第3話:ハプニング
「落ち着け。落ち着け。俺。ここでパニクったら終わりだ。常に冷静に。どこかの本で読んだ気がするぞ。」
猫理は一旦深呼吸し、気持ちを落ち着かせる。
いつも通り教室で座っていて急に視界が暗転し気が付いたら外に座っていた。なんて状況を整理しながら。
「これは誘拐…?いや、流石に無理があり過ぎるな。あの状況だ。」
「んー...っと。まず、状況を確認しよう。まず...ここは日本か?外国...?」
猫理はどうやって、そしていつの間に、ここに来たのかそれはどう言う原理なのか、それは置いておくことにした。
辺りを見回すとどう見ても現実とは考えられないように見える。映画等のセットにしては手がこりすぎている。ずっと見ているがカメラマン等でる様子もないし何より普通に生活している感が凄すぎる。
「顔は...日本人のような顔がベースっぽいけど。あの角とか翼とか皮膚とか...それに腰に差した剣や杖...どう考えてもこんなのが普通な県は知らないぞ。」
まぁ、それ以前に街並みが日本ではない気がするけど。なんか...こう...街並みは...どう見ても…
「アニメや漫画で見た事あるんだよなぁ」
そう。今までに見た事のある異世界物の作品の見た目はこんなのだったと思う。家々は石と木がベースの家で何やら向こうの方に賑わっている大きい店がみえる。
予想としては酒場兼、ギルドなのだろうか。
「...って事は。もうこの状況で考えれる事は1つだよな。」
猫理は口に出す前にもう1度あたりを見わます。間違いない。どう見ても間違いない。
第一、そういえば視界が暗転する前に見たわ。魔法陣みたいなの。あんなの現実にはないわ。
「俺、異世界に飛ばされたっぽいな。」
結論を出した。これはもう異世界にしか思えない。何故俺が、どういう理由があってなのか。そこら辺は全くわからないが俺が今までいた世界とは別の世界が居るのは事実のようだ。
全貌を見ている訳では無い。こんな所に飛ばされて一歩も動いてない。だがわかる。感じるのだ。空気が、纏う雰囲気が違う。今までの世界ではない。説明のしようがないが、感じるのだ。別の世界だ…と。
「まずは...動くか...。とりあえず現状を把握しなきゃな。言葉は通じるのだろうか...。不安すぎる。」
猫理は突然の状況に不安感を抱きながらも進む事にした。ただの不安だけなら動かなかっただろうが猫理にはもう一つの感情があったからだ。
「やっべぇ...興味、ワクワクが止まんねぇ!アニメやラノベの世界だけだと思ってた異世界転移...!!ほんとに起こるとは!!」
猫理は隠しきれない笑みを浮かべながら人混み(人じゃないのもいるけど)に歩いていくのだった。
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「うっひゃー、人多いなぁ(人じゃないのもi(ry」
並ぶ店は見たことないような物が並んでいる。
綺麗な装飾のアクセサリー、見たことない形や色の果物。綺麗に手入れされた武器、防具、何かしらの角や、爪、鱗のような物が並べられている。
何だよこれ魔物ってやつか?気持ちわりぃな。目ん玉とか売ってんのかよ...。
何かに使うのだろうか、薬品?ポーション?
考えているつもりが猫理は店の前でその変な目ん玉を見ていた。
そんな事をしていたら興味があると思われて当然。
「これ欲しいのか?あんちゃん?」
店の店員は商品を見ている猫理声を掛けてくる。
「っとっ!わ!こ、言葉が理解できる!?」
「はー?何言ってんだ?冷やかしか?冷やかしならやめろよ」
猫理は少しムッとする。
店員にしては態度が悪いなこのおっちゃん。
あー、でも、こちらからの言葉も通じるみたいだな。日本語なのか?ここら辺もよくわからん...。
とりあえずここら辺の事を教えてもらうか。
「あー、すまねぇ、商品は買わねぇんだが、ここはどこなんだ?」
「は?」
店員が商品を買わないと言った瞬間怪訝な顔をする。まずった。これは言わない方が良かったな
「うちは頭が変なヤツは求めてないんだよ!どっか行ってくれ!」
怒鳴られた。なんだ。この世界の奴は沸点が低いのか?俺はしぶしぶ引き下がり、また人混みに(人じゃなi(ry に紛れて歩き出す。
これは実にまずい状況だ。自分が何でここにいるのか、それ以前にここの事を知らなすぎる。どうにかして知らないと...。てか現実世界帰れるのか…?
様々な不安が今となってまた押し寄せる。
そこで猫理はふと、思い出す。最初に見えたあの酒場兼ギルドの様なところを
「あそこか!!!!」
猫理は目標に向かって歩き出した。
目指すは酒場兼ギルドの様なところ。あそこに行けば何かしらわかるだろう!
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「おぉ、近くで見ると意外と大きいな。」
猫理は目標の目の前に着いていた。
酒場兼ギルドの様なところは街とはまた違った賑わい方をしていて、筋肉ムキムキのオッサンや傷だらけの人いろんな人種がいるが共通していることがある。皆、何かしらの武装をして、酒を飲んだり何かを食べたりしている。
どう見ても見た目は戦士とか剣士とかそこら辺の人や魔法使いのような人までいる。
やはり予想通りお決まりのギルドっぽいので間違いないようだ。俺は意を決して待ち受けっぽい所にいる人に声をかけてみる
「あ、あのー、すいません...ここに来たばっかりでよく分かってないんですけど...」
「あ!新規の方ですねー!ではこちらへどうぞ!」
対応してくれたのは美人な女性。笑顔が美しすぎる。やばい恋に落ちt...おっ!
猫理は美人な受付さんの顔ばかり見ていたがふと耳の異変に気付く。
普通の耳とは違い長く先に行くにつれて細く伸びた形。これは...いわゆる...!!!
「...エルフ...!」
しまった声に出た!!感動と言うかびっくりしたというか、ついつい声に出てしまった。
これはまずいかもしれない。俺はこの世界の常識を知らない。もしかしたら種族の名前を言うのは悪いことなのかmーーー
「??はい!エルフです!純血ですよ♪」
あっ、大丈夫っぽい!しかも結構気さくだし!
俺は安心しつつ、エルフのおねーちゃんにこの世界の事を聞く事にした。
歴史とかは今聞いても仕方ないからなぁ。最低限の常識だけでも聞くか。
「あのー、俺、凄い遠くから来たんですけど、ここの事あまり知らなくて...。」
何から聞こう。俺は少し迷い、まずは生活するにおいての金銭関係の問題を聞こうとした瞬間
「ちょっとアンタ。ここの国の民じゃないでしょ。」
突如後ろから声をかけられる。俺は振り返るとそこにいたのは、白色の男物の軍服?制服?に身を包んだショートカットの金髪美少女。
なんだこの子はこんなの俺のいた世界にいたらアイドル間違いなしだぞ。
てか、なんで話しかけてきたんだ?
...ん?なんだ?腕に何か付けてんな。文字が書いてある...。国連治安維z.....
腕に巻かれた輪に書いてある時を読もうとした猫理より速くその美少女が答える。
「国連治安維持会会長。フィラリアよ。あなたを国内不法侵入者として逮捕するわ。」
「へー。いわゆる警察のお偉いさn.........は?え?」
「聞こえなかったの?あなたを逮捕するわ。」
「え、は、はぁあ!!!??」
この世界に飛ばされてそうそう。想像してないハプニングが起こったのだった。