取り合えず仕事しときますか。
主人公の年齢設定を少し上に変えてあります。
外に広がる世界は昔某映画で見たアラビアンナイトだった。砂漠に満天の星空。青い魔人なんか出てきたらまさにドンピシャ。肌に触れる風は少し肌寒い。そして乾燥している風だ。
思わずぼーぜんと立ちすくんでいると後ろの方から声が聞こえてるのに気がつく。
「・・・・とりあえず人と話さなきゃ・・・。」
色々結論付けるのは後でいい。今はとりあえず誰かと話がしたい。
目の前の砂漠から目をそらし振り返るとそこには大小さまざまなゲルが並んでいた。
中央へ向かうほど灯りは明るくなっているようで、人もそこに集中しているような気がした。私がいた場所は本当に物置部屋で間違いはなさそうだ。
こわごわと一歩一歩と前に進める、サラサラの地面はヒールでは歩きづらい。ひときわ慌ただしそうな気配のするゲルにたどり着く。女の子の笑い声や話し声が聞こえている。
「女は度胸よ・・・何があっても営業スマイルで乗り切れば大丈夫よ・・・。」
気合を入れながら入り口の布をめくりあげた。
「こにばんは~!失礼します~!!」
元気よく営業マンのように入る。目の前にはバタバタと荷物を運んでいる女の子や、ステージ衣装のような派手なきらきらと光る衣装を着こんでいる女の子達が数人。
テーブルに備え付けられている鏡に向き合いながらメイクをしている女の子も見えた。
これは・・・・サーカスかなにか?なのかしら??
考え込んでいると一人の女の子が私の前にやってくる。セクシーな真っ赤なアラビアンな衣装を着ている。顔は猫系でなんともエキゾチック。真っ赤な赤毛がとても目立つ。私の目の前に来ると彼女を見上げる形になった。まじかで見る彼女は幼さが残り衣装とのミスマッチが違和感を生んでいた。
「あなたが新しい髪結いさん?約束の時間より早いけど・・・・。とゆうかまだ子供じゃない?大丈夫なの?」
私の頭のうえから足先までなめまわすように見ている。いやいや、どうみてもあんたより大人だからな・・・。身長は低いかも知れないけど。154センチしかないが今ヒールを履いているので158センチ、見上げる彼女は165センチぐらいか・・・。
「よく身長が低くて若く見られがちですがこう見えても29歳になります。」
にっこりと笑顔で会釈する。
「・・・ほんとに?まぁ仕事さえしてもらえれば別に構わないんだけど・・。」
私の笑顔にたじろぎながら目線をそらす彼女。
彼女の周りにいた女の子もひそひそと話し合い、興味本位で私達のやり取りを静観している。
「しかし変わった格好ね?この前来ていた髪結いのおばさんよりはましだけど。」
「この前?」
「さぁ腕前を見せてちょうだいよ、髪結いさん。」
そういうと彼女は大きな鏡のあるテーブルの前の椅子に座る。
おおおこれは・・・勘違いされているのか、別に髪結いなわけではなんだけども挑戦的な彼女の視線が鼻につく。彼女を綺麗に整える自信はある。むしろ何ともいい素材の彼女をどう仕上げていこうかとワクワクする自分がいる。
「それではお仕事に取り掛かりますね。お客様。」
考えるのは後で、今は彼女に施術をかけよう!
「では失礼いたしますね。」
声かけを行い彼女の顔に触れる。
「え!?いきなりなによ、メイクするんでしょ?」
いきなり肌に触れるのをびっくりしたのか私の手を払いのける。
「お客様・・・、肌の状態も分からない状態ではメイクは出来ません。最高のコンディションに肌をもっていって初めてメイクが映えるのです!!」
「ぇええ・・・なんだかわからないけどわかったから顔近い!!」
少々熱が入って前のめりに説明してしまった。いけないいけない・・・。
触った感じはやっぱり乾燥してる。10代であろう彼女にしては潤いが足らなさすぎる。
持っているカバンをテーブルに置きタオルを取り出す。いつも仕事で使っているフェイスタオルだ。
「 よし・・・、ねぇそこの君!!」
「え!?私?」
「そうそう~」
急に話しかけられると思っていなかったのかあたふたしている。着ている服からたぶん裏方な感じがするので呼び止めてみたのだ。
「悪いんだけど桶に熱いお湯いれてもってきてくれないかな?」
「はぁ・・・お湯ですか?わかりました。」
どうしてお湯がいるのかわからないんだろう、不思議顔で答えながらも了承し、部屋から出ていった。
「一体どうゆうつもり?何か関係があるの?」
信用していないジト目で私を見ている。
待っている間に簡易ベッドに仰向けになって貰っている。椅子ではフェイスマッサージは無理だからだ。
「大丈夫ですよお客様。きっと喜んでいただけます。」
「あの・・・持ってきました。」
そうこう会話をしているとさっきお願いしていたお湯が届く。ありがとうとだけ伝えてフェイスタオルをそのお湯につける。・・・ってめっちゃ熱い!!仕方ないんだけどさ、我慢しながらお湯につけたフェイスタオルを絞る。絞ったフェイスタオルに持っているラベンダーオイルを一滴たらしながら少しタオルを冷ます。よし、適温だな・・・。
「それではお客様、失礼いたします。顔にタオルを置かせていただきますね。」
「!?」
問答無用に彼女の顔にフェイスタオルを置く。もちろん鼻の部分は空いているので息は出来る。始めこそすこしじたばたしていたが思っているより心地よいのだろう次第に動かなくる。
ラベンダーオイルにはリラックス効果があるしね。タオルの蒸気と共にいい匂いが周りに充満する。
2,3分顔に置いた後、彼女からフェイスタオルを取り除く。
うん、少し肌がふっくらしている。
「・・・あれ?もういいの?気持ちよかったのに・・・。」
少し残念そうに取り外したタオルを見つめる。
「それでは今から肌をプルプルにしていきますね!」
ここからはスピード勝負だ、柔らかくなった肌にどれだけ水分を入れ込めるかが勝負になる。肌を触った時にも感じたが、あのまま化粧水をしても浸透が難しそうだったので簡易スチームをして汚れをふき取ったのだ。まずは今朝仕入れた導入美容液、肌に優しくなじませ軽くマッサージをする。笑顔をたくさん振りまくのだろうほほの筋肉が凝っている。
たっぷりうるおいが届きますように〜元の元気なお肌に戻れぇ〜
このマッサージが貴方の癒しと、活力になりますように!
いつも通り念じながら優しくマッサージしていく。
すると周りから光が溢れてくる。びっくりしながらもマッサージを続けていると、光の中には羽の生えた小さな人がいる。妖精だ!!くるくると回りながらマッサージしてる手の周りをふよふよしている。
なんかファンタジーだなぁー、なんて考えながら手際よく彼女を仕上げていく。
化粧水、乳液と、マッサージが終了と共に光も妖精も消えてしまった。
「よし!お肌は終わりましたよ〜!次はメイクをしていきましょうか??」
「ぇ??あぁ、わかったわ。」
ぽやんとした顔をしながら頷く。疲れていたのだろう。マッサージしている間に少し寝ていたのだ。
椅子まで移動してもらい、メイクを施す。
自分で言うのもなんだけど、すんごい肌綺麗になってる〜!!赤ちゃんの様な肌〜!毛穴レス〜!!
テンション上がりながらメイク道具を出し始める。
こんなに綺麗ならファンデーションはいらないな。
肌をキラキラさせるラメ入りのパウダーがあるからこれをのせよう〜!!
服同様に、アクセントに目尻に赤のアイシャドウをいれて、黒のアイラインをオーバー気味に跳ね上げる。
つけまつげが要らないほどのまつ毛はホットビューラーで上げていく。
キラキラ光るマスカラをのせて、っと。
後は髪の毛のみ、サラサラのストレートだから高くポニーテールにしてっと。
「今日予定の髪飾りとかあったりしますか?」
「あ、それならそこの台の上の付けて」
薔薇の花をかたどった、透明のクリスタルの髪飾りがあった。
ポニーテールのトップにつけてっと。
「終わりましたよ、ご確認下さい。」
「・・おわったのね、どれどれ??」
立ち上がり側にある姿見に向かう。
と、立ちすくんでしまった。
ん??気に入らない??
え?なかなかいい出来栄えだと思うんだけどな、素材もいいし。
肩がふるふる震えてる。
「・・・いい。肌がすごい綺麗…私こんなにきれいだったの???」
「・・・あのぉ・・・・大丈夫ですか??」
そろりと近づきながら肩に手を置こうとした瞬間!
ガシッっとすごい勢いで手をにぎられる。
「!?え!「ありがとう!!お姉さん!!!失礼なことばっかり!!!明日もきて!!待ってるから!」
かぶせ気味にさらには顔面近いし!!!きらきらした目で見つめられる。
か・・・かわいいから悪い気はしない・・・。
「ありがとうございます!気に入っていただけたのですね、またのご利用よろしくお願いいたします。」
深々とお辞儀をしてルンルンの彼女を見送る。
ここからが私の地獄であった・・・・・。
「お、終わった・・・・・。」
あれからずっと女の子を磨き続けた。ずっと彼女とのやり取りを見ていた女の子たちが我先にと私の元に押し寄せた為だ。一人して他はしないなんて出来ないし。出演?順番があるのだろう。彼女たちなりに話し合い順番にならんでいたのだ。
さすがに30人近くいるこの子たちを私一人でやってのけたの褒めたい。
「あの・・・どうぞ。」
座り込んでるとお湯を運んでくれた女の子が飲み物が入ったコップを差し出してくれていた。
「ありがとう。助かります。あなたもありがとうお疲れ様。」
その子から差し出された飲み物を受け取り、声をかける。
彼女もずっと私を手伝ってくれていたのだ。
「いえ!?そんな、姉さま方がどんどん綺麗になってくのが私も不思議で・・・っ!?あ、いつもの姉さま方も綺麗なんですけど!もっとって言うか・・」
あわあわしながら身振り手振り伝えてくる。
鼻から下を薄いベールで隠しているが瞳は大きくこの子もすごい美人な気がする。
「あなたは出ないの?今日はたまたま裏方??」
「っ・・・えっと、・・その・・・。私は無理なんです・・。」
伏し目がちに体を縮める。急に顔がこわばった。
何か理由があるのかな?まぁいきなり他人にこんなこと言われても困るよね。
「ごめんね、変なこと聞いちゃって。」
「い、いえ。」
飲み終えたコップを渡した。
とゆうか、私こんなことしてられないよね・・・・・・。
ついつい現実逃避してしまったけど、たぶんもう3時間ぐらいたってる気がする。
聞かなきゃいけないんだろな、もう認めるしかないよね。日本じゃないもんここ。
片づけに出ようとする彼女に話かけようとした時だった。
「あんたかい?新しい髪結いは。」
「あ、マザー!!」
その子がお辞儀をしてその場を去る。
高身長に何とも艶やかな紫の髪。ワインレッドの妖艶な瞳にボンキュッボンの絵にかいたような体。マザーと呼ばれていたけど、まだ30代ぐらいだろうか、肌も艶やかだ。
そして圧倒的オーラ。
「ちょっとばかし話をしようか?ついといで。」
「えっと・・・・その・・・。」
「ついといで」
「はい・・・。」
取り合えず話を聞いてもらうしかないか。荷物をまとめてマザーと呼ばれていた人の後をついていく。
賑やかな明るい中央の付近まで来るとひと際豪華なゲルの前に来た。
あ。社長だ、この人ここの責任者じゃない?
入り口の前には門番?護衛?らしき人が立っていた。
・・・顔が二つの一つ目ムキムキ護衛さんが・・・・。
顔が二つ・・・双頭と呼ばれるやつか、もうファンタジー決定じゃん。
じっと見つめすぎたのか、こちらに気がつき左の顔が睨みつけてきた。
「ひっ!!!!」
思わず固まってしまった。
「私の客だよ、それからしばらく誰もいれないで頂戴。」
「・・はっ。」
「あんたも早く入りな、この子はここの護衛だよ。」
「・・は、はい。」
びくびくしながら、マザーの後ろをついていく。
私大丈夫かな・・・・。生きていけるかな?
そんな事を考えながらマザーの部屋にはいっていった。