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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

追放屋さんのおしごと〜冒険者パーティの役立たず、スムーズに追い出します!〜

 追放屋の朝は早い。

 パーティ決裂のきっかけとなる不和の種は夜に育ち、夜明けにその全貌を晒すからだ。


「ユーリ、お前はクビだ!

 俺たちのパーティから出て行きやがれ!」

「ええっ!?」


 ほら、ここにもそんなパーティが一組。

 夜明けの街の一角でいつもどおりのやりとりを始めたのは、スターリアの街におけるAクラス冒険者パーティ『白銀の腕』の一行である。



 昨日の夕刻、彼らはレアモンスターの討伐クエストに失敗しボロボロになって帰還した。

 盾役と呼ばれる重装戦士(ヘビーアーマー)のグラントは特に重症で治療院に運ばれて医師による必死の治療が行われた。

 その間、治療が行われている隣の部屋ではパーティリーダーの剣士ジェイクが祈りながら過ごし、傍らでは女僧侶のアリアが彼の震える手をずっと握っていた。


 グラントが運良く一命を取り止めたと聞いた時、まずジェイクに訪れたのは安堵の感情だろう。

 彼にとってグラントはパーティメンバーであり、また仕事の垣根を超えた親友だ。

 頼れるパーティの年長者のことを大切に思っていた。


「良かった、グラントが死んじまったら……俺」

「ジェイク様の優しい祈りが神に通じたのですよ」


 上目遣いでジェイクを見つめ、すり足で身体を密着させるアリア。

 アリアはジェイクに恋い焦がれている。

 もっとも、彼は他人の感情に無頓着なところがあり彼女の気持ちには一切気づいていない。

 パーティになってから何度も水浴びをしているところとか裸で寝ているところを目撃している(させられている)にもかかわらずだ。


 街で屈指の冒険者パーティのリーダー。

 どこの馬の骨ともわからぬ冒険者にしては整った目鼻立ちにスラリとした長身。

 これだけモテる要素があるのに、色事はパーティメンバーのグラントとたまにする娼館遊びくらい。

 どれだけ積極的に言い寄られても彼を口説き落とせた女はいない。

 その理由は彼の恋心が一途だということに尽きる。


 彼は酒場の踊り子エレナに惚れていた。

 故に彼女の目や耳に自分が他の女にうつつを抜かしていることなど入れたくない。

 しかし、その純情な感情を伝えることもできずにやきもきしていた。



 治療院を出たジェイクとアリアは手を繋ぎながら歩いていた。

 ジェイクは誰かに見られないか気にしてはいたが、こんな夜明け前の街を歩く者などいない。

 そう自分を納得させてアリアの柔肌を堪能していた。


「本当にグラントさんの怪我が深くなくて良かったです」

「ああ。復帰はいつになるか分からないけれど」

「ちょうどいい時間じゃないでしょうか。

 グラントさんが復帰するまでの間にメンバーの整理を行いましょう」

「メンバーの整理?」


 キョトンとした顔をするジェイクにアリアは小さくため息をつく。


「今回のクエストでグラントが大けがしたのは誰のせいでしょう?

 ユーリさんですよ。あなたも分かっていますよね。

 あの無能な魔法使いのせいで隊形が崩れて、一気に押し込まれたことを!

 グラントさんがピンチの時だってあの人がまともな中級魔術でも放っていれば打開できたのに!」

「落ちつくんだ、アリア。

 それは結果論だろ」

「そうです。だけど今後も同じことが繰り返されるに違いありません。

 もう実力の差が開きすぎてあの人と私たちは一緒にはいられないのですよ」


 さっきからアリアが話題に出しているユーリというのは『白銀の腕』の魔術師だ。

『白銀の腕』のメンバーは6人。


 最前衛、盾役のAランク重装戦士グラントは最年長ながらも鉄壁の防御と体力を誇る。

 前衛、近接攻撃役アタッカーのAランク剣士ジェイクの必殺剣は一撃でゴーレムをも斬り裂く。

 前衛、斥候役のAランク暗殺者シャドウは接近戦の名手でありズバ抜けた敏捷性を誇る。

 後衛、回復役のBランク僧侶アリアの治癒魔術は上級に達しておりAランク目前。

 後衛、遠距離攻撃役のBランク弓士ミーシャの射撃は百発百中。


 5人それぞれが自らの役割を果たすことで『白銀の腕』はスターリア屈指のAクラスパーティに上り詰めた。

 だが、残る一人である魔術師ユーリは前衛にするには軽装であり、後衛にするには強力な魔術を持たない。

 ランクもGランクのまま。

 使える魔術の種類は豊富であり、貴重なレアスキルホルダーだが使いどころのない落ちこぼれだった。


「ジェイク様がユーリさんを切りたくないのは分かっています。

 だって、この町に来て最初に仲間になってくれた相手ですから」

「ああ、もう5年も前のことだ。

 ろくに力もなく態度ばっかデカかったころの俺に唯一まともに相手してくれたのがアイツだ。

 俺がいまここにあるのはアイツのおかげだから」

「その借りはもう返し終わってるとは思いませんか。

 私以上にシャドウさんやミーシャさんは露骨です。

 あの二人がユーリさんと最近まともに口きいてないの気づいてるでしょう」

「まあ……な」


 パーティメンバーとは仲良しグループではない。

 特にAクラスのような上級パーティともなれば。

 より強いメンバーを加入させ戦力の増強を図ることは当然である。

 アリアが言っていることは正論であり、ジェイクは頭を悩ませていた。



 俺がこの案件を進める上で一番最初にやるべきと思ったこと。

 それはジェイクとユーリの間の絆を断ち切ることだ。

 仕事でどれだけヘマをやらかして嫌われてもユーリが残っていられるのはジェイクが庇っているからだ。

 仮にユーリのヘマのせいでアリアが死んだとしてもジェイクはユーリを追い出しはしないだろう。


 生ぬるいけど固い絆。

 とても人間らしくて素晴らしいと思うよ。

 だけど、その人間らしさが君たちの絆に楔を入れることになるんだよ。


 俺はほくそ笑んだ。



 ジェイクはある小さな家の扉を見つめる。

 そこは思いを寄せるエレナの住む家だ。


 クエストの失敗、グラントの負傷、そしてユーリを追放しろという突き上げ。


 煩わしいことを全部忘れてエレナの小麦色の肌にむしゃぶりつけたらどれだけスッとするだろうか……とでも考えているのだろう。


 エレナの家の扉が開く。

 まだ朝にもなりきらない時間、ジェイクは思わず足を止め扉を凝視する。


「えっ、あれ……」


 ジェイクよりも早くアリアが声を漏らした。

 そしてジェイクは自分の見ている光景が幻であってほしいと思いながら声も発さずに立ち尽くしている。


 エレナの家の扉から出てきたのはユーリ。

 そのすぐ後ろにひらひらと舞う蝶のようにひっついてエレナが出てきた。


「どうも、ありがとうございました」

「ううん。いいのよ。

 なかなか素敵な夜だったわ。

 あなたってホントいい子ね」

「そんな……僕はただ」

「さみしくなったのならまた遊んであげるわ」


 艶っぽい仕草でエレナはユーリを翻弄し、頬にキスをして扉を閉めた。

 ユーリは締まりのない顔をして往来に出て――――ジェイクと鉢合わせになる。


「ジェ、ジェイク? どうしてこんなところに?」

「あなたこそ何やってるんですか!?

 グラントさんが死にかけてるのに女の家に入り浸って!!

 そういうことする体力だけはあるんですね!

 汚らわしい!!」

「アリア? なんのこと?」


 アリアの皮肉を素で理解していないユーリ。

 その態度に激昂するアリア。


「ジェイク様!! もう我慢なりません!!

 私はこんな奴と一緒の空気吸うのも嫌です!!」

「アリア!? ねえ、何を怒ってるの?

 わけが分からないんだけど――――」


 わめくアリアにうろたえるユーリ。

 静かな夜明けの街を騒がしくする二人を鎮めたのは、


「ワケわからんのはお前だよ、ユーリ」


 ジェイクの静かな怒りだった。


「最初の仲間だ。実際駆け出しのころはお前がいなきゃ死んでたような局面もあった。

 だけど、お前はろくに成長していないよな。

『無詠唱魔術』なんてレアスキル持ってることにあぐらをかいて中級魔術のひとつも使えやしない」

「ジェイク……それは」

「何度も何度もお前をかばったのは、お前がいつかそのことを恩義に感じて真面目に修行してくれると思ったからなんだよ。

 だけど、お前はAクラスパーティにいながら個人の冒険者としてはGランク。

 当然だ。敵を屠るだけの攻撃力もない魔術師なんて役立たず以外の何でもない」

「ジェイク、聞いて――――」

「お前と話すようなことなんて何もない!!」


 ジェイクはユーリの無能と怠慢をあげつらった。


 ぷぷw 本当のところは想い人と一夜を共にしたことにキレてんのにそれを隠そうとするあたり、ジェイクの小物っぽさが際立つね。


 この光景を視界に入れてほくそ笑んでいる俺に3人は気づかず、喜劇は加速する。


「お前が強くなれない理由がハッキリしたよ!

 他人の事を考えられない、利己的な人間だからだ!

 どうしてグラントが死にかけているのに女の家に転がり込める!」

「いや、これは…………」


 弁解しようにも言葉が出てこない様子のユーリ。

 ジェイクは何かを諦めたかのように言い放った。


「ユーリ、お前はクビだ!

 俺たちのパーティから出て行きやがれ!」

「ええっ!?」






 俺の仕事は『追放屋』。

 冒険者パーティの追放を後押しする仕事をしている。

 わけのわからない仕事だと思うだろ?

 だけど、需要があるんだよ。

 なんたって俺の依頼主は冒険者ギルドの上層部だからな。


 冒険者ギルドというのはモンスター退治やらアイテム収集なんかの依頼を出す依頼人とそれをこなす冒険者との間の仲介や冒険者の身分保証、戦利品の売買などをこなす、いわば冒険者たちの管理機関だ。

 経済的、治安維持的な面から街の発展に貢献している組織と言える。

 だが、最近スターリアの冒険者ギルドでは依頼数が目に見えて減っていた。

 特に近隣エリアのモンスター討伐については。

 そうなると、食えない冒険者が出てくる。

 だが、冒険者ランクがCランク、またはCクラス以上のパーティに所属する冒険者は生活の最低保証が義務付けられており、その費用は冒険者ギルドを運営する街の予算から支出される。


 そうすると、当然、冒険者ギルドに対する風当たりは強くなる。


 自分たちの保身のためにギルド上層部は所属する冒険者の数を減らしたい。

 だが、冒険者登録を解除するのはよほどの重犯罪を犯さないと無理なので、俺のような『追放屋』を雇うことにしたのだ。




 唐突だが、冒険者パーティのメンバーは2種類しかいない。

「追放する者」と「追放される者」だ。


 こんな仕事をしている俺に言わせると「追放する者」は割とまともなことが多い。

 命がけの仕事をしている以上ドラスティックに物事を進めるのは生存戦略だからだ。

 なかにはパーティの女性メンバーを独り占めするために恋敵の男を追い出すようなバカもいるが。



 一方「追放される者」はというと、ほぼ100%落ち度がある。

 普通に身の丈に合った環境にいれば追放なんてされない。

 好意に甘えて身の丈に合わない環境に居座り続けることは迷惑をかけること以外の何物でもない。

 あと、奴らはありえないほどコミュニケーション能力が低い。

 それまでどうやってパーティをやってこれたのか分からんほど意思の疎通が取れない。

 言われっぱなしになって、黙りこくって陰気な被害者ヅラを下げて落ち延びていく。

 冒険者に限らずどんな仕事でも使いたくないよね、そんなヤツ。



 さて、そんなユーリ君。

 冒険者ギルドにやってきたようですね。

 新しいメンバーを探して冒険者を続けるつもりなのでしょうか?


 あれれー?

 おかしいなあ。

 ギルドにいる冒険者がみんなユーリ君からはなれていくぞー。


 ま、そりゃそうさ。

 パーティから追放されるパターンなんて滅多にないんだ。

 普通は自分から脱退を願い出るもんだ。


「俺はここまでだ、達者でな」

「今までありがとう!」


 と言った感じで去り際の鮮やかな人間は信用される。

 そういうヤツのところには、


「Aクラスでは無理でもCクラスのうちなら主力になってくれるかも」


 って感じで転入のお誘いが飛び込んでくる。


 でも、ユーリ君を快く受け入れるパーティなんてない。

 金賭けたっていい。

 追放理由は「弱すぎるから」だが、それを認めることなくこれまでパーティに居座り続けたアレな根性の持ち主だもん。

 しかも、本人がGランクという事実も知れ渡ってるし、さらにパーティメンバーを故意に殺害しようとしたとかAクラスパーティなのをかさに着て新人冒険者の少女を無理やり手籠めにしたとかデマまでくっついている。


 人間って悪い奴を叩くのが好きってわけじゃない。

 叩いていい奴を悪く仕立て上げるのが好きなんだ、とこういう時に強く感じる。


 哀れなユーリ君…………とは思わないけどね。

 俺は君に落ち度があると思っているから。



 さてさて、ユーリ君はこそこそ隠れるようにギルドの受付嬢のマチルダに簡単な依頼がないか尋ねているようです。


「残念ですけど、ユーリさんに紹介できそうな依頼はないですね」

「なぜですか!?

 掲示板には薬草取りのクエストがあんなに」

「あれは初心者向けのクエストです。

 冒険者登録2年未満の冒険者にしか受けられないんですよ。

 ギルドにとって新人の育成が大事って分かりますよね。

 新人に経験を積ませるのにちょうどいいくらいのクエストを中堅どころの冒険者に持っていかれると育成が進まないんですよ」


 眉をへの字にして申し訳なさそうに説いて聞かせるマチルダ。

 丁寧に編み込んだ髪にキッチリと折り目のついた服。

 座り仕事なのに余計な脂肪のついていないスラリとした体形にうっすら軽めのお化粧で事足りる華のある顔立ち。

 ギルドの受付嬢の中でも男性冒険者から絶大なる人気を誇る清楚な感じの美女だ。

 女性冒険者のやっかみで「嫁ぎ遅れ」とか言われると、


「私が嫁いだら皆さんの士気が下がるから結婚しないだけです~」


 なんてお茶目な返しをしてくれる。

 俺もこの女のことは気に入っている。


 そんなマチルダは親身になってユーリの話を聞いてやっている。

 そして、出した結論が、


「ユーリさん。

 別の街のギルドに行きませんか?」

「別の?」

「はい。今、南方にあるトランガルドの街では冒険者を大量募集しているんですよ。

 なんでも大規模ダンジョンが発見されたとかで。

 新しい街でならあなたのことを知る人もいないでしょうから新しい環境で心機一転してはいかがでしょう」


 そういって、トランガルドまでの地図の写しやギルドへの紹介状を手際よく手渡すマチルダ。

 最初からこうするのは確定事項で形だけユーリの話を聞いてあげていたのだろう。

 したたかな女だ。


 こうして、スターリアのAクラスパーティ『白銀の腕』は邪魔者の魔術師ユーリを追放し、さらに辺境のトランガルドまで移住させることに成功しました。

 めでたしめでたし、ってね。




 ◆◇◆


「うう~~~ん、結局ヴェルさんは何をしてたんですか?

 のぞき見してただけのような気がするんですけど」

「失敬だな。

 俺の仕事は物事が動く前には終わってなきゃいけなかったの。

 パーティ内でのユーリに対するヘイトを高めるために噂を流したり、役立たずを追放した事でうまくいったパーティの成功談を聞かせたり細々したことは山ほどやってるんだよ。

 不自然にならないように人を雇ったり工夫してな。

 中でも一番大がかりだったのはエレナ周りだな。

 ユーリがエレナの家にしけ込んだのは俺の差し金だ」

「ええっ! どうやったんですか?

 エレナさんって割とお高く止まってると聞きましたけど。

 よくユーリさんなんかと寝ましたね」

「別にそんなことしてないと思うぜ。

 だって、あのユーリ君だし」

「え、でも……」


 同じベッドの上で裸のまま寝そべる女が首を傾げた。

 ピロートークというには悪趣味な話題だが結構盛り上がるんだ。


「だって俺直々にユーリ君にこう言ったんだ。

『グラントが傷ついてジェイクも疲れているから甘えられる女が必要だ。

 踊り子のエレナって女に彼は惚れている。

 親友の君が彼女にジェイクのいいところを教えてあげるんだ。

 そうすればきっとエレナはジェイクを受け入れるよ』

 ってね」


 ククク、と声を殺して笑う。

 彼女も「ひどいですね~」と笑う。


「で、エレナには

『一晩、ユーリの話を聞いてくれるだけでいい。

 そうすれば君はあの白銀の腕のジェイクの女になれる。

 ジェイクはあれで自分に自信がないんだ。

 だから、彼のいいところを褒めてあげればすぐにコロッといくよ』

 ってな」

「ん? それじゃあもしかして、元々エレナさんはジェイクさんを」

「酒場の踊り子が狙える男の中じゃ最高レベルだもんな。

 俺にはあんな格好つけのどこが良いのかわかんないけど」

「うわ~~……悪魔的ですね。

 純情な冒険者と欲深い踊り子をだまくらかして。

 きっとろくな死に方できませんよ」


 悪態をつきながらも再び俺の腹に縋ってくる彼女。

 昼間の彼女を知っている人間からすれば俺のような見るからに怪しそうな男にご奉仕しているのは悲劇のそれだろう。


「その時はお前も道連れにしてやるよ、マチルダ」


 髪の毛をほどき、服を脱ぎ捨てたマチルダは昼間の受付嬢姿からは程遠く淫靡で魅惑的だ。

 嫁ぎ遅れ? 違います。

 性に奔放でオトコ好き過ぎるから身軽な身体でいたいだけのプレイガールです。

 多くの人を見る目のない男たちが憧れる清純そうな彼女が夫でもない俺を相手に淫らに乱れているという事実だけで興奮できてしまう。

 俺もなかなか業が深いね。


「でも、ひとつ解せないんですよね。

 なんでヴェルさんは追放してからもユーリ君のことを気にかけているんですか」


 そう言って彼女は手を伸ばし俺の体を撫でまわしてくる。


「ふーーむ……ま、いいや。

 もうすぐお前の耳にも入ってきそうだしな」

「へ? 何が?」


 キョトンとした顔のマチルダを見て、知識をひけらかしたい自己顕示欲がうずく。


「『無詠唱魔術』ってとんでもないチートスキルなんだよ。

 詠唱を省略できる分早く魔術が発動できる、なんてのが世間的な認識だけど実態はそんなもんじゃない。

 そもそも詠唱ってのは魔術発動に必要な魔術式を構築する工程そのものだからな。

 それが省略されるってことは魔術構築の時間が限りなくゼロに近いってことだ。

 普通の魔術が水鉄砲に水を注入してから打つものだとしたら、ユーリ君の場合は常に水がいっぱいで打っても減らない水鉄砲を持ち歩いているようなものだ。

 だから彼には魔力切れという概念もない。

 魔術を使用する時に魔力を消費するのは魔術構築の段階だからな。

 そして、タメがなく魔術を放てるということは魔術の連続発動、極めれば同時発動も可能ということだ」

「え? そんな使い方できるんですか?」

「ああ。多分、ユーリ君はちゃんとそのことの優位性に気づいていたんじゃないか。

 だから中級魔術の習得は行わなかった。

 無詠唱は感覚的な技術だからな。

 下手に詠唱を必要とする魔術を覚えてしまえばその感覚を失いかねない」


 追放屋、なんて名乗るからには当然追放対象のことは徹底的に調べ上げる。

 多分この世で俺以上にユーリの才能を理解できている人間はいない。

 本人以上だとすら思っている。


「でも、それじゃあ結局、初級魔術だけなんですよね。

 初級の魔術で狩れる魔物なんてせいぜいDランクまでで」

「なんで魔術を攻撃魔術だけに限定しているんだ?」

「あ…………」


 さすが、俺のお気に入り。

 聡いところも素敵だ。

 せめてマチルダくらいカンが働くやつがあのパーティにいればこんなことにならなかっただろうな。




 ◆◇◆


 ユーリの追放からひと月ほどが経ったある日。

 俺の部屋に訪れたマチルダが靴も脱がずにベッドに倒れ込んだ。

 かなりお疲れのご様子らしい。


「いい知らせと悪い知らせがあるんですけど、どっちから聞きたいですか?」

「もちろん悪い知らせ。

 俺は好物から先にいただくタイプなんだ」

「悪魔的過ぎて笑えてきます……いや、笑えないんですけどね」


 面倒くさそうに髪の毛をほどき、ベッドに腰かけたマチルダ。


「ていうか、全部あなたは知っているんじゃないですか?

 だってあなたの予言した通りなんですから」

「お前の可愛いお口から聞かせてほしいんだよ」


 と彼女の唇を指でなぞると払いのけられため息をつかれた。


 だが、それは拒絶という意味ではなかった。

 むしろ吐き出したくて仕方なかった愚痴をようやく吐けると安堵しているようにも見える。



 ユーリを追い出したジェイクはしばらく荒れに荒れていたようだ。

 なんたって親友であると同時に常に下に見ていた相手に想い人を寝取られてしまった(と思い込んでるw)のだから。

 グラントの怪我による休養も災いした。

 荒れている人間に暇を与えるとろくなことは無い。

 彼は何かのタガが外れたように手当たり次第に女を抱きまくった。

 もうエレナにどう思われようが知ったことじゃない。

 むしろ、ユーリなんかと寝た女に想いを寄せていた事が恥ずかしくて不快だ。

 酒場の給仕、新人の女冒険者、場末の娼婦と色目を使って落とせる女は片っ端から抱いた。

 そういう噂が流れる頃にノコノコやってきたエレナとも関係は持った。

 もっとも抱いたとか寝たとか言えないほど無惨な扱いだったようで、エレナは彼との関係を一切口にしない。


 まあ、そんな悲惨な話の中でも笑える話がある。

 ジェイクがパーティメンバーのアリアとミーシャとも関係を持ったのだという。

 アリアは願ったり叶ったりだったろうが、ミーシャというのは意外だった。

 気になって詳しく探ってみたら、なんでもミーシャと同じくパーティメンバーのシャドウは幼馴染で良い仲になりかけだったという。

 優秀な冒険者パーティ、白銀の腕は亀裂だらけになっていた。

 そこにグラントが治療を終え、戦線に復帰することとなった。

 みんながその時を待ち望んでいた。

 クエストを受けて冒険者として活動していればジェイクも前のように戻って、みんな元通りになると信じていたからだ。


 復帰戦ということでクエストの難易度はBレベル。

 森に巣食うトロルを二〇体討伐すること。

 二年前にはクリアできるようになっていたレベルのクエストだ。

 しかもAランクのベテラン魔術師ゲオルグが助っ人で入ることとなった。

 万全の状態で約ひと月ぶりに白銀の腕は復帰した。


 道中、ジェイクはゲオルグにしきりに語りかけていた。


「ガキの頃から憧れていたアンタと組めるなんて俺も偉くなったもんだぜ。

 なあ、よかったら引退まで俺たちと組まねえか?

 悪くないと思うぜ」

「考えておくよ。

 それにしても、なんだかお前感じが変わったな」

「そうか?」

「ああ。こないだまではもう少し謙虚だった」

「へっ。誰かさんが寝込んでいる間、いろいろ良い経験をさせてもらったからな」


 グラントに侮蔑の視線を送るジェイク。

 年長のジェイクに対するものと思えない態度にシャドウが不快そうに口を挟む。


「金で女を買っていた頃の方がマシだったぜ。

 金を使わなくなってからは品性が乞食レベルに落ちた」

「あ?」


 ジェイクはシャドウを睨みつけるが対人戦ではシャドウに分がある。

 それを肌で感じて気圧された。


「聞き捨てなりませんね。

 だったら私は乞食に抱いてもらった女ですか」


 さらにミーシャが口を挟む。

 抱いてもらったのところを聞こえよがしに。

 するとアリアが大きなため息をつく。


「やめてくださいよ……

 せっかくみんなで元通りになるために冒険(クエスト)をしようって決めたんですから」


 気まずい沈黙が訪れる。

 すると黙っていたグラントがポツリと呟く。


「元通りになろうにも、ユーリは追い出しちまったんだろ。

 元ってなんだろうなあ」


 ジェイクが最初に組んだパーティメンバーがユーリ。

 つまり、ユーリがいない白銀の腕は今までになかった。

 それが意味することを彼らは悲惨なまでの経験を持って思い知らされることになる。



 トロルは身の丈3メートルになる巨大な人型のバケモノ。

 その怪力は驚異であるがモンスターとしての危険度はCランク相当。

 つまりCランクの冒険者なら倒せる。

 Bランクなら完封できる。

 白銀の腕のようなAクラスパーティのメンバーなら秒殺して然るべき。


 のはずだったが、


「があああああっ!!

 アリア! 何やってんだ!

 魔力をもっと強く!

 早くしてくれ!

 腕がちぎれちまう!」

「うるさいです!

 鈍いトロルに腕を折られるなんて!

 暗殺者が聞いて呆れますよ!」


 骨がはみ出るほどの負傷をしているシャドウをアリアが必死で治癒しようとするが上手く術が発動できない。


「なんで! 上級魔術どころか中級魔術まで使えないなんて」

「嬢ちゃん! 諦めて初級魔術を使うんだ!

 本当にそいつの腕が使い物にならなくなる!」


 助っ人のゲオルグが一人Aランク冒険者としての力を存分に振るう。

 だが、


「うおおおおっ!!

 おい! ミーシャ!?

 さっきからお主何をやっておる!

 森に矢を捨てにきたのか!?」

「あ、当たらないのです!?

 何故!? どうして!?」


 鉄壁のグラントの防御はトロルの圧力に屈し、百発百中だったミーシャの矢がことごとく外れる。

 あり得ない事態だった。


「うおおおおおおっ!!」


 ジェイクは自身の最大奥義『落雷斬り』を惜しみなく放つ。

 だが、それでようやくCランクのトロルをギリギリ倒せる程度。


「ありえねえ、ありえねえ…………」

「ジェイク! 撤退だ!

 俺がしんがりを務めてやるから逃げろ!!」


 撤退を指示するゲオルグ。

 彼以外の全員が死の恐怖を感じていた。

 今まで頼り縋っていた自分の力がまるで発揮されないのだ。

 強い敵に出会うことよりもはるかに恐ろしいのは自分が弱くなってしまうこと。

 できるはずのことができなくなっていくことの焦りは心を蝕み、まともな判断力をも奪っていく。



 シャドウは右腕と右脚を失った時点で囮として打ち捨てられた。

 ミーシャは両眼と利き手の指を全て失った。

 グラントは腰と背中の骨を砕いてしまい、街に戻った瞬間から立ち上がれなくなってしまった。

 アリアは毒を受けて内臓という内臓をぐちゃぐちゃに潰されてしまった。


 生きているのが奇跡ではあったが、みんな誰かの介助なしでは生きられない身体になってしまった。


 その様はまるで冒険者の悲惨な末路の見本市のようだった。

 一人、軽傷で生き延びたジェイクだったが、彼が幸せかといえば全くそうじゃない。

 生き残った全員を治療院に送り込んだ後、ゲオルグはジェイクの頬を張った。


「何が白銀の腕だ、何がAクラスパーティだ!

 まるで新人冒険者の一行と組んだ気分だったぜ!

 いや、新人ならまだ素直なだけマシだ。

 俺の言うことは聞かず無謀な特攻ばっかしやがって!」

「ち、違うんだ……

 本当は俺もみんなももっと強いんだ……

 だけど、何故か力が出なくて」

「久しぶりだから鈍ってた?

 そんな言い訳ができる酷さじゃねえだろ。

 どう贔屓目に見てもお前らはせいぜいDクラスの上位にギリ届く程度だ。

 いったいどうやって今までAクラスでやってこれたんだよ」


 ジェイクの頭によぎるのはユーリの顔だった。


 あの役立たずのおかげで俺たちが上手く行ってたわけがない。

 そうじゃなきゃ、俺が嫉妬に駆られてやったことでみんなをあんな目に合わせてしまったことになる。


 ジェイクの心境はそんなところだろうね。





「うん。なかなか悪い話だったねえ」

「最悪ですよ。

 本当悲惨なやられ方して帰って来たものだから新人の子たちはビビっちゃうし、白銀の腕がクエストの報告を捏造したりしてないか監査が入ったりで忙し過ぎです。

 このままだと私の方が死んじゃいます」

「うんうん、どうせ死ぬなら俺の腹の上で死にな、っと。

 そういや良い話の方は?」

「ヴェルさんがお気に入りのユーリさんのお話ですよ」

「なるほど。

 そっちはかいつまんでで良いかな」


 本当に性格悪っ、と呟いてマチルダは語り出す。




 スターリアの街を出たユーリがひとり山道を歩いていると、馬車がゴブリンに襲われているのが見えた。

 御者はすでに逃げ出しており、貴族に御令嬢と思われる若い娘たちが幌の中から引きずり出されているところだった。

 ユーリは意を決して助けに入るが、ゴブリンの数は多く次第に追い詰められていく。

 だが、衝動的にゴブリンを殴った娘の拳がその頭部を破壊した。

 最初は何かの間違いかと思ったらしいが、娘たちは立ち上がりゴブリンたちと真っ向から戦い始めた。

 ゴブリンは子供程度の腕力とはいえ、ろくに身体を動かしたことのない貴族令嬢が素手で勝てる相手ではない。

 だが彼女たちはほぼ一方的に敵を殲滅した。

 それが出来たのはユーリが全員に補助魔術をこれでもかってくらいにかけ続けていたからだ。

 攻撃力増加、防御力増加、素早さ向上、幸運向上、などなど。

 一つ一つの効果は薄くとも複数の補助魔術を重ね掛けするとその効果が相乗的に上がることがある。

 たとえば素早さ向上で増した速度で殴りつければ攻撃力も上がる、といった仕組みだ。

 故にユーリの補助魔術はエグい。

 無詠唱によって瞬時に発動され、半永久的に持続し、複数同時発動可能。


 危ないところを救ってもらった貴族のご令嬢達|(ちなみに全員腹違いの姉妹)は全員ユーリに惚れ込んで一緒にパーティを結成したのだとか。



「トントン拍子でつまらん。

 予想から一歩もはみ出てないなあ」

「腹違いの五人姉妹とパーティを組むなんて怪奇現象を予測していたんですか?」


 まあ、準ずるものは。

 報告を聞いて思わずため息が漏れる。


「それで、何が良い知らせ?」

「だってヴェルさんお気に入りのユーリくんが元気にやってるんですよ!」

「うん。たしかに観察しがいがあったが、もう旬は過ぎたね。

 彼も彼の周りも基本的にコミュニケーション不足なんだよ。

 第一印象だけで切り捨てる、褒め称えるを決めているから後々の人間関係に変化がない。

 抑揚のない人生なんてわざわざ覗き見る価値ないね」

「冷たい男ね……」


 アンニュイなマチルダの表情やしぐさにムラムラ来た俺はマチルダを後ろから抱きすくめ、耳を舐めながらブラウスのボタンに手をかけた。


「ああ、それとは別に悲しいお知らせもあったんですよ」

「ほほう。それに興味がないことはないがせっかく部屋に来たのだから今は」


 ふと、首筋に冷たい感触が走った。


「本当に悲しいですよ。

 別れ話ってやつはいつだって」


 マチルダは小さな隠しナイフで俺の首筋を舐めている。

 合図を出されたのか突然、武装した兵士が部屋に乱入し、一斉に俺に刃を突きつけた。


「別れ話も段階を踏まないか?

 いきなり首と胴体の別れ話なんて笑えないんだけど」

「大丈夫ですよ。

 黙ってこちらの通告を受け入れてくれれば何もしません」


 いつもどおりの柔らかな応答。

 いや、仕事をしている時のマチルダの声音だ。



「単刀直入に言います。

 ヴェルさん。あなたはクビです。

 もうこのスターリアの街にいることも許しません。

 要するに――――」

「追放ってことね。

 なかなか良い意趣返しじゃない。

 絵を描いたのはお前か?」

「まさか。私はただの受付嬢。

 契約者の懐に飛び込んで動向を聞き出す位しかしていませんよ」

「なるほど。俺はスパイにメロメロだったわけだ」


 お手上げ、と言わんばかりに俺は両手を挙げた。


「俺、なんか悪いことした?」

「した実感無いんですか?

 ユーリさんの力を見極めながらもそれを隠し、追放しこの街から出ていくよう仕向けた。

 調べていくと似たような余罪がちょこちょこ浮かび上がってますね。

 これは背信行為ですよ」

「前も言わなかったか。

 追放される奴は何かしらの落ち度があるって。

 俺はあんたらの言うとおり不用な冒険者を切っただけだ」

「DランクパーティをAランクまで引き上げるバッファーのどこが不用なんですか!?

 白銀の腕じゃなく別のパーティに入れればもっと凄いことになっていたのに」


 マチルダの甘い目論見に俺は失笑する。

 苛立ちながら睨んでくる彼女に優しく説いて聞かせる。


「ユーリは自分の力をパーティでの役割を理解していた。

 だけど、ジェイクに言われるがままパーティを脱退した。

 その結果、何が起こるかは簡単に予想がついたことだ」

「…………あ」

「仮に自分の力を過小評価してたとしても、そうでないことは五人の令嬢を助けた時に気づいたはずだ。

 なんたって素人のお嬢様をモンスター退治させられるようになるバフだもんな。

 そんな自分が抜けた元パーティはどうなるか。

 俺だったら慌てて引き返しジェイクに自分の力を伝える。

 補助魔術抜きの実力ギャップによる事故を起こさせないためにな」


 ユーリはしなかった。

 そういう心根の持ち主なのだ。

 追放される奴はそんな奴ばかりだ。

 頭の回転が悪く、コミュニケーションや議論が下手。

 相手を心配することより、自分が傷付かずに済むように楽な道楽な道へと逃げていく。

 自分を甘やかしてくれる相手だけを仲間とし、その仲間を自分の信徒へと引き摺り堕とす。

 結果、独善的で傲慢な人格が育成される。

 役立たずと罵られてきた環境が原因なのか生まれ持ってのものなのかは分からないが、醜悪で信用などおけるはずもない。


「予言しておく。

 もし、将来的にお前らがユーリの力を借りるようなことになった場合、アイツは絶対傲慢な態度でお前たちを強請りたかるだろう。

 自分が強者であると知りながら被害者ヅラをして自己中心的な論理を振りかざし、信徒と成り果てた取り巻きに援護させて、最後は暴力や弱みにつけ込んで脅迫してくる。

 ペースに巻き込まれるなよ」

「退職ついでの捨て台詞と受け取っておきますよ。

 おつかれさまでした。ヴェルさん」


 ニッコリと笑うマチルダを見て、別れの言葉を差し出す。


「こんなことになるって分かってたなら……もう一回くらい抱いときたかった」


 一生の不覚だ。

 肩を落としガッカリする俺の頬にマチルダは指を突き刺し、


「趣味はともかく、ソッチの方は相性バッチリでしたからね。

 私も名残り惜しいですよ。本気で寂しいです」


 と、ガッカリした様子でため息をついた。

 その様子を見て俺は満足しきってしまった。

 男って単純だと思う。



 こうして『追放屋』としての俺の仕事は終わりを告げた。






「なかなか面白い仕事だったんだけどなあ。

 追放されることにおいては俺の右に出る者はいないと思っていたし」


 フラフラと平原を歩きながら俺は昔を思い出す。



 およそ1万年前、この地に人間が蔓延る前のこと。

 天界で最高神と対立した俺はヤツの首を狙って叛逆を企てたが失敗におわり、この地に追放された。

 それからまもなく人の先祖たちも同じように追放されこの地に根を下ろした。


 我々は苦しみや悲しみ、憎しみといった負の感情のない完全な世界には不用の者とされ、不完全で艱難辛苦(かんなんしんく)が降り注ぐ世界で生きる憐れな追放者。

 だが、それ故に俺は人間の愚かさや醜さを愛でたい。

 奴らの不完全さが露呈する出来事は俺に同族愛を発露させてくれる。



 スターリアの街は近いうちに立ち行かなくなるだろう。

 あの街の付近で大した事件もなくモンスターの活動も鎮静化していたのは俺がいたせいなんだから。

 くだらない上層部の点数稼ぎのために自らの防壁たる冒険者を取り除いてしまったなんて愚かしくて最高だ。

 終焉の日には特等席で鑑賞したいものだ。


 魔を統べる――悪魔の王として。

 クク……マチルダがどんな反応するか見ものだな。



 ……それはそれとて、次の仕事探さないとなあ。

 せっかくだから前々から興味あった魔術学院で働き口探すかな。

 いや、学院なら生徒というのも。



 楽しい明日を思い浮かべながら俺は意気揚々と追放された。



読んでいただきありがとうございます。

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