学園入学まで
私はまず、能力の練習から始めた
そして、1ヶ月である程度の事を出来るようになった
物質の化合・還元
状態変化
空中で動かす
気体を圧縮する
金属の加工
など
この能力を駆使して作った幾つかの作品の中で、1番気にいっているのが、鉄でできた短刀である。この短刀は、能力で不純物を完全に取り除き、加工したため、純度100%・最高に硬くできている。
切れ味も凄く鋭い。
能力を案外早く使いこなす事ができたので、すぐに魔法の練習に入った。
魔法とは火・水・土・風・光・闇・無の7つの属性があり、そこから更に応用している。
応用とは、火は身体強化、水は治癒、土は植物、風は気配察知、光は構築、闇は分解、無は他の属性には当てはまらないもの。
2つ以上の属性を合わせると、更に強くなる
魔法はなかなか上達せず、1ヶ月が過ぎた
コントロールは申し分ないのだが、如何せん威力が弱い
だから私は考えた
魔法だけで使うのはやめようと
そう考えたら即実行。私は魔法と能力の融合の練習を始めた
例えば…
魔法で炎を出し、能力でその周りを酸素で包む
こうする事で炎の威力は増し、コントロールは更にしやすくなった
魔法と能力の融合の練習は更に2ヶ月続けた
これらと同時進行でしていた剣術も、順調に上手くなってきている
私はまず、体力作りから始めた
以前は途中でリタイアしていた5キロマラソンも、今ではお手のものだ
体力も上がり、力や瞬発力も良くなってきており、技術もある
4ヶ月続けた剣術は、講師にも褒められた
最近は朝にヨガもしているので、お肌が綺麗になってきている
この頃はマナーのレッスンも日課に入れており、忙しいが剣の練習は訛らない様に毎日欠かさずしている
マナーのレッスンでは、ダンスの仕方やテーブルマナー、礼の練習などをしている
難しいけど、初めてやるから新鮮で楽しい
歴史の予備知識は、講師のアンドリュー先生が丁寧に教えてくれるので、分かりやすい
そして、それから更に5ヶ月が経った
学園入学まで1ヶ月となった頃、学園の入学試験が行われる
内容は、一般知識の筆記とマナー・魔法の実技があり、希望により剣術の実技も行われる
私は剣術を始めてから少ししか経っていないので、希望しない事にした
試験はそれぞれの校舎で行われる
ロレンツェは王都の中でも特に王城の近くにあるが、セオドールは王都でも北の方にあるため少し時間がかかる
ここ、サイラス家は王都までは馬車で3日、セオドールまで行くとなると4日かかる
その為試験当日より2日早く家を出た
学園に着いてすぐに試験は嫌だからだ
エリカはそんなこと1つも考えていないんだろうけど
予定通りの時刻に王都の北側についた私は、2日分の宿をとり、部屋にこもって筆記の復習をした
成績は中の上くらいを狙う
本当はもっと上にいけるだろうが、始めの評価が低ければ低いほど、後からのインパクトが大きくなるから
そして2日後、試験が行われた
試験結果は入学式の日に貼り出されるらしい
私は試験が終わるとすぐにサイラス公爵領に帰ってきた
屋敷に着いたら、その2週間後にはまた王都にむかわなければならない
次の1週間は必要な物の買い出し、更にその1週間後には王族主催のパーティーだ
そのパーティーには、その年学園に入学する者全員が招待される
もちろん、私とエリカにも届いている
パーティー後はそのまま学園の寮に住むことになるので、寮生活の準備もしなければならない
忙しくなるから、早く自室に戻りたいのに……
私は今、床に座らされて怒られている
理由は……エリカが試験に遅れて恥をかいた為、らしい
「あんたのせいで恥をかいたじゃない!!どうしてくれるの!」
パシンッ
頬を叩かれた
痛い
何で私が……こんな事されなきゃいけなんだよ‼
ギロリ
私は私のできる精いっぱいでエリカを睨みつけた
「ひっ」
知るか!!と怒鳴ってやりたかったが、そんなことをすれば私の立場が悪くなるだけなので、睨むのをやめ、ニコリと笑って言った
『忙しいので、もう部屋に戻りますね』
そう言ってすぐに部屋に戻った
叩かれた頬がヒリヒリとするが、そんなこと気にならないくらい清々しい気持ちだ
睨んだだけなのに、あんなに怯えた表情をするなんて
もう少しこの気持ちに浸っていたいが、時間が無いのでやめにして早速準備を始めた
王都に持って行く物のリスト
・セオドールの制服
・休日用の私服
・パーティー用のドレス、装飾品
・短剣
・寮の部屋に置く物
日用品は王都で買うので必要ない
まだリストしかできていないが、今日は疲れたのでもう寝よう
相当疲れていたのか、ベッドに入るとすぐに寝てしまった