商家にお買い物
「失礼します。」
一礼してマザーの部屋に踏み込む。
マザーの部屋に入ると忙しそうに書類をまとめている姿が見えた。
昨日見た時も思ったがほんとにいいプロポーションしてる。大人の色気とはこのことなんだろうな。
スリットの入ったスカートからスラリとしながらも肉厚な足がのぞいている。胸もあふれんばかり、たくさんの夢がつまっている大きさだ。
女の私が見ててもなんか色香にあてられそう。
そんなマザーを見てるとなんとなくだけど夜のお仕事な気がするここ、キャバクラ的な。
昨日施術した彼女たちの服装はエスパはかなりきわどい衣装だったし、着飾っている子たちが多かった。
ドレスのような、薄い布で体のラインが分かる服が本当に多かった。
「ああ。おはよう、身体は大丈夫かい?多分魔力の使い過ぎだとは思うけどね。」
そういうと書類の手を止めこちらに歩いてきた。
「・・・うん、顔色はいいね。もう少し休ませてはあげたいんだけど、こちらも立て込んでてね、早速で悪いんだけど今日も夕刻から仕事をはじめてほしい、あとで衣装担当と引き合わせるよ。メイクは一人でなんとかできても昨日みたいに髪型とか全部を一人では無理だろう。助手もいるだろうし。」
そういいながら腕を組む。
確かに昨日は忙しすぎた。メイクから、ヘアセット、ある子は衣装までのトータルコーディネイトの娘もいた。ローズちゃんや、他にいた裏方風の人に声をかけまくり、使えるものは使った感がある。
出来るなら打ち合わせをして、前もって用意したい。
「何か必要なものがあったりするかい?」
「・・・あの、メイクするのはもちろんなんですけど。たぶん日によっては肌のコンディションが悪い娘たちもいますよね?その娘たちに肌のマッサージをしたいんです・・・。出来ればお昼から。」
「うん?髪結いの仕事はメイクと、ヘアセットのみよ?なぜマッサージが必要なんだい?」
「本来メイクは地肌を整えねば綺麗にのりません。昨日見させていただいた娘達の半数はお肌に問題がある娘が多かったんです。時間もなかったのであまりにひどい娘のみしか肌のマッサージをおこなっていません。今は何ともない娘でも若さのみに頼って保ててる娘も何人かいてるようでしたし・・・。」
「ちょっ・・・ちょっとまって!確かに昨日のあの娘達は今まで以上に綺麗になっていたのは
まさか、そのアカリの言うお肌のマッサージをしたから?」
「はい、たぶん・・・・。」
多分ではなくマッサージのおかげだろうな・・・。今日私も実感したし・・・。
「・・・どおりで、あんなに綺麗に。メイクだけだじゃなかったのね・・・。」
少し考えたあとマザーが空中に円を描く。昨日みたテレビ電話みたいな魔法だ。
「ランスロッドかい?中ぐらいの部屋を作っておいて。家具は・・・そうね、アカリそのマッサージには何が必要なの?出来るだけ家具を用意するわ。」
「え!?えっと、マッサージするためのベッドがいります。出来れば私が立ちながら出来るものが必要なんですが・・・・。あとシャワーも。全身マッサージはオイルを使います。おわったら全身をあらってもらうので・・。」
「!?全身マッサージもできるのかい!?お貴族さまが受けている施術がこんな身近に・・・・。
かならず用意させるわ。ランスロッド聞いていたわね!!」
「はい、わかりました。今から何人か連れて商家にいってまいります。」
「・・・ちょっとまって、アカリも商家に連れてって。」
「え!?」
「分かりました。今からそちらに向かいます。」
そういうと魔法が消えた。
「一緒に行くのですか?」
「一緒にみて選んできなさい、アカリの仕事道具なのよ?」
「それはそうですが・・・・。」
「ついでにここの街の様子見ておいで。何にも分からないでしょ?ランスロッドの他にも男どもも一緒だし、離れなければ危険はない。」
確かに、何にもしらない。仕事は今日からしなきゃだし。外の世界は知りたいし・・・。
「はい、わかりました。ではいってきます。」
そのあとランスロッドという男性がくるまでマッサージに必要なオイルやら、化粧品の数々を質問攻めされた。「お貴族様の侍女の仕事でもしていたのか?」とも・・・・
ここの世界には化粧水はもちろんクリーム、オイルに至るまでさまざまな値段で売ってあることがわかった。現にマザーはそれはそれは高価な美容液を使っているらしい。
ただ、マッサージ自体はお貴族様の特権というか。貴族勤めになる侍女の特殊技術として、各貴族の侍女が次の侍女に伝承する形になっているので外に技術が出ることがないそうなのだ。女性がいつまでも美しいと良い侍女がそこの屋敷にはいるとか、お抱えの薬師がいるとか家のステータスになっている。
こちらでは化粧水などの美容系用品は薬師のお仕事だそうだ。
どんな作り方をするのか気になるなぁ・・・できれば私も作ってみたい。
少しすると長身の男の人が入ってくる。
金髪の髪を後ろで束ねていて今まで見かけた衛兵の人たちより少し細身のこれまたイケメンだ。
「ランスロッド参りました。」
一礼し、こちらに顔を向ける。
「昨日話していた髪結いだよ。ここの一座の一員になったからよろしく頼むわね。」
「アカリと言います。よろしくお願いいたします。」
あわててお辞儀をする。
「よろしくね、アカリちゃん。歳のわりに技術がすごいって話が持ち切りだよ。」
にこりとこちらに微笑んでくれる。
ん?歳のわりに?・・・・
どゆこと?
「早速ですが、行きましょう。表には馬車も用意してますから。」
「は、はい。」
とんでもなく年齢を誤解されてる気はするが、とりあえず急いで馬車の場所まで向かうことにした。
ここの一座はサーカスのように大きな広場にゲルを構えているようだ。
一座のメインのゲルが大きな道に面してあり、その後ろに私たちの部屋や、食堂のゲルが連なっている。
メインの場所は本当にサーカスの様な作りで豪華その物。VIPとかセレブが通う店って勝手なイメージだけどそう感じた。店に入るまでにも大きな門があり、門の横には柵はないが薄い結界のような膜がある。それはここ一帯を取り囲んでいる様だった。
これがどうやっても潜り込めない理由か・・・。
門の前にはフローガやくクルトのようなムッキムキ護衛が四人ほど立っている。
なんとなく納得しているとランスロッドから声をかけられた。
「馬車にのってください。今からいきますよ。」
立派な客車の前で手招きをしていた。
貴族が乗っていそうな豪華さがあったが不思議と客車の足の部分に車輪はついておらず、宙に浮いている。
宙に?・・・車輪ないのか・・・。そもそも馬車なの?
本来馬がいてるであろう位置には見たこともない大きな馬のような動物がいた。
角が生えてるし・・・・。
馬であるかも定かじゃないな・・・でも馬車っていってたし・・。
「馬車が珍しいの?だとすれば、田舎から出てきたの?」
「えっと・・・その。」
異世界から来ましたとも言えず、困る。
「オイオイ、さっそくナンパか?ランスロッド。」
ふり返ると大柄のまさしく熊のようなおじさんがいた。
がははっと笑って豪快だ。
「嬢ちゃん、こいつは気を付けなよ、なんせ女泣かせなんだよ。」
「ちょっ!先輩なんてこと言うんですか!?」
イケメンと思わず距離をとる。やっぱりか、爽やかイケメンだとは思ったけどなかなかに曲者か・・・。
「変な事吹き込むのはやめてくださいよ、警戒されてしまったじゃないですか・・」
「がははっざまーねぇな、嬢ちゃん早く乗りな。俺の横に座ったら大丈夫だぜ。」
「・・・奥さんに若い子口説いてたとチクりますからね・・・。」
「その奥さんにお願いされて嬢ちゃんを悪い奴から守るのさ。」
自信満々に胸を叩く。
奥さんと私面識ないんだけどな??
「昨日嬢ちゃんが忙しく仕事している間手伝ってたらしいぞ、そりゃべた褒めだったぞ!あれはすごい髪結いだってな!!」
ばしばしと背中を叩かれる。
そうか、昨日は誰構わず声をかけて手伝ってもらえる事は手伝ってもらった一人なのなかな?。
いっぱいいっぱいで顔をきちんと確認できていなかった。
「じゃあよろしくおねがいします。アカリです。」
「ロドルコだ、よろしくな。さぁ、いそごう。時間はあまりないからな。」
客車に乗り込み馬車を操る御者が手を挙げると、門番が門を開いた。
不思議な乗り心地の馬車がゆっくりと走りだした。
変な浮遊感を感じながら、馬車に揺られる。道は砂漠地帯にも関わらずレンガの様な石造りで舗装されていて街頭までも設置してある。町までは少し距離があるようで、道以外は何もない砂漠だけだ。
しばらくすると建物が見えてきた。砂漠都市だ。
思っていたより中世ヨーロッパよりの建物が並ぶ。先ほど通っていた道と同じく街灯もあり、しっかり整備されている。露店もたくさんありものすごく賑わっていた。
見える人たちは色んな人種がいるようだ。あ!猫耳の様な耳がついてる!!獣人族かな?耳が長くてきれいなおねーさんはエルフ?、背が低いドワーフ族?リザードマンまでいるじゃん・・・・。多種多様。
みんな衛兵のような装備を身にまとっていることから冒険者か何かってことか・・・。
でもなんと言うか、若干殺伐として見える。
見える酒場のような場所では殴り合いのケンカをしているのが見えた。
「・・・ここらの冒険者は気が荒い。みんながあんなんじゃないんだけどな・・・。」
そう声をかけてきたのは横にすわっているロドルコだった。
よっぽど私が凄い顔をしていたのだろう。
なんとなく慰めるような口ぶりだった。
「まぁここ何年か不安定な国政が続いていますからね、ごろつきは増えた印象がありますね。」
氷の様な冷めたまなざしでゴロツキを見ているランスロッド。
私の視線に気がついたのか柔らかくこちらに微笑む。
この人実は怖い人なんじゃない?
にへらっと笑顔を返しながら要注意人物として心に刻む。
「でもみなさん馬車にはきちんと道を譲ってくれるんですね。」
人口がすごいのに馬車はスピードが落ちていない、さっきから不思議だったのだ。
「そりゃあ当たり前じゃねぇか、この馬車にはティエーラ一座のマークが馬車についているしな。それに馬車に乗れるのはお貴族さまぐれーだ。さすがに貴族にケンカが売れるほどここに居る冒険者たちは馬鹿じゃねえよ。」
がははっとわらいながら教えてくれる。
「そろそろ着きますよ」
ランスロッドが外に目をやると大きな立派な黒塗りの門が見えてきた。
お店というよりかは立派なお屋敷だ。
門を馬車のまま通ると屋敷の扉の前の大きな広場には他の馬車が何台か見えていた。
一定の場所に馬車を止めると執事の様な人が馬車の扉を開ける。
「おりましょう、アカリ。」
流れるようにおりたランスロッドが手をさしだすもんだからそのまま自然に握ってしまった。
そのまま馬車から降りる。
続くようにロドルコが降りた。
「いらっしゃいませ。ランスロッド様。」
目の前には格式高そうなスーツをきた男の人が立っていた。執事のような雰囲気だ。
「少し急ぎです、早速ですがお願いします。」
「かしこまりました。こちらへどうぞ。」
案内された部屋にはところ狭しと、商品が陳列してある。たくさんの商品はあるがごちゃっとしたイメージはなく洗礼された陳列だ。
「ご連絡をいただきましたご要望通りの品を集めれるだけこちらに集めております。そちらの方が髪結い師の方でございますか?」
「そうです。アカリといいます。」
うなずきなら、ランスロッドに背中をおされ一歩前に押し出される。
「アカリ様、私はティエーラ一座の担当を任されております。オズワルドと申します。以後お見知りおきを。」
「よろしくお願いします。」
丁寧にお辞儀をされ、慌てながらお辞儀をかえした。
「紹介はそこまでにしようか、さぁ、アカリ。ここの中からいるものを集めて。」
「え!っと・・・おいくらまで大丈夫なんでしょうか?さすがに予算はありますよね?」
「ない。」
「え?ないんですか???」
こんなに高そうなものがあるのに予算ないの?大丈夫なの?っていうかこの一座ってめっちゃ金持ちなの?
馬車に続いてVIP待遇の商家。私とんでもないトコに勤めるんじゃない?
「マザーからはアカリがいると言ったら全て購入しろとのことだった。大丈夫だ。」
なんかものすごく手汗をかく。
ロドルコを見ると我関せず、ソファでくつろいでいた。
本当に大丈夫なのかな?不安はあるが時間はない。
腹をくくって商品に目をやった。
書きたい構想はあるのですが、文章って難しいですね(汗)
ブックマークありがとうございます。
がんばりますのでよろしくお願いします。