パーティー当日
そして、ついにパーティーの日がやってきた
ロレンツェとセオドール、どちらの入学者も同じ会場なので、きっとエリカとも会うことになるだろう
それに今年は、大物揃いらしい
王族の三つ子の王子達
騎士団団長の息子
王宮に仕える宰相の息子
など、皆イケメン揃いらしい
このパーティーをきっかけに、婚約者を探す人もいるとか
しかし、第三王子は素行不良の為セオドール行きらしい。今回のパーティーも不参加だ。
まぁ、紹介はここまでにして
そろそろ私も準備をしなければならない。
リズに選んでもらったドレスを着る。
髪は、緩く巻いた銀髪を三つ編みのハーフアップにして青い宝石がついたバレッタでとめる。
薄く化粧もした。
そして、胸もとには、能力の練習に使ったサファイアのネックレスをつけて完成。
「キャー!お嬢様、とてもお綺麗です!これなら男何てイチコロですよ‼」
『ふふっありがとう』
予定よりも早く準備ができたので、馬車でゆっくり行こう。急ぐと髪が崩れてしまう。
パーティー会場につくと、リズと馬車を降りたが、パーティー会場に召使いは連れて行けないので、馬車に戻ってもらい、1人で会場に入る。
会場に足を踏み入れると、時が止まった様に感じた。ほんの数秒だった。でも、私にはとても長く感じた。
緊張していたのだろう。前世でもこんなに視線を向けられた事は無かった。
会場にいた全員がこっちを見て、会場全体が静まり返った。
その沈黙を破ったのが、こいつだ。
「ちょっと、どきなさいよ!」
そう言いながら私を睨みつけたそいつ。
はぁ、我が妹ながら恥ずかしい。
エリカは自分が何をしたかわかっていないらしいが、面倒くさいので放っておくことにした。
エリカがもう一度何か言おうとした時、音楽が鳴り始めた。
王族入場の合図だ
会場にいる全員が拍手をおくる
王と王妃、王子が1人、王女が2人
王子は第四王子で2歳年下のウィル様だけだ。
第一王子と第二王子は入学生として入場してきたようだ。
王族が席の前に立ち、王が一歩前に踏み出した。
「諸君、この度は学園入学おめでとう。諸君の入学を心から歓迎する
これから3年間、それぞれの力を伸ばし、日々精進してくれ
今日はもう長い話は無しにして、皆楽しんでいってくれ」
王の話が終わった
パーティーの始まりだ
始まってすぐに1人の男が寄ってきた
「こんにちは、お嬢さん。お一人ですか?」
『はい』
「こんなに美しい女性が1人だなんて、皆見る目がありませんね」
『ふふっありがとうございます』
「おっと、申し遅れました。私は、クランド・タルデル。タルデル伯爵家の長男です」
『私は、エレナ・ゼタ・サイラス。サイラス公爵家に養女として引き取られて、一応長女です』
「なんと!サイラス家のご令嬢でしたか!通りで、1つ1つの動作に品があると思ったのです」
『ありがとうございます』
「それにしても、先程の者は何なのです?貴女を押し退けて会場に入るなんて」
『お恥ずかしながら、あれは妹でして』
「妹!?姉に向かってあの様な態度をとるなんて……」
『私は、サイラス家の人たちに疎まれていて……』
「なぜです?」
『私は、魔法があまり得意では無くて……』
「あぁ、そうですか……。それでは、私はこの辺で失礼します」
ハハッ…魔法が不得意というだけで離れて行くなんて……
その後は、さっきの男が言いふらしたのか、誰も近寄って来なくなった
ふと、視線を動かすと、人だかりが見えた
その中心には、第一王子と第二王子
きっとダンスの申し込みだろう
確か、第一王子には婚約者がいたはず
人だかりが大きすぎて見えないが、きっといるのだろう
中にはエリカの姿も見える
そんなことを考えていると、ダンスの曲が流れ始めた
皆、それぞれペアを作り踊っている
私も踊るべきだろうか。しかし、魔法が使えない私と踊ってくれる人はいるだろうか?
考え事をしていると、正面から歩いて来た男に声をかけられた
「ごきげんよう」
『ごきげんよう』
「私の名前はアレン。アレン・ノーキースです。以後、お見知りおきを」
『!ノーキース家公爵家といえば、宰相として有名な?』
「はい、そうです」
『お会いできて嬉しいですわ。私はエレナ・ゼタ・サイラスです』
「はい、存じ上げております。サイラス家の長女でしょう?」
『まぁ、知っていて頂ける何て光栄ですわ』
「これくらい当然です。それより、私と踊っていただけますか?」
『!謹んでお受け致します』
「お手をどうぞ」
『ありがとうございます』
差し出された手に自分の手を重ねる
ダンスが始まった
はっきり言ってうますぎる
『ダンスがお上手なんですね』
「いえ、それ程でもないですよ。貴女のほうこそ、お好きなんですか?ダンス」
『ありがとうございます。これは、練習の賜物ですよ。執事に散々しごきあげられましたから』
「いえいえ、相当の努力がなければ、ここまで上手くなれませんから」
『ふふっ、それは貴方も同じなのでは?』
「ハハッ、それもそうかもしれませんね。……そうだ、私の事、名前で呼んでいただけませんか?」
『えぇ!そんな、できませんよ!』
「2人の時だけでもいい。お願いします」
『……2人の時だけなら』
「じゃあ、私も貴女の事をエレナと呼びますね」
『!はい……』
話しながら踊っているうちに曲が終わった
私達はお互いから離れると、礼をして向き直った
「困った事があったらいつでも言って下さい」
『ありがとうございます』
驚いた。ノーキース家の御曹司は冷たく、仕事以外には興味がないと噂される程だったのに
何か企んでいるのだろうか?
紳士的でダンスが上手
それが第一印象だった
その後は適当に人と話したり、踊ったりしていた
こうして、学園の入学パーティーは幕を閉じた