考えてると召喚の間の扉が開かれる。そちらを見ると父がいた。ああ、失敗したことをもう知ってきたんだな。もう、諦めるしかないのか




「リヒトよ、聖女召喚に成功したのか!おかげで周辺の瘴気が一気になくなった…ぞ……」




父はこちらに目を向け俺と目の前の男を見て固まる。




「リヒト、分身魔法でも使えたのか?」


「いえ、違いま…え?今、なんと?」


「いやだから、リヒトは分身魔法が使えたのか、と」


「そ、その前です」


「あぁ、そうだ。周辺の瘴気が一気になくなったからな、聖女召喚成功したのだろう?で、聖女様は今どちらに?ここら辺に見当たらない気がするんだが……」




きょろきょろとあたりを見る父。なんだ?瘴気が祓われた?じゃあ俺は聖女召喚を成功させて、それで目の前のこの男が聖女だというのか…………




「はは、聖女ってのは女とは限らないんだな」




そう笑いながら俺の視界は暗く染まっていった。魔力を使いすぎたか……

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