表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

03 ソーラー・ダッシュは無双の力

 レベル10になった僕が手に入れたスキルは『ソーラー・アンブロークン』。



 スキル『ソーラー・アンブロークン』

  SPがある限り、決して挫けない強い心を保てるようになる。

  スキルレベルが上がると、効果範囲が拡大する。



 僕はもう、昔の僕を取り戻していた。

 まるでお城で働くようになって、初めて登城するときの朝のような……。


 新しい自分の夜明けを、感じていたんだ……!


 僕はベンチに飛び乗って叫ぶ。


「よぉーし! 僕はこの力で、ずっと夢だった冒険者になってやるんだ!

 たとえ帝国を敵に回しても、できないことなんてないんだ!

 やってやる! やってやるぞっ! えい、えい、おーっ!!」


 通りすがりの人たちからクスクス笑われたけど、僕は気にせずに拳を振りかざす。

 するとコートの懐からにゅっと黒猫の顔が出てきて、賛同するかのように、にゃー! と肉球をあげた。


「そういえば、キミはまだ僕のところにいたんだね!

 キミも、僕といっしょに冒険者になる?」


「にゃーっ!」


「それじゃ、今日からキミはボクのパートナーだ!

 僕はソラ! キミの名前は……そうだなぁ、『トム』なんてどうかな?」


「にゃーん!」


「よろしくね、トム!」


 トムを抱きしめて頬ずりすると、トムは嬉しそうに目を細めてゴロゴロ喉を鳴らしていた。



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 僕は、善は急げとばかりにさっそく冒険に出掛けることにする。

 といっても僕は冒険者ギルドに所属していないので、クエストは受けられない。


 ただ単純に、このエクスマギアの城下町を出て、少し離れたところにある『フォレスの森』まで行って、モンスターと戦ってみるだけだ。


 僕はずっとレベル1だったけど、モンスターとは何度も戦ってきた。

 人より成長が遅いだけで、モンスターを倒していればそのうちレベルアップするんじゃないかと思って。


 でもその結果は知ってのとおりで、いくらモンスターを倒してもレベル1のままだった。

 レベル1で倒せるギリギリのモンスターに挑んで、何度も死にかけたというのに。


 もしかしたらもっと格上のモンスターを倒さなきゃ駄目なのかなと思い、他部署である『冒険者課』のクエストに、荷物持ちとして同行させてもらったこともある。

 レベル3桁の冒険者たちが相手にしている強豪モンスターの戦いに参加させてもらえば、もしかしたらレベルアップできるかもと思ったからだ。


 でも結果はやっぱり同じで、レベルアップはナシ。

 それでも僕なりに力になれるように戦闘に参加し続けたんだけど、戦いの邪魔だと煙たがられる始末だった。


 しかし今は違う。


 僕はちゃんとレベルアップできるようになったんだ。

 人並みどころか、人並み以上の速さで。


 僕はトムといっしょに意気揚々と街を出て、街道を歩く。

 モンスターのいる森を目指していたんだけど、その間に天気は回復。


 さんさんと照りつける太陽をいっぱいに浴び、5レベルもアップしていた。


 移動中にレベルアップして、新しいスキルをゲットする冒険者なんて僕くらいのものだろう。

 新しく増えたスキルは、これから戦いに赴く僕にピッタリのものだった。



 スキル『ソーラー・ダッシュ』

  SPを消費し、移動速度を上昇させる。

  スキルレベルが上がると、移動速度がさらにアップする。



 試しに使ってみたら、歩くだけで走っているかのようなスピードになった。


 歩いて2時間はかかる道中も、30分にまで短縮。

 おかげで僕のやる気もさらに加速される。


「よぉーし、やるぞっ!」


 僕はフォレスの森に着くなり、ひと休みもせずに背中のショートソードを抜く。

 トムとともに、「わーっ!」「にゃーん!」と突っ込んでいった。


 そしてさっそく1匹のゴブリンと見つける。


 ゴブリンは緑の肌をした人型のモンスターで、ハゲ頭に尖った耳と牙が特徴。

 身長は僕と同じくらいに低くて、雑魚の代表格ともいえるモンスターだ。


 僕はゴブリンに気付かれる前に、『ソーラー・ダッシュ』のスキルを使って奇襲を試みる。


「うぉぉぉぉーーーーっ!」 ばびゅーーーーんっ!


 倒木に腰掛けて休んでいたゴブリンは、こんなにやる気があって、こんなに一気に接近してくる冒険者に襲われたのは初めてなのか、「ギャッ!?」と驚いていた。


 僕の肩に乗っていたトムが、先んじて「ふにゃー!」と飛びかかり、ゴブリンの顔をバリバリと引っ掻く。

 そして怯んだところを、僕がショートソードでひと突き。


 ゴブリンは「ギャアアアアッ!?」と断末魔の悲鳴とともに、黒い煙となって消えていった。


「やった! こんなに簡単にゴブリンを倒せたのは初めてだ!

 これもトムのおかげだよ、ありがとう!」


 僕は肩に戻ってきたトムと「にゃーん!」とハイタッチを交わす。

 よぉし、この調子でガンガンいくぞっ!



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 僕はトムととともに森の中を駆けずり回りながら、出会うゴブリンたちをバッタバッタとなぎ倒していった。

 相手が少数なら、トムと一丸となって飛び込んで、一気にやっつける。


 相手が群れになっている場合は、1匹だけやっけて、『ソーラー・ダッシュ』のスキルですぐ逃げる。

 するとゴブリンたちは追いかけてくるので、散り散りになったところを1匹ずつやっつけていった。


 SPが少なくなったら、木漏れ日の差し込む場所で休憩。

 そして僕はレベル20になり、待望のスキルを手に入れた。


--------------------------------------------------


ソラ・クリアスカイ


 ステータス

  LV 20

  HP 10 / 10

  MP 10 / 10

  SP 180 / 200


 スキル

  ソーラー・パワー

   基本

    01 ソーラー・チャージ

    01 マジック・シェア

   活動

    01 ソーラー・ダッシュ

    01 ソーラー・アンブロークン

    01 ホット・ホット

   交流

    02 モフモフレンズ

   余剰

    New! 01 ソーラー・リジェネーション

    01 ソーラー・エクスペリエンス


--------------------------------------------------

ソラは魔導装置の技術者という設定に変更になりました。

それに伴い、ステータスに『マジック・シェア』スキルの追加と、あらすじと1話目と2話目の内容を修正してあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] クロネコは仲間入りですか!良いですねぇ!…私ならオスならヤマト、メスならジジと名付けますね!…トムは…一般的な名前ですが…その名だとネズミのジェリーがほしくなりますね! [気になる点] こ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ