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次の日の朝

かなの部屋に泊まった次の日の朝、俺は、かなに起こされて目が覚めた。腕の中で恥ずかしそうにしていたわけじゃなくて、とっくに起きていて、Tシャツにスウェットという部屋着姿で、俺の身体を揺すってきた。


「朝早くに申し訳ありません。大島さん、起きれそうですか?」


なかなか開かない目をこすって、必死で頭を働かせる。ああ、また、大島さん呼びに戻ってる。昨日はあんなにかわいく俺の名前を呼んでくれたのに。なんで戻っちゃうかな。そんなことを、眠たい頭で考える。


「大島さん、すみませんけど、起きれるようなら、ベッドからどいてもらえませんか?お布団のシーツ、洗いたいので...あと、着替えの用意がなくて申し訳ないんですけど、大島さんの脱いだ服、そこにたたんであります」


昨日脱ぎ散らかした俺のスーツやシャツ、下着がきちんとたたんである。やべえ。昨日、パンツの中で先走ってたから、絶対染みになってたはず。たたむ時に気付かれなかったかと、妙に気恥ずかしくなり、眠かった頭が一気に覚めたので、慌てて起きてパンツを履き、続けてシャツと、服を着ていく。


「大島さん、お腹空いてません?もしよかったら、フレンチトースト食べませんか?今、冷蔵庫に浸けてあるので、焼くだけなんです」


シーツを外しながら、かなが俺に声をかける。


「え、いいの?ありがとう。いただくよ」


「よかった、あ、着替えていらっしゃるので今さらですけど、シャワーはよかったですか?昨日お風呂入ってないですし、汗かきましたし、それに、髪の毛も少し寝癖ついてますよ」


汗かいた、の部分に、昨日のことを思い出して何とも言えない気恥ずかしさを感じるけど、そこはあえて気にしないふりをして、もう着替えたし、シャワーは浴びないと答える。


ただ、顔を洗いたかったのと、口の中が気になったので、洗面台だけ借りたいと伝える。洗面台に行くと、かなもついてきて、棚の中からストックの歯ブラシを出してくれて、ついでに、寝癖直しのスプレーの場所も教えてくれた。


俺が顔を洗ってる間、バターが焼けるいい匂いがしてくる。どうやら、フレンチトーストを焼いているらしい。


顔を洗って歯を磨いて、寝癖を直して部屋に戻ると、昨日パソコンが置いてあったテーブルの上に、2人分の朝食が用意されていた。食パンをいくつかの正方形に切った小さめのフレンチトーストと、ジャムがかかってフローズンブルーベリーが乗ったヨーグルト。


「飲み物、何がいいですか?私飲まないんでコーヒーはないんですけど、温かいのなら紅茶かお茶で、冷たいのなら、牛乳か、お茶がありますけど」


「ありがとう。じゃあ、牛乳で」


そう答えると、かなが冷蔵庫を開けて牛乳を取り出す。


「あー、やっぱり、背が高い人は牛乳飲むんですね」


納得したようにそんなことを言うから、つい、笑ってしまう。


「何、じゃあ、かなさんはちっちゃいから、牛乳苦手なの?」


「もー、大っ嫌いですよ。小学生の頃、給食時間に飲めなくて、午後の授業も机の端っこに置いたままで、夕方も残されて、最終下校前に先生に泣きなが謝って許してもらってたから、余計にトラウマです」


「何それ。そんなの、ぬるくなってどんどん飲めなくなるだけだし」


「まあ、そうなんですけどね」


そんなことを言いながら、かなは、紅茶のティーバッグにお湯を入れている。


「お待たせしました、牛乳です」


俺の前に牛乳の入ったグラスを置いて、自分の前には紅茶の入ったマグカップを置いて、かなが、俺の目の前に座った。

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