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いつもと違う店

「はぁっ?!ここ入んの?!」

「いいじゃん、退職祝いだよ」

普段なら絶対入らないような店への階段を、迷わず上がる。


階段の下で少し迷っている男から連絡が来たのは、数日前のこと。

「いきなりなんだけどさ、俺、会社辞めた」

高校ではよくつるんでいたが、社会人になってからは正月に予定が会えば地元で集まって飲む程度。なんで急にとは思ったが、自分に連絡をくれたことがなんとなく嬉しかった。前向きな退職なのか、それともそうじゃないのかも分からなかったが、週末、会うことにした。

普段集まるなら地元の繁華街だが、それとは反対方向の電車で向かう、自虐的に表現するなら田舎の大都市。なんとなく、普段とは違う街で話を聞きたかった。


「あ~っ、とりあえず報告終わり!二人で話すの飽きたから、キャバクラ行かん?」


とりあえず、思ったことを吐き出したのか、隣を歩く男がそんなことを吐く。地元で集まったときに行くような安くて騒げる店がないかどうか探そうか、そんなことを考えたが、ふと、思い立った。

今日はこいつの新しい門出を祝う日だ。せっかくだから、普段行かないような店に連れて行きたい。新しい道を選ぼうとしてる友人に、代わり映えのない仕事を続ける自分。別に今の仕事に不満があるわけじゃなかったが、なんとなく、背伸びをしたくなっただけだ。


「ほれ、入んぞ」

普段、地元で行くような店は、ドアを開けた途端に襲われるけたたましい音の波に耳を塞ぎたくなるが、今日初めて開けるその店には、静かで落ち着いた音楽で迎えられた。


その店で、俺はかなと出会ったんだ。


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