魔女リオネ
リオネの悪戯譚 一個目
「よーし、今日は透明になって、夜寝ている先生に悪戯してやる!!」
リオネは先生の部屋に入り込み隅っこで透明になった。
「あっあれ動けない」
魔法で透明になった瞬間、リオネは身動きが取れなくなった。
「お!!獲物が罠にかかったな」
不敵な笑みを浮かべるライリーンが部屋に入り、透明のはずのリオネが見えているように、リオネの元に足を進めた。
「この人、私見えてるの?私透明なのに目合ってない?」
「よし、悪い奴には罰を与えないとな」
この後は読者様の想像で。
悪戯失敗
「我、ライリーン魔法士の名の元に、リオネ・ヴァーディを魔法士として認める。魔法士たる
者、魔法という特別な力を人々の日常を守る為、平和を守る為に行使して、決して悪用する事
のないようにな、わかったか?」
「はい!!わかりました!」
葉が生い茂る、高原で私リオネ・ヴァーディは念願の魔法士、いや魔女になりました!!。
「先生!私とうとう魔女になったんですね!!」
「追記、もしも魔法士の名を汚すような振る舞いをしたら、世界中のどこにいても私直々にお
仕置に向かうから覚悟しておくように」
先生が腕を組み不敵な笑みで顔を近づけてくる、いやいや怖い怖い、やっと先生の監視下か
ら離れたのに、これじゃ今までとなんら変わらないじゃん!!。先生のお仕置長いし怖いし嫌
なんだよな・・・。
「先生!わっわたしは魔女ですよ、そんな事するはずないじゃないですか!!」
「そうか?ならいいが」
私も遂に魔女!!これまで頑張ってきて・・いや耐えてきての方が正しいかな。先生の魔法
修業がめちゃめちゃ辛かったのは勿論だけど、総合的に見れば魔法以外の修業の方が長かった
と思う。私、よく耐えた。
けど、魔女になったのはいいけど、これからどうればいいんだろう?。
「先生、私はこれから」
「あー、これからの予定は後々伝えるとして、一ついいか」
先生は優しい面持ちになった。今から私に励ましの言葉でも送ってくれるのかな?。今日だ
けは先生の言葉も聞き流さず、しっかりと聞いてあげよう。
「なんですか、先生?」
「今朝、私の朝食に良からぬ物を混ぜたな?」
気づいてたの?リオネ、無意識モード突入。
「まったく、お前はいつまでこんな幼稚な悪戯をするんだ、しかも段々隠すのも上達しておる
し、悪戯で弟子の成長を感じる師匠の身にもなれ、嬉しいのか悲しいのか」
それからがみがみと説教が一時間ほど続いた。
「まぁ、お前は魔法技術としては確かなものを持っている。今朝の擬装魔法もなかなか素晴ら
しかった」
えっ、私褒められてる?。
「いやー、それほどでもありますけど!!」
「調子に乗るな!!」
あー、ミスった。
真上に位置していた太陽も西に傾き、心地よかった風も肌寒く感じるようになり、私と先生
はほうきに跨り、空を飛び家へと向かった。
「はあー、こんなお前を魔法士として認めるとは私もおかしくなったな」
「いやー、ありがとうございます!!先生!」
「恩返し、期待しているぞ」
恩返し?何すればいいのかな?定期的に手紙でも送ればいいのかな?。
「具体的には私にご馳走してくれるとか、私に高級な品を送ってくれるとか、私にお小遣いを
くれるとか」
え、この人弟子から金貰うつもりなの、師匠としての誇りとか無いの?
「まあー、それは冗談かもしれないとして、たまには顔を見してくれよ」
かも・・?、まあ、それはそれとして先生には魔法でも魔法以外でも色々指導してもらった
し、感謝の気持ちも当然ある。数年に一度は会いに行こう。
私と先生は家に到着した。私は修業中、先生の家に泊まらせてもらっていた。私が訪れる前
は先生はあんな性格だからさぞかし豪快で汚らしい家なのだろうと予想していたが、その予想
とは裏腹になんとも可愛らしいツリーハウスで部屋も整理整頓されていた。
「今日でリオネの料理も最後か」
「そうですね、先生に料理をふるまうのも最後ですね、今日は腕によりをかけて美味しい夕食
を作ります!!」
よーし、今日こそ先生の目を騙してやる。
今日も普段通り腕によりをかけて擬装魔法を施したのにあっさりと見抜かれて、説教かと思
い無意識モード突入の準備をしていたのに、先生は微笑みだけで何も言わなかった。
どうしたのかな?今日で私が居なくなるから寂しいのかな?それならそうと言ってくれれば
いいのに。
「全く最後の最後まで仕掛けてくるとは、それより明日は色々と忙しいし朝も早いからなリオ
ネも早く食べなさい」
「わかりました」
ん?あれ?私こんな味付けにしたっけ?辛い?徐々に辛みが広がっていく。
「辛い辛い辛い辛ーい!!!!!」
大慌てでコップの水を飲み干したが、辛みは全然収まらない。私味付け間違ったかな?なん
で先生は大丈夫だったのかな?
「はっははっははは!!」
なんで、先生高笑いしてるの?弟子が苦しんでるのに。
まさかこやつやりやがったな!!。
「私からの花向けの擬装魔法だ、じっくり味わってくれ」
絶対復讐してやる。
弟子に苦しい思いをさせるのが花向けなんて、とんでもない師匠だな。
「とりあえず、明日はマジックに向かうから、荷造りしておけよ」
「はい、わかりました」
やっと辛みも薄れてきたし、先生の指示通り部屋で明日の準備しようかな。
はぁー、それにしてもあと少しでこの部屋とも今日でおさらばか。修業中は早く終われとか
思ってたけど、なんかあっという間だったな、感慨深いというか、この家こそ第二の故郷とで
も言うのかな。これまでの思い出が次々と私の脳裏を駆け巡る。
「そうだなー、初めの頃は先生に叱られて、少し成長したと思ったら先生に叱られて、また少
し成長したら先生に叱られて、今日も叱られて・・・・あれ?私この数年叱られてばっかで、
もしかして全然成長してない!?私本当に魔女になってよかったの!!!??」
「うるさいぞ!!リオネ!!」
また、叱られた。あの人、私を叱責するのが生きがいなんじゃないってくらい叱るよね、あ
れが健康の秘訣なのかな?。年齢は知らないけど、絶対結構な歳のはずだと思うんだけどな。
「さてと、荷物の整理も済んだし、そろそろ寝ようかな」
私も遂に魔女か、父さんと母さんに早く報告したいな。あと、あの人にも会えるかな?。
リオネは魔法士となって、人間的な成長はするんですかね?