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突然のリゾート島暮らし

 目の前に広がる青い海。抜けるような高い空。エアーを背負って船の上に立つ男。

 突然ですが、俺、大島優は今、東南アジアのリゾート島にいる。

 ついさっきまで中国の工場で必死に仕事をしていたのに、話のジャンル変わったって思った?俺も、この変わり身の早さに自分で驚いている。どうして俺が今リゾート島での生活を満喫しているかというと、話は数ヶ月前に遡る。


「撤退・・・ですか」

 この言葉は、工場長室に集められた管理職の中の誰かが発したものだ。俺はかろうじて管理職レベルでしかないけど、思わずといった体でこの言葉を吐いたのは、もっと役職が上の人だと思う。普通、事前に知らされていて当然であるべきレベルの人すら知らされていなかったってことだと悟る。それくらい急に、しかも東京の本社のほうで勝手に決まった話のようだ。

某兄弟の金融会社がきっかけで起こった恐慌から半年後くらいのことだった。

 初めてテレビであのニュースを見たときは、なんだか遠い世界の話のように感じていたものだけど、あっという間に周りの取引先の工場からの注文が減ってしまって、それどころか、その取引先が閉鎖になったなんて話もいくつも聞いた。あ~なんかすごい影響出てんな、大変だななんて他人事だったのに、まさか、自分の職場までもなくなってしまうとは。


 ただ、職場がなくなるとしても会社をクビになるわけではなく、俺は別の職場に異動になるだけだ。英語が堪能な同僚は別の国の工場に赴任になる奴もいたけど、俺は別に英語が話せるわけでもないから、日本の元いた工場に帰ることになった。現地採用の人たちは大変かもしれないけど、そもそも中国に進出する外国の企業は、中国の会社と一緒になった合弁会社を作らなきゃいけないから、うちの会社の現地法人とはいっても、半分中国の会社みたいなもんだから。うちは撤退するけど、工場自体は残るし、設備も置いてかないといけないし、まあ、多分、何とかやってくんだろう。このあたりのことはあんまりしっかり分かっていないから、けっこう適当なこと書いてる。間違ってたらごめん。

 

俺は、こんな適当なこと書いてるくらい知識がない名ばかりマネージャー職だったので、閉鎖に関するあれこれの手続きなどに関わることも特になく、自分の部署が解散したらすぐに中国を出ることになった。ただ、国慶節と旧正月という年に2回の連休以外はほぼ休みを取らずに働いていて有給休暇がたまっていたから、移転休暇以外と合わせて1か月ほど休みを取れることになって。まあそんなわけで、今、ここでのんびりしているわけ。

とは言うものの、まるまる1か月を遊びに費やせるわけもなく、そろそろ日本に戻らないといけないんだけどね。帰りたくないな~。いっそのこと、インストラクターの資格取って、ここで暮らしていけないかなあなんて詮無いことを考える。いや、ちゃんと帰るけどね。


 さっきも書いたように、俺が戻るのは元いた工場だ。ただ、中国に行く前に昇格試験に合格していたから、前のような一社員として働くんじゃなくて、時間帯の責任者を任されることが決まってる。工場は24時間稼働していて、4チームが運用されている。常に日勤のチームが1つ、それ以外に日勤、準夜勤、夜勤の交代勤務のチームが3つだ。俺は交代勤務チームのうちの1つの責任者ってことだ。いわゆるプレイングマネージャーだから現場勤務もある。それに、日勤の時間帯以外で何かが起こった時に責任者として対処しなければいけない。あとは他チームと合同での会議や打ち合わせにも出ないと行けない。こういうのはたいてい日勤時間帯に行われるから、勤務時間帯と合わない場合は、残業や早出をしないといけない。ただの交代勤務だけならまだいいけど、夜勤明けで昼間の会議にも出るとか、けっこうしんどいと思う、たぶん。 課長職以上と違ってちゃんと残業代は出るからいいんだけどさ・・・。


 そういうことで、中国に行ったはずの俺が、なんでリゾート島暮らしを満喫しているかの説明はおしまい。今度は、日本に戻った俺が、どうやってかなと再開できたかを書こうと思う。最初に書いたとおり、これは俺がかなに振られる話だから、全然楽しい結末にはならない。ただ、気持ちを吐き出しているだけの全然面白くもなんともない話なんだけど、それでも読んでもらえて本当に感謝している。

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