第5話:罪人に。
乱雑に部屋に放り込まれる。
先程の部屋より更に地下の部屋。
さっきまでいた部屋より冷たく暗い石の部屋。
あたりには手錠と鎖とそして血がこびりついている。
「....ここは...?」
「黙れ。罪人が口を開くな黙って受けろ。」
「は...?受けるって何を...........っ?!!!??」
猫理は目を見開く。
先程まで猫理を運んでいた男が持っていたのは、真っ赤に焼けた刻印が掘ってある鉄の塊に棒を付けたもの。
「それを.....どうする気なんだ...?」
「何を言っている。お前に焼き付けるのだ。」
は?意味がわからない。
「お前に焼き付けるんだよ。永遠に。死んでも残る、罪人の刻印を。」
焼き付ける?罪人の刻印?何を言っているんだこいつは。牢屋に入れられるんじゃないのか!?
更に追い討ちをかけられるのか!?
第ー、まだだ。まだ打開策はあるはず。罪人という証明がまだ公にされてない以上俺はまだ大丈夫なはずだ。だから俺はこの熱を帯び真っ赤に焼け付いている鉄の塊を当てられる筋合いはまだない。まだ牢屋に入るだけで済むかもしれない。
考えろ。考えるんだ。まだこの状況は動k
「っっ!!!???っ!ぁあぁ!?ぐぁぁっ!!???あがぁぁああぁあぁあぁあぁぁあぁあぁぁああ!!!!!!!?!????」
何かが頬を触れたと感じた瞬間に体全体を走る刺さるような痛み、そしていきなり全力で叫んだ故に唇が裂け、喉も切れ、吐血する。痛みの原因の頬からは血が数滴落ちる。
が、しかし熱で傷口が瞬時に塞がれ大量出血には至らない。それは裏返せば〝死ねない〟のだ。
「あっ!?あっ...!!??あが.....っ!??」
「看長の命令ではお前はこの刻印を押されたら自由だそうだ。幸い誰も傷付けてなかったからか...いや。幸いではないな。看長も酷いことをする。」
男が何か言っている。激痛で意識が落ちかける中、ネリはその言葉を聞いていた
「この刻印を押され、自由になど生きれはしないのに。この烙印は罪の…罪人の烙印。これを押されているのもは、真っ当には扱われない…。」
〝死ねない〟程度の傷はその人の人生を終わらせる傷。肉体的には殺さないが社会的に殺す。そんな印を押された猫理の視界はボヤけ次第に見えなくなり.....暗転した。