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誰かに聞いてほしいだけで書きました
「もう、会わない。なんだかんだでずるずる引っ張らせてしまって、ごめんね」
そう言って、かなは車から降りて行った。
一瞬、何を言われたのか分からずに反応出来なかったが、控えめにドアを閉める音で、はっとする。
かなの家から少し離れた道端。いつもなら、角を曲がるまで見送ってくれるかなが、家に向かって歩いていた。
帰りの車の中、ぼーっとする頭で考える。
こうなってしまった原因は、間違いなく自分にある。
分かってるけど。そう、分かってるんだけど、あきらめきれない気持ちを消すことが出来ない。
かなに振られたことを誰かに聞いてもらいたくて、でも、誰にも言いたくないことに気付く。
だから、ここに書いてみることにする。
ここは小説を投稿するサイトだから、かなはかなじゃないし、俺も俺じゃない。だから、これは、本当の話だけど、本当の話じゃない。
かなと出会ってから今日に至るまでを、だらだらと書く。
ただそれだけの話。