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エステで癒やす聖女様  作者: 胡桃
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プロローグ

具都合主義設定で、はじめての執筆のためスローペースです。

お手柔らかに見守りください。

 平日であっても賑やかな百貨店。

 コスメフロアは旅行者や、女性で賑わっている。

 コツコツとヒールを響かせながら周りを見渡す。

 特に今日は夏の新作コスメの発売日もあってどこの店舗も忙しそうだ。

 かくなる私も新作コスメ求めてきた一人なのだけれど・・・・

 特に気になっていた最先端細胞コスメの店舗に一直線に向かう。

 「あ!あかりさん!!いらっしゃいませ~、今日発売の美容液見に来たんですか??」

 ふんわりパーマの髪をポニーテールにまとめて、耳元には品のいいパールのピアスが光る。

 見知っている美容員を見付けて思ず口元が緩む。

(みやび)ちゃんこんにちは、そ~よ。今年の夏注目の美容液だもん、うちのお客様も興味深々なんだから。」

 にっこり笑いながらそのまま雅ちゃんのいるカウンターまで駆け寄る。

「あかりさんのお店のお客様、最新のコスメやっぱりすごくチェックしてるんですね~。」

「そりゃ、いつまでも美しくありたいと思うのが女心でしょ?雅ちゃんだってこの仕事してるからにはやっぱりでしょ?」

「たしかに!!」

 雅ちゃんが大きくうなずきながらカウンターの椅子をすすめてくれたのでそのまま腰をかけた。

「今日じゃあお休みなんですね?なのにパンツスーツ姿なんですか?」

「んー、お客様に合うかもしれないし、仕事って言ったらあれだけど・・・。まぁ知識を仕入れに来てるからね、この姿のがシャンとするんだよね」

 私、渡世(わたせ)あかり(29歳)はエステティシャンをしている。

 職業がら最新のコスメや美容に関することは知識として、お客様とお話の一つとして提供出来るように気になるものは必ず発売日に購入するようにしている。

 てゆうのは半分は建前で、根っからの美容マニアなのだ。

「こちらが今日発売の美容液です~、まずは手に伸ばしますね~」

 流れるように接客に入る彼女はここの店舗で指名客がつくほどの敏腕美容員さん。

 雅ちゃんが手の甲に美容液を馴染ませている。

 ふわっと柑橘系の香りが手の甲から漂ってくる。

 夏なのでさわやか系の香りなのだろう、そのあとにスパイシーな香りも後からついてくる。

「いい香り~、もっちりとする感じもいいね、夏は日焼けで乾燥するから潤う感じがすごくいい。浸透していく感じもなかなか好感触!肌が柔らかくなってるような・・・これって導入液みたいにつかうやつかな??」

 「さすがあかりさん!そうなんです、肌を柔らかくして化粧水の浸透をあげるんです~、ちなみに化粧水はこちらで・・・・」

 今流行りの艶肌メイクをしている雅ちゃんが満面の笑みになる。

 さっきまで美容液しかなかった机にはいつのまにか化粧水から乳液、クリームまでもが揃えられていた。



「ありがとう、雅ちゃん。商品説明もすごくよくわかって助かる~お客様との話にも困らないわ。」

 大きなショッパーには先ほどの美容液、そしてその他もろもろ気になる化粧品を買い込んだので少し重たいが心はホクホクだ。

「こちらこそ~あかりさんがお店で話してくれるおかげでこっちに流れてくれるお客様結構いるんだよ~、ありがとうございます!」

 笑顔でお辞儀をする。

「あかりさんこれからまだ他の店舗回るんでしょ?ラモコムも美容液新しくなったみたいで私も気になってるんですよね~」

「雅ちゃんも気になってる美容液押さえないわけにはいかない!」

フンスー!と意気込みを入れながらお互いに笑いあう。

 そう、まだまだ新作コスメの旅はじまったばかりなのだ。


「それにしても、たくさん購入したな~」

 日の暮れかけた空を見上げながらぼそりとつぶやく。

 帰り道少しの休憩もかねて百貨店近くにある露店のジュースを飲みながらそばにあったベンチに腰をかける。

 荷物はたくさんになるのはわかっていたから、大きな黒のボストンバックをもってきていた。今日の戦利品はすべてここに入っている。

「顔は一つしかないんだけどね・・・、このために働いてるから仕方あるまい。」

 納得顔で荷物に視線をやる。

 エステティシャンになって早9年。元々センスもあったのかもしれない。

 人に施術する技術が学生のころからずば抜けていた。

 もちろん本人の努力もある。

 メイクも自己流ではあるがなかなかで、エステが終わったお客様にサービスでメイクアップをしているのだ。自分の手で綺麗に、輝くお客様をみると自分が魔法使いにでもなったんじゃないかと思うぐらい。達成感と充実感で満たされていく、本当にこの仕事が大好きなのだ。

 そうこうしてるうちに指名客がつき、個人の売り上げがあがる。

 自分の給料もあがり、平日好きな日に自分のお休みとは別に、お店と相談しながら休みをとってもいけるようになったのだ。

 美容業界どこもノルマは大変だしブラックな企業も多い。

 その中でも限りなくホワイトに近い職場に就職出来たのは運がよかったのだろう。

「明日何時からお客様入ってたかな~?後でメールで確認しなきゃ・・・・」

 ぼーっとそんなことを考えながらスマホを見てふいに顔を上げた時だった。

 目の前を歩いている人達が揺れているように見えた。

 始めはユラユラと気づかない程度、だがだんだん大きく横揺れが始まる。

 「え!!!地震!!」

 ごごごっと地響きが大きくなり、揺れている体の体制を整える。

 「え?」

 こんなに大きな地響きがあるのにも関わらず、平然と歩く人達。むしろ何事もないような・・・

 まさか!?自分の周りのみ揺れている?

側にある街灯を見上げると、揺れていない!とゆうか周りの人は私が揺れているのも気がついていない。

 座っているベンチをぐるりと囲むようにその場所のみ強い横揺れが発生しているようだった。

そんなばかなことが・・・

 そうこう考えいる間にも揺れは更に大きくなる!!

「は?意味わかんない!!!わっあぶない!!!」

 ベンチからカバンが落ちそうになり慌てて抱える。すると次の瞬間足元に小さな穴が開き始めた。

「え!!!ちょっ!?」

 立ち上がって逃げたいが揺れがひどくそれが出来ない。

 アリの巣地獄のようにどんどん地面に穴が開いていく、ガラガラと穴にひび割れた地面が落ちていく。

「このままじゃ・・・落ちる!?」

ボストンバックを両手に抱えた瞬間、浮遊感と共に真っ暗な穴に落ちていった。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・ぅん?・・・・。

 落ちたはずだが何時までたっても衝撃が来ない・・・・。

 ゆっくりと目をあける。

 ・・・真っ暗だ。

 「てか、布?なにこれ?」

 真っ暗なのはどうやら自分に大きな布がかかっているらしい。

 バサリっと布を取り払うと、木の箱や、大きな麻袋が目の前に広がってる、電気がついていないのか、全体的にとても薄暗いが物置部屋のようだ。

 いやいや、麻袋ってなんや・・・。

 少しばかりツッコミを入れながらゆっくりと立ち上がり回りを見回す、モンゴルにあるゲルのような建物の中にいるようだった。

 「どうして・・・こんな場所に・・・」

 心臓がどきどきしている。

 地震と共に大きな穴に落ちたとおもったら知らない場所にいる。

「あ!荷物は!?・・・・あった・・よかった・・」

 足元にボストンバックが落ちていた。

 取り合えず自分の見知っている物があることにほっとする。

 ボストンバックを持ち上げて肩にかける。カバンの柄の部分を握りしめる力が自然と強くなる。

 出口であろう場所に目を向けると、微かな光が漏れていた。

 外には人もいるのだろう、かすかだが人の話し声も聞こえてくる。

 「取り合えず、ここから出て誰かと話をしなくちゃ・・・」

 そう、とりあえず誰でもいいから話をしなくてはならない。

 そして今私はどこにいるのかを把握したい。

 出口であろうテントの布に手をかける。


 「・・・ここどこ?」

 出口の先に広がるのは、広大な砂漠と、満天の星空だった。

 





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