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5-1.悪鬼の城塞、紅の庭にて

 私が上野を発ったのは十一月四日の昼前であった。


 漆黒の単車に跨がり、帝都を北へと疾走する。

 輸入車輌販売店である山口勝蔵店(やまぐちかつぞうてん)より取り寄せたインディアン社製・スカウトである。

 陸軍で導入しているものとは異なり、このバイクには側車も荷台もない。利便も洒落気も削ぎ落とした、内燃機関の銀色が映えるだけの無骨な鉄馬である。


 法定速度の十マイル――時速十六キロなど疾うに振り切っていた。道中、運悪く遭遇した交通課の赤バイに尾けられもしたが撒くのは容易であった。仮令(たとえ)、登録番号を控えられていたとしても馨が内々に処理してくれるであろう。


 側鏡を見れば、先刻から一台の軍用車両が後方を走っている。それだけではない。空には無数の鴉が飛び交っているし、何者かの纏わりつく視線すらも感じる。

 大方、馨の差し金だろう。

 私の居場所を突き止め、応援を寄越そうという算段なのだろう。


 ――好きか嫌いかで云うと好きだけれど――。

 ――そういう好きじゃないのよ――。


 不意に、馨の貌が脳裏を過ぎる。


「止せよ、隊長。俺には勿体ない言葉だ」


 初めて会った時から、馨が敬愛ないし好意を抱いてくれるのは分かっていた。有り難いとも思う。だが、今だけは迷惑であった。本件ばかりは、誰の助力も得ず、ひとりで挑みたかった。そうでもしなくては、私は次の時代を生きることができない。


 単車を加速させ、後方の自動車も、上空を舞う鴉も、不可視の結界も、胸に宿る暖かな慕情すらも――全てを置き去りにする。


 (しばら)く走り続ければ、田園ばかりの光景に変わる。更に進めば林道に差し掛かり、傾斜がきつくなる。鉄馬での進軍はここまでであった。後は徒歩(かち)となる。


 獣道かと見紛うほどに荒れた山道を突破すれば、すぐ件の屋敷が見える。

 高い石垣と漆喰の塀に囲まれた館は、平屋ながらも規模があり、最早城塞と呼ぶべき代物である。塀に点在する赤茶けた染みは、当時の戦闘の名残である。あちこちに転がっている(かび)の生えた棒切れは人骨だろう。



 閉ざされた門を叩く。


「御免。入れて戴きたい」


 ややあって、誰かが近寄る(あしおと)がする。


「何者だ?」

「帝都抜刀隊、坂ノ上龍臣だ。鬼女紅葉に招かれた。証拠の手紙も持参している」

「待て、今開ける」


 少々してから門が開かれる。武装した三人の男がいた。各々が刀や槍などの得物を構え、こちらを睨んでいる。


「話は聞いているぜ。だが、その手紙とやらを見せてもらおうか」


 先頭の男が云った。書簡を渡せば、中身を検めた男は頷いた。男の合図で、他の連中は武器を収めて屋敷の中に退いていく。


「まさか、噂の鬼斬りがこんな優男だとは思ってなかったぜ。ほら、返すぜ」


 男から突き返された手紙を懐に収める。


「私が酒呑童子を討ったことを知っているのか」

「裏社会に潜む者なら皆知ってるぜ? まあ、いい。入ってくれ。紅葉様がお前さんにご執心なんだ。案内するからついて来な」

「待て。貴様は、東京の娘達を攫って殺した一味なのか」

「俺かい? さあな――と惚けてやりたいところだが、お前さん相手に嘘は吐けねえ。慥かに俺も一味さ。若い女は金になるんでね。止めろ、なんて野暮なことは云わないでくれよ? 聞けば、あんたも人斬りがやめられない同じ穴の(むじな)って話じゃないか」


 男は迎合するように下卑た笑みを浮かべるが黙殺する。


「この館に居る全員がそうだと考えていいんだな」

「おうよ。正直に話してんだからつまらないことは考えないでくれよ。ここには大勢仲間がいるんだ。暴れても構わないが――お前さんひとりで何かができるとは思えねえ」


 さァ早く行こうぜ、と男は私を促す。


「いや、折角だが案内は不要だ」

「あん? そりゃどういうことだい」


 返事の代わりに、抜刀して男の顔面を斬り落とす。石畳に転がった男は、すぐに動かなくなる。




 屋敷を迂回して裏手に回る。手入れの行き届いた庭を抜ければ、開かれた空間に出る。


 一面、緋色の椛が敷詰められている。

 視界を占める極彩色から逃れるように天を仰げば、空は憎らしい程に青く澄んでいた。

 真昼の陽光が降り注ぎ、紅の落葉を鮮やかに照らしている。


 ――兄様――。


 茜の幻影に手招きされた気がした。

 視軸を正面に据え歩き出す。

 茜が死んでいた場所で足が止まった。


 女が居た。


 黒い髪に白い(はだ)臙脂(えんじ)洋装(ドレス)を纏った美しい女――鬼女紅葉である。

 鬼女は地面に広げた毛氈(もうせん)に着座している。

 有栖川錦(ありすがわにしき)と麻の葉の紋様が混じり、揚羽蝶(あげはちょう)の刺繍が施された絢爛な一枚布である。


「兄様。お待ちしておりましたわ――」


 紅葉は私を認めると、目を細めながら笑う。

 思わず、茜と呼んでしまいそうになる程、妹の笑い方に酷似していた。


 ――何を迷うことがある。

 私は、この女を斬る覚悟を決めたのだ。


「此度の招待、嬉しく思う。隣に座ってもいいだろうか」

「あなた様のことを拒むことがありましょうか。遠慮など不要ですわ」


 紅葉は応える。

 毛氈を肌理(きめ)細やかな掌で払い、さァ此方に――と誘う。


 私は靴を脱がずに、毛氈の端に胡坐(あぐら)を組む。


「椛を眺めながら嗜む酒も、好いものですわ。さ、どうぞ」


 傍の瓶子(へいし)を指先で掴んだ紅葉は、御猪口を差し出す。


「いただこう」


 私が御猪口を受け取れば、紅葉は透明な清酒を注ぐ。酌を返さぬわけにもいかない。紅葉から瓶子を掠め取ると、もうひとつの御猪口に酒を注いでやる。


「まさか、兄様に御酌をして戴けるなんて」


 御猪口を口に運んだ紅葉は、嗚呼なんて美味しいのでしょう――と嘆息混じりに零す。


「そんなに嬉しそうに云うことでもないだろう」

「何を仰いますか。妾にとっては、兄様と居る時間が何よりも大切ですのに。ずっとずっと、あなたが妾の許に来てくれるのを心待ちにしておりました。妾はこんなにもお慕いしておりますのに、本当につれない御方ね」

「つれなくて結構」


 私も杯の酒を呷る。纏わりつく甘さこそあれど後に引かず、舌触りのいい旨い酒であった。毒や薬の類が混じっていないことは慥かである。

 紅葉は空になった私の御猪口を満たしにかかる。


 暫く、互いに何も云わず庭の椛を眺めていた。


「兄様。悩んでおいでですね」


 不意に紅葉は云った。

 何の話だ、と問えば、強がらずともいいではありませんか、と(なだ)めるように紅葉は答える。


「妾を討つためにここまで来たのでしょう。でも、あなたは迷っている」

「迷ってなどいるものか。私はお前を斬りに来た。それが、私が贈る唯一の救済だ」

「救済とはまた大仰ですこと。でも、それならお好きになさったらいいじゃありませんか。ほら、今すぐにでも。妾は此処におります。逃げも隠れも致しませんから」


 杯を置いた紅葉は、此方に身を寄せる。遊女が抱いてくれと乞うような、(ある)いは挑発するような好戦的な瞳で私に縋りつく。


「お前は、私が憎くないのか」


 ひとつだけ、殺し合う前に済ませておきたい問答があった。

 紅葉はさも不思議そうに私を見遣り、どうしてそう思うのですか、と尋ねる。


「私は、お前の側にいてやれなかった。座敷牢から連れ出し、東京観光するまではよかったが、私がお前から目を離したせいでお前はいなくなってしまった。その結果がこれだ」


 茜は鬼に喰われ、その魂は成仏できずに鬼の(うち)に繋がれ、只々復讐のために暴れる殺人鬼と成り果ててしまったのだ。許を辿ればすべて私のせいである。


「私があの時、お前と手を繋いでいたら、私もお前も、どこにでもいる兄妹として、普通の生涯を歩む事だってできた(はず)だ。その来るべき未来を壊したのは他でもない私なのだ」

「なるほど。だから兄様は、妾が恨んでいると思っておいでなのですね」


 紅葉は愉快そうに笑う。無邪気と狂気を(はら)んだ、般若(さなが)らの微笑であった。


「何がそんなに可笑しいのだ」

「こうも目論見が上手くいくとは誰も思いませんもの。笑うな、と云う方が無理な話ですわ」

「目論見だと」

「ええ。私の生涯を賭した、一世一代の大狂言ですわ」

「どういう意味だ」

「それはのちほど説明しますわ」


 茜はするりと私の問いを(かわ)す。


「妾が兄様をお恨みするなんて、見当違いも(はなは)だしいですわ。そんなこと、天と地が引繰り返っても在り得ないこと。むしろ――妾は嬉しかった」

「嬉しかった? そんな莫迦な」

「どうしてそう卑屈になるのですか。だってあなたは、ずっと妾を想ってくれたんでしょう? 何年も逢えないのはとても淋しかったけれど――それでも、こうしてあなたは逢いに来てくれた。どうしてそれを恨みましょうか」

「しかし、他に(みち)はあった筈だ」

「他の路、ですか?」

「お前が何処にも行かず、ごく自然に生きた路だ」


 紅葉はすぐには答えなかった。

 私を見詰めてから。


「兄様は後悔なさっているのですね」


 と呟いた。


 否定はできなかった。(むし)ろ、自身の不甲斐なさを憎悪したがため、己の武術と恩賜の軍刀を(たの)み、背後に幾つもの屍を転がしながら決して叶わぬ仇討ちを続けたのだ。何も知らぬ者からすれば、私こそが修羅道に堕ちた狂人なのだ。


「茜。お前には、後悔はないのか」


 気が付けば、口が勝手に妹の名前を呼んでいた。 

 隣の女は、紅を塗った唇を釣り上げる。


「ありませんよ、そんなもの」

「私にはあるのだ。包み隠さずに云うが――私はお前を救いたかった。いつも、お前は座敷牢の窓から、外を歩く私を何も云わずに見ていただろう。何故お前があのような場所にいるのか家人に訊いても碌なことを教えてもらえなかったが――私はその時から、いつかお前と、あの家を出て行こうと(はら)を決めていた。ひとりで生きていけるだけの学識を修め、地位を獲得して、迎えに来るつもりでいたのだ。だから二十歳(はたち)で一人前になれる将校を志したのだ。そうして二人でどこか、誰からも迫害されないところで生きようと思って――」

「止してくださいな」


 茜は、私の懺悔を遮った。

 そして。


「鬱陶しい。心得違いも甚だしいですわ」


 と告げた。


「そのお気持ちは大変嬉しく思いますが――兄様、あなたはひとつ思い違いをしておいでです」

「思い違い、だと」

「率直に申し上げますと――甘いのよ、考えが。妾が物狂いと云われ、冷たい蔵に幽閉されたことを御存知なら、どうして私を連れ出してくれた先で安寧に暮らせると思えるのですか。一度、人間社会から爪弾きにされた者はもう手遅れなのです。わけもなく虐げられた悲しい記憶は、何年経とうが決して癒えることなんてありません。いつかは忘れて楽になれると思っていても――(かえ)って記憶は鮮やかな色と熱をもって妾を苦しめる。宜しいですか、兄様。狂人という蔑称は、一生死ぬまでついて回る(そそ)ぎようのない神罰です。どうして妾が癲狂院で袖無し洋襟(シャツ)を着せられて麻酔を打たれなきゃいけないのです。何が悲しくて、床に転がる私を碌に見もしないお医者様に、訳の分からない病名をつけられなければならないのです。しかもそれで処方されるのが只の栄養剤ですよ。そんなことで精神病が治るわけがない。だって、そもそも妾は狂ってなんかいませんもの。――いいえ、妾を狂人と決めてかかり、普通に生きる道を全て潰した兄様以外の人間全てが余程狂人じゃありませんか。違いますか? 妾の云っていることは間違っておりますか?」


 茜は御猪口を呷る。

 勢い余って溢れた雫が指先を濡らすが、唇を這わせる。


「妾は、妾を狂人と決めつけた者達を(ゆる)すことはできませんでした。だから――だいぶ時間は掛かってしまったけれど、武蔵野の実家を焼いたわ。兄様も御存知よね。父様も母様も、二人の言葉なら何でも従う畜生のような家人も皆。ただ火を点けるだけじゃ御器齧(ごきかぶり)のようにすばしっこいあの人達に逃げられてしまうかもしれないから、夜にそっと忍び込んで、全員を縛り上げて、二本の脚を潰して――逃げ道を塞いでから火を点けたの。勿論、私だけじゃ大変でしたから、ならず者たちにも手伝ってもらったわ。――嗚呼、兄様にも見て戴きたい光景でした。無様な命乞いをする父様と母様の姿は、それはもう傑作でした。もう可笑しくて可笑しくて――やっぱり本当の気狂いは妾じゃなくてあの人達だったのよ。あの人達も、死ぬ前に自分が常識人じゃなくて、とびきりの気狂いだって分かってホッとしているんじゃないかしら。彼岸がどんなところかは分かりませけれども――閻魔様の前で、自分は常識人だと云って恥をかかずに済んだのですから。だってほら、自分が気狂いだと知らずに、己は至って正常な人間です――だなんて云うのは本当にみっともないじゃありませんか。普通なんてどこを探したってありませんのに、どうして皆そんなことがわからない――いえ、わかろうとしないんでしょう」


 嘆かわしいことですわ――と茜は眉根を寄せ、小首を傾げる。


「帝都の女学生を攫ったのもお前の仕業なのか」

「ええ。凛太郎に預けた文に書いてある通りよ。やっぱり赦せないもの。妾だって、父様や母様を狂人に堕としてそれで終わりにしようと思っていたけれど――私の恨みはそんなことで晴らせるほど生易しいものじゃない。妾が気狂いと云われて奪われた未来を、こっちの事なんて知らん顔で歩いている娘さんを見ていて――我慢ができなかった。その道は、私と兄様が歩む筈だったのに――。凛太郎たちに、手頃な娘を攫ってもらって、此処まで連れて来て――あとは色々よ。妾自ら嬲ってみたこともあったけどすぐに飽きてしまったわ。専ら、妾が血を貰って、あとは従ってくれる男達へあげちゃうわ。労働力として売られるか、男達の慰み者になるか――薬にするため臓腑を抜かれちゃう娘さんもいると聞いてるわ。人喰い妖怪や破戒僧がやってきて、生娘を喰いたいから売ってくれとよく頼まれるもの。精神病院を襲ったのも、まあ同じような理由よ」

「罪悪感は、ないのだな」

「ありませんわ。復讐にそんなものは必要ありませんもの。勿論、妾のしてきたことは罪でしかなく、正義も倫理もない八つ当たりだってことは分かっている。でも、妾にはそうすることでしか己の正気を証明できない。それなら――するしかないでしょう。事を大きくすればするだけ、この国の精神病患者を憂いて、妾のような悲しい者の為に――もしかしたら学術や名誉のためかもしれませんが――立ち上がってくれる学士様がいるかもしれない。何にせよ、半端なところで止めるなんて、妾はもちろん――紅葉も赦さない」

「紅葉も? お前を食らった鬼のことか」


 茜はまたも答えずに、上方の(こずえ)を仰ぎ見た。


「兄様は、『鬼女紅葉(きじょもみじ)』というお話をご存じですか」

「知っているとも。『鬼女紅葉退治之伝』も前に読んだ」


 鬼女紅葉――。


 信州の戸隠(とがくし)鬼無里(きなさ)に残る、鬼女にまつわる伝承である。大枠は、紅葉という名の鬼女が、平安時代の武人平維茂(たいらのこれもち)に退治されるという内容である。浄瑠璃や歌舞伎では『紅葉狩(もみじがり)』という題名で演じられていた筈である。


 明治十九年に発行された『北向山霊験記戸隠山鬼女紅葉退治之伝』に依れば――鬼女は応天門の変で処断された伴野善男(とものよしお)の子孫とされ、第六天魔王の力を借りることができたという。その力で、村人から尊敬を集める一方、多くの盗賊を配下にして悪事を働いたため、冷泉天皇(れいせんてんのう)から勅命を受けた平維茂により、討伐されてしまう――という話である。


「流石、妾の兄様ね。話が早くて助かりますわ」


 茜は控えめに、手にした御猪口を私に差し出した。その御猪口に酒を注いでやる。続けて己も分も注げば、瓶子は空になった。


「では、兄様はいかように思いましたか。恐ろしい存在だと思いませんでしたか」

「いや、そう思った事はない」

「何故ですか」

「何故と云われてもな。戸隠の鬼は、慥かに討伐されるような女だが、同時に里人からは崇拝された貴女――貴ぶべき女でもあるのだ。無論、そこに打算や()(へつら)いがあったのだろうが、純粋な悪人と斬って捨てることはできない。その両価性が人間らしくて――妙だが、親近感すら覚えてしまう」


 鬼女であり貴女でもあった創作上の紅葉が、茜と重なって見えたのだ。


「それにだ。伝承の鬼女は最終的には討たれてしまうのだ。鬼という存在は慥かに人知を超えた化物として語られ、民衆にとっては畏怖の対象ともなるだろう。だが、それだけだ」

「それだけ、というのは」

「鬼というものは――否、妖怪という存在は、須く人の手によって討たれて然るものだ。酒呑童子は源頼光や藤原保昌に、宇治の橋姫は渡辺綱、悪路王は坂ノ上田村麻呂だ。肩を並べるのは烏滸(おこ)がましい気もするが、私だってここで鬼と戦った。特別怖いとは思わない」

「そうですか。それが、兄様のお考えなのですね」


 茜は、言外に私の云う事は間違っている、と反論を忍ばせる。


「茜。何故、今その話をした」

「では、ここに居る妾のことは?」


 茜は取り合わずに再び訊いた。


「人の道理から外れた、醜くて穢くて――どうしようもない妖魅(ばけもの)だと思いますか」


 茜は私を見詰める。縋るような眼差しで――人間だったの頃の茜と、全く同じ瞳をしていた。


「そうだな。その通りだ」


 無理に声を絞り出して――私は嘘を吐いた。

 本当は、違うと云いたかった。そんなことはないと否定して、抱きしめてやりたかった。だが、それはどうしてもできぬことであった。


「私は、お前を討たねばならない」

「それは、兵隊としての役割ゆえにですか」

「それもあるが――お前の兄としての務めだ。妹が犯した罪を裁くのも兄の役目だろう」

「慥かに、兄様にでしたら、殺されてやってもいいのかもしれませんね」


 茜は目を伏せる。その悲しい顔の(まま)、茜は口を開く。


「では、妾を喰らった紅葉という鬼についてはどう思いますか」

「憎いよ。お前の仇だ。憎くないわけがない」


 これだけはすぐ答えることができた。


「兄様。恐ろしくはないのですか」

「全く思わない」

「その考えは改めるべきです」

「改めろ、だと。紅葉が恐ろしい相手だというのか」

「仰る通りです。本当に酷薄で、人を何とも思っていないのは妾じゃありません。紅葉の方ですわ」

「何故、そんなことが云えるのだ」

「だって――妾と紅葉は、同じ(からだ)を分け合って生きておりますもの。同居人が何を考えて、何を欲しているかくらい簡単に分かりますわ。先刻、妾が云いかけた話に戻りますが――」


 そこで茜は躊躇するかのように黙り込む。一瞬、私に気遣うように見遣ってから。


「そもそも、此度の復讐は、紅葉が云いだしたことですもの」


 と云った。


「此度というと――精神病院襲撃事件と女学生連続誘拐殺人事件のことか」

「違います。もっともっと昔から――妾が、座敷牢に閉じ込められていたときからの話です。紅葉と初めて会ったのは――妾が閉じ込められて最初の冬。どこから入ってきたのか、格子をするりと抜けて、妾の目の前におりてきたのよ。向こうは、いつも(とざ)されている蔵の中にはどんな宝物が眠っているのか気になったから忍び込んだ――なんて云っていたわね。人と鬼の違いこそあれど、互いに年頃の娘ですもの。意気投合するのに時間はかからなかった。それから――紅葉は、毎晩のように来てくれて、色々なことを語り合いました。私が狂人であると云われて泣いていたら慰めてくれた。いつか兄様と一緒に暮らしたいと云ったら、それはとても素敵な夢ね、頑張って実現させましょう――と応援してくれた。妾を苛めたやつらを許すことができないと云ったら、なら復讐すればよろしくてよ――と境界を踏み越えるために背を押してくれた」


 茜は語り続ける。


「そうと決まってからは、二人だけの作戦会議に勤しんでいたわ。紅葉は云ってくれた。私の隠れ家に招待します。ひとまずそこに逃げ出してしまいましょう。そこで、ほとぼりが冷めるまでじっとして、そのあとに貴方のお兄様をお迎えすればよろしいでしょう――心配せずとも大丈夫。そこには怖いお父様と、底意地の腐った悪党が沢山いるけれど、私の友達と云えば皆あなたに手出しは絶対にできないでしょう――私たちはとても人に云えぬ商いをしているから、着るものにも食べるものにも困らないわ。潜伏するにはうってつけよ――でも、いい? 悪事を止めろなんて野暮なことは絶対に云いっこなしよ。だって、鬼なんてそんなものですもの。貴女だって、復讐しようとするのだから同類――いいえ、仲間。一蓮托生よ――なんて云って、紅葉が大枠を述べて、妾が細かいところを詰めて――蔵の中はとても寒かったけれど、そのときだけは熱かった。夢や希望があるから、人は生きていけるというのは、妾にとっては本当のことだった」


 そこで、茜は遠くを見る。


「でも、今なら分かる。そこには紅葉の誘導があって、妾を連れ出そうとしていた。何故かは尋ねたこともなかったけれど――まあ、利用できるとでも思ったのでしょう。少なくとも、永き孤独を慰める隣人だった、なんて生やさしい話じゃない。いつか紅葉が私を食い殺してしまうくらい分かっていた。でも――私は、黙ってやられはしなかった。最期の最後に、私は紅葉を出し抜いたのよ」


 茜が紅葉を出し抜いた?


「兄様。どうか驚かずに最後まで聞いてください。 妾はもちろん――妾の裡にいる紅葉にも、こうなることは分かっておりました」

「それは――どういうことだ?」

「先刻も云ったじゃありませんか。これは遙か昔からの復讐なのです。妾には、兄様以外の全人類から狂人と云われるだけの頭脳があった。でも――肝心の躰は(もろ)くて、いつも床に伏せてばかりだった。長生きできないことは自分が一番分かっていた。たとえ、お慕いする殿方と一緒になれたとしても、早死にしてしまっては何の意味もない。それどころか蔵に幽閉されて死期を待つばかり。だから、妾は欲しかった。永く生きられる躰が。復讐のために良心すらも手酷く裏切ることのできる残虐な精神を。妾は、紅葉に憧れていた。妾は、紅葉になりたかった」

「紅葉になりたかった?」


 頷いた茜は己の胸を撫でた。

 その姿に強烈な違和を抱く。

 今、私は茜と喋っている。


 三年前、酒呑童子討伐隊がこの山城に攻め込んだ戦争において、茜は紅葉という名の鬼女に臓腑(はらわた)を喰い散らかされた。故に、紅葉の躰に茜の精神が収まるという奇妙な結果になってしまったが――。


 茜を見遣る。茜も私を見ていた。此方の動揺も葛藤も見透かした黒水晶の如し眼である。


 ――嫌な予感がした。


 聡明過ぎるが余り敬遠され、挙げ句には狂人だと幽閉され続けた茜の事だ。

 全てが掌の上だったのではないだろうか。

 日本橋で姿を消した事も、責任を感じた私が討伐隊に名乗り出る事も、私が酒呑童子を討たんとする事も、抜刀隊に属した私が今此処にいる事も。

 そして、己が鬼女の躰を譲り受ける事も――。


 つまり、茜は敢えて喰われたのだ。

 鬼女紅葉の躰を乗取る為に――。


 ならば、帝都を震撼させた狂人の復讐を成した茜が次に望む事は何だ。

 私を呼び、椛を肴に酒を愉しんで、思い出を語らう事か。

 違う。そんな生易しい話ではない。


 凛太郎から渡されたのは果たし状だ。決着を付けようとしているのは私だけではない。茜だって同じ事を考えている筈だ。


 ――鬼は人を喰らって生きる化物よ――。

 ――紅葉は貴方を知りたがっていた――。


 馨の言葉が蘇る。

 知りたがっていた。否、識りたがっていた。

 茜の精神が、屍を食むという儀式を経て、紅葉の身体へ引き継がれた事を考えれば、鬼と云う存在にとって、識るという事は――。


「妾が紅葉になるために――紅葉の躰と精神を貰い受けるためにすることはたったひとつ」


 そこで茜は薄い笑みを湛えて口を閉ざす。まるで、云わぬが花とでもいうかの表情で。


「でもね、兄様。もしも、紅葉が目覚めてしまったら――決して、手心など加えませんように。あれは悪鬼ですわ。私だから分かることです。姿形に惑わされぬよう――」


 思惑通り、茜が紅葉の身体を得たとして――。


 では、本当の紅葉は何処に行った?


「ごめんなさい。やっぱり、妾は此処で死ぬ訳には参りません。妾は――兄様と共に在りたいのです。あなたとなら、この地獄も生きて行けましょう――」


 云い切らぬ内に、茜は袖に隠し持っていた短刀を抜き放ち、私の胸を穿ちにかかる。


 反射的に躰が動いた。私は茜の手首を掴み、突進する勢いを殺さず、巴投げの要領で茜を毛氈の外へ蹴り飛ばす。宙に浮いた茜は猫のように身体を丸めると、空中で姿勢を整え、両脚で着地をして見せる。短刀は未だ茜の手にある。


 私も立ち上がり抜刀する。

 遂にこの時が来てしまった。


「まだ、妾を斬ろうとしているのですね。それなら、妾を投げなんかしないで、御得意の剣で妾の首を飛ばせば宜しかったじゃありませんか。その方が余程、人情だと思いますわ」

「そうか。要望とあらば応じよう」

「御冗談を。やっぱり、兄様には無理ですよ」


 できもしないことをできると云って強がるのは滑稽ですわ――と茜は嘲る。


「茜。共に生きていこうとお前は云ったな。なのに何故私を殺そうとする」

「何を惚けているのですか。もう妾の考えなど解っておいででしょう? 私は鬼です。しかも狂人の烙印を()された哀れな女です。あなたに一緒に生きていこうと云われて本当に嬉しかったけれど――いつまでも一緒にはいられません。鬼と云うものは、血肉を喰らった者を裡に止めておける不思議な力があるのです。それにこの躰は人と違って永く生きることもできる。愛別離苦に悩むこともなく、文字通りの一心同体として共に在ることができる。妾の中に兄様がいると云うことは、互いの記憶も感情も全て共有できるのです。嬉しかったことも楽しかったことも、辛くて悲しくて忘れたい過去ですらも皆――。嫌だとお思いになるかもしれませんが――妾はあなたの全てを受け容れましょう。汚いところも情けないところも全て。ですから、兄様にも妾の全てを知ってもらいたい。妾はどれだけあなたに焦がれているのか、食べてしまうことの申し訳なさ、少しだけ感じる期待すらも。そうやって互いの良いところも悪いところも全部認め合うことができて――そこで妾達は本当の兄妹になれるのです。そうでもしなければ、私の淋しさを埋められなんてできやしませんもの」


 ねえ兄様、良いじゃありませんか――と茜は強請(ねだ)るように云う。


「分からないな、茜。何故、私なのだ。どうして私にそこまで固執するのだ」

「妾には兄様しかいないからですよ。きっと、あなたに妾の気持ちは分かりますまい。孤独を分かち合うことのできなかった妾のことなんか」


 茜は答える。

 一陣の風が私と茜の間を吹き抜け、数枚の椛が宙を泳ぐ。


「妾が此の世に産まれて、初めて見たのは母様でも下女でもなく兄様の御顔でした。それから、あなたはずっとずっと妾の側にいてくれました。父様も母様も家人達も皆、妾を鬼子だ忌子だと云う中、あなただけは変わらずに妾と接してくれました。だから――妾は兄様のことが好きです。好きだからこそ、あなたを識りたいのです」


 そこまで云って、茜は淋しそうに笑う。

 その表情に、決意が揺らいだ。


「茜。そこまで想ってくれて有り難う。だが、私はお前の想いに応える事はできない」

「何故ですか。妾より、兵隊としての役目が大事なのですか」

「そうだ。私は、この大正を終わらせる為に此処にいるのだ。お前は多くの者を殺し過ぎた。お前のような者は、次の世にいてはいけないんだ。お前の兄として、帝都抜刀隊の一員として、お前を斬らなければならない」

「解っていたけれど――あんまりよ」


 茜は私を睨む。

 その眼光で理解した。茜はもう、殺し合う覚悟を決めてしまったのだ。


 ――俺は、茜を殺せるのか?


 浮き足立った心に、迷いが生じる。


 私が肚を決める前に、茜が動き出した。左手は洋袴(スカート)の裾を、右手は短刀を握り締め、私に向かって一直線に突進する。


 茜が私の間合いに入った。左手は軍刀の鯉口に添えている。右手が柄に乗った。


 ――殺せ。


 刹那、私の放った刃が茜の頸に吸い込まれるように動き、首と胴を切り放す光景が浮かぶ。

 思考が一瞬停止する。我に返った時には、茜の短刀が胸元に迫っていた。

 私の右手は刀の柄に乗った儘である。


 ――拙い。


 強引に身を捌き、寸前の処で刺突を躱す。

 私と茜が肉薄する。この機を逃さんとばかりに茜は瞬時に振り返る。


 今私が抜刀すれば間違いなく茜の脳天を叩き割れるが――だからこそ私は刀を振るう事ができなかった。硬直する私に、茜は再度跳び掛かる。


 憎悪と悲嘆に塗れた、鬼の如し形相である。

 黒檀の短刀を諸手で握り、私の心臓を貫かんとする渾身の攻撃である。


 ――駄目だ。私に茜は殺せない。


 右肘で外套を前方に(ひるがえ)し、左手で茜の繰り出した凶刃を布越しに掴む。

 茜の突進を全身で受け止めれば、左手に鋭い痛みが走ったが――それだけであった。

 手指は千切れてはいないし、短刀は胴には至らない。


「だから云ったじゃありませんか」


 兄様に妾は斬れますまい――と茜は身を(よじ)らせながら呻く。


「黙れ」


 茜の手首を掴んで捻り上げれば、茜は短刀を地に落とす。

 それでも茜は私に掴みかかろうとするが、抱き寄せる事で身動きを封じる。逃げられないように強く抱き締めれば、私の胸に収まる茜の抵抗は、徐々に弱いものになっていき――遂に茜は動かなくなった。


 どれだけそうしていただろうか。

 不意に茜の腕が私の背に回された。

 私の胸に頬を擦りつけていた茜が顔を上げる。泣きも笑いもしていない。請うような貌で上目遣いに見詰めている。


「何故ですか」


 呟くように茜は云った。


「何故、そうような御優しい顔で妾を見ているのですか」

「お前が、妹だからだ」

「そんなの――答えになっておりません。妾は、兄様を本気で殺そうとしました。いくらでも妾を斬り捨てる隙はあった筈です」

「お前の云う通りだった。たったひとりの家族を、殺せる訳がない」

(ずる)い。妾は兄様に殺される覚悟を決めておりましたのに。妾の思いを無碍(むげ)にするなんて」

「どうしてそんな事を云うんだ。殺されたかったとでも云うのか」

「ええ。妾は、兄様になら――いいえ、本当は、兄様に殺されたかった」

「莫迦なことを云うな」

「莫迦なことなんかじゃありません!」


 茜は目を見開いて云い返す。


「解りませんか? タッタひとりの妹を殺した兄様は、妾をそう簡単にお忘れはしないでしょう? それどころか、ずっとずっと妾のことを考え続け、思い悩んでくれるでしょう? あなたをずっと見ていた妾だから分かること。あなたは妾を忘れなんてしない。嗚呼、愛おしい殿方の心に生き続けられるなんて幸せな事ではありませんか――」


 だから、私はあなたに殺されたかった――と茜は云った。


「それが叶わないのなら、貴方を喰らいたい。妾は、もうどうしようもない処まで堕ちてしまった鬼なのです――」


 己の真情を吐露した茜は嘆く。

 私は、茜から身を離し、美しい御髪を手で梳る。茜が幼い頃――尋常小学校にいた頃の、宥める手段であった。


「茜。よく聞いてくれ。私には、どちらも選ぶ事はできない」

「なりません。二つに一つです。兄様が妾に喰われるか、妾が兄様に殺されるか――どんなに辛かろうが選んで戴かなくてはなりません。兄様はこの時代を終わらせると仰った。ならば、そうすればいいんです。妾の事を大事に思ってくれるのなら尚更です」


 さァ、早く引導を渡してくださいな――と茜は無理に口角を上げる。

 その顔があまりに悲しくて、私は茜の双肩をきつく掴んでいた。

 此処で茜を斬れば、今迄茜を虐げてきた他の者達と何も変わらない。仮令本人が渇望していたとしてもだ。さりとて、私が此処で喰われるなどもっての他だ。私の帰りを待つと云ってくれた女がいる。その女と交わした約束を違える事はできない。


「今迄、済まなかった。お前の我儘はどんな事でも全て聞いてやりたいが――駄目だ。私は、お前に喰われる事も、お前を殺す事もできない」

「何を今更――」

「もう、良いんだ」

「え?」

「もう――眠っていいんだ」


 茜の目が見開かれる。隠し通した嘘が露見した時のような――深刻過ぎる事実を告げられた時のような――驚愕の表情である。


 茜は慥かに三年前に死んだのだ。此処にいるのは鬼女紅葉に憑りついた生霊か残留思念と呼ばれるものでしかない。

 本物の茜は、もう何処にもいないのだ。

 ならば――望むことはひとつであった。


 殺す事でも喰われてやる事でもない。

 荒ぶる魂を鎮めてやる事である。

 即ち――茜を看取る事であった。


「――兄様? あなたは何を云っているのですか」


 掠れた声で茜は云った。聡明過ぎる茜の事だ。私が肚を決めた事を――私達に訪う永訣を悟ってしまったのだろう。


「嫌よ。そんなのあんまりじゃありませんか。妾は兄様と一緒にいたいだけなのに――奪わた二人の時間を取り返そうとしただけじゃありませんか!」

「駄目だ!」


 私の一喝に、茜は身を竦ませる。


「お前だってもう気付いている筈だ。お前は三年前に」

「聞きたくありません!」

「駄目だ聞け!」


 睨み合い――茜は顔を伏せる。


「こうなるまで慕ってくれて有り難う。その心に何も返してやれない事を済まなく思うが、それでも別れねばならない。お前はもう、死んでいるのだ。命は自然に散るからこそ美しいというのは慥かに綺麗言だ。だが真理だ。屍人が現世に留まってはならないのだ」

「嫌です。私は、兄様と」

「茜、お前は思い違いをしている。私はお前を生涯忘れなんかしない。たった一人の妹を、ここまで想ってくれた家族を忘れなんてするものか。お前が安心して眠ってくれないと、私は、これからの時代を生きていくことができない」

「妾は、兄様を苦しめていたのですか――」


 茜は零した。瞳は泪に濡れていた。

 私は茜を再び抱き寄せる。できることはそれだけであった。


「御免なさい」


 茜は小さく詫びる。


「謝るのは私の方だ。お前に寄り添う事ができなかった」

「もっと。もっときつく抱き締めてください。そして――妾を諦めさせてください」


 茜は(ささや)く。その言葉に従い、圧し潰すくらいにきつく抱き締めて――。


「――嗚呼、兄様。妾はあなたを愛しております。他の誰よりもずっと。だから、どうか。どうか妾を忘れないで。妾の分まで、精一杯生きてください――」


 遂に茜は(まぶた)を閉じた。

 茜の躰から力が抜け、崩れ落ちる。私も屈み華奢な肩を掴むが、据わらぬ首が上方を向くだけで、何の反応も無かった。


 たった今、茜は逝ってしまったのだ。

 済まない、茜。俺は何て駄目な兄貴だったのだろう。

 赦してくれ――。


 茜の重くなった躰を抱え、毛氈の上に横たえた。半開きの目と口を閉じてやり、外套を掛けてやる。(まなじり)(なみだ)が残る哀しい貌であった。何時の間にか橙に染まった陽が私達を照らしている。



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― 新着の感想 ―
[一言] 全部つながった 正気で狂人でないのに狂人扱いされたら、正気なのですから復讐したくなりますよね…だって理不尽なことされてるんですから
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