入学編Ⅰ
「ヴァン朝よ起きなさい」
「あと少しー」
「今日はエリバ学園の試験当日でしょ!!早く起きなさい!!」
母親から言われて今日が試験当日だということを思い出した。この一週間の騒動を思い出すと一番苦労したと思う。一番の事件といえば大賢者の紋章が手についていたので教会に確認のために行ってみたら、魔導士Ⅱ紋章に戻っていたり、入学試験のために魔導士以上になるように魔法訓練をしてみたりと、とにかく忙しかったのだ。自分で言うのもあれだが、俺は剣聖ではあるのだが、魔法については、魔導士レベルという判断しかされたことがないのだ。この世界には独自の階級が次のように存在している。
『大賢者、賢者、魔術師ⅠⅡⅢⅣ、魔法士ⅠⅡⅢⅣ、魔導士ⅠⅡⅢ』
この階級制度があるおかげで、将来の仕事にもさまざま違いがあるわけだ。。例えば魔術師ならば宮廷魔術師、魔法士ならば、宮廷魔法士という感じなのだ。しかし、俺の魔導士紋章だけは違う。最弱の紋章であるために、魔法学の道をあきらめ、騎士団か農家になるしかないといわれている。そもそも、剣術が使えるとしても、エバリー王国では評価には入らない。なんせ魔法絶対主義で完全実力主義という国家だからだ。
そうして現状、魔導士の俺は学園に入学することすら難しいといわれている。それでも、家族からは足手まといでもいいから挑戦だけしてみろと言われている。だから今日俺は、魔導士でも合格できるということをわからせに行こうと思う。そこから二時間いつも通り訓練をして、王国都市に向かった。
村を出て二時間目の前には何十人もの護衛を連れた一人の少女がいた。俺は道を譲ろうとせずに歩いていると護衛の兵士から『無礼を働く気か』と怒られてしまった。如何せん俺は、農村育ちで貴族様を生まれて初めて見るものでどうすればいいかなど知らない。このままだと確実に殺されるということは察しがついていた。どうしよ・・どうしよ・・と思っていたら、その少女が話しかけてきた。
「君は、どこから来たものじゃ?」
「おれ・・私は、セオール村という農村から来たものです。」
「セオール村ってまさか!?かつての英雄のヴォルデ家の子孫が暮らしている村ですか」
「はい!そうですよ。」
意外だった。初代王にして英雄賢者ワークス・ヴォルデの血族が村に住んでいるということを知っているなんて、あの情報など国のごく一部のトップしか知らないはずなのに、もしかすると、この人名門貴族のお嬢様なのかもしれないな。余計無礼を働いちゃいけないな。
「何をそんなに考えているの?そういえば、自己紹介がまだでしたわね?私の名前は、ハリス・シュバリエと申します」
「しゅ、シュバリエ家だって、申し訳ございませんでした。私のご無礼をどうかお許しください」
「いえいえ、怒ってもいないのでどうか頭をお上げください。それでお名前は何というのですか?」
「俺の名前は、ヴァンといいます」
「ヴァンというのですか、また会う機会がありましたら、お話ししましょうね。それでは」
なんてかわいいお嬢様なんだと思った。もしかしたら王都にはもっと可愛い子もたくさんいるんじゃないかと心を躍らせなら目的地へと向かった。
本編入学編スタートです。といっても、まだ試験にすら合格していませんが・・・・
ヴァンは可愛い子と沢山友達になることも楽しみだったりするのかもしれませんね。
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