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不撓不屈の奪還記  作者: じゃんべら
第1部 魅入られた者達
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伝承

カシャは村に戻ると、すぐさま広場で侵入者の確認を行った。

「いた」

「え、間隔短いですね。嫌だな」

呑気にそんな事を言うシャド。

「到達は2日後、数は...数は...」

「どうしました?」

なかなか数を言わないカシャに疑問をぶつけるシャド。

「数は....わからない。今日倒した侵入者達の数倍。少なくとも200人ぐらいはいる」

淡々と事実を述べるカシャ。

「...」

それに対して、一気に静かになるシャド。

「加えて、横長の形...いや、陣形というべきかも」

「陣形?そ、それってまさか...」

「最近の侵入者達と違い、あきらかに理性がある。話が通じればいいけど、最悪なのは...」

「理性を持ち、かつ敵対してくること」

「ど、どうしましょうか。呼びかけをするにしたって、失敗が死に直結しますよこんなの」

「矢文を書く。それ以外には...」

「うーん、なかなか思いつきません」

それきりシャドとカシャはしばらく無言で考え込んでいたが、唐突にカシャが声を上げる。

「あ」

「何か閃きましたか?」

「こういうときは、倉庫」

「え、倉庫?カシャの家の倉庫ですか?」

「いや、村の倉庫。そこには伝承を記した粘土板がある。内容は巫女が全て覚えているから緊急の避難で持っていく可能性は低い」

「まだ話が見えてこないんですが、粘土板に問題解決の鍵が?」

「伝承は故事を記す。何か知恵を得られるかもしれない」

「ああ、なるほど。そういうことですか」

シャドは温故知新という言葉を思い浮かべた。





「うわ、こんなに保管されてたんですか。これは持ち運べない」

暗い倉庫の中に所狭しと並べられているのは数百枚の粘土板。

「村で行われていた儀式、祭り、そういった催しで用いることがある。その時以外は蔵で眠っている。そういえば、シャドは文字が読めるのか?」

「読めないです」

「なら私が読み聞かせよう」



遠い昔、人々は奇術、邪法、外法を極め神に迫らんとした。神は人の呼びかけに応じ、様々なものを大地に与えた。しかし、神が与えたものは人々の身に余るものだった。こうして神に迫らんとした愚かな人々は死に絶え、僅かな賢き者達が生きながらえた。村も、町も、国も、一度は全てが失われた。



「おお...」

カシャの淡々とした喋り方はこのような神秘的な話と相性が良いらしく、不思議な荘厳さをシャドは味わった。

「こうした大きな話から、村の中で起こった話まで様々な話がある。次はこれ」

カシャの読み聞かせは夜遅くまで続いた。





「かなり面白くて、解決策を考えることを途中から忘れていました...」

申し訳無さそうにシャドが言う。

「私も、声に出して読むということが面白くのめり込んでしまった」

カシャは特に問題を感じていないようだ。

「そういえば、最初にカシャは祭りや儀式で粘土板が使われると言っていましたが、儀式や祭りとは何をするんでしょう」

「土地と神と祖先に祈り、豊饒を願う、それと...何をしていたんだろう。村にいたときは子供だったから、夜が更けると寝てしまっていた。たしか祈りが終わったあと、なにかしていた筈。思い出せない」

「ちなみにカシャは親が誰かわからないと言ったことがありましたけど、血の繋がった親子で一緒に住んでないということは、同年代の人とまとまって住んでいる感じですか」

「年齢と性別で分けられていた」

「なるほどなるほど...もしかして、子供が生まれる時期が重なることが多かったんじゃないんですかね」

「子供が生まれる時期が重なるのはどの生き物も同じではないの?」

「いや、人間はばらつきが激しいはずなんですが...やっぱりなんでもないです。変なこと聞いてすみません」

「質問と質問の繋がりがよくわからない...あ」

カシャはすぐに何かをひらめいた。それに少し焦るシャド。

「そうか、大人たちはあの後集団で交」

「ほんとにすみませんでした」

真相に至ったカシャが全てを言い終わる前に謝罪するシャド。

「なぜ謝る?」

「...。気を取り直して、侵入者との接触についですが。遠くから声をかけてみて、少しでも違和感を感じたら一旦撤退する、これしか考えられません。多分平和に収まることはない気がします」

「その時に考えるしかない。今日は鍛錬してから寝よう」

結局解決策は見つからなかったが、二人共時間を無駄にしたとは思わなかった。


特に短くなってしまいました。調整下手ですみません。

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