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罪人の俺が救う世界で  作者: 黒嶺 夜
第1章:異世...界...?
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第18話:ネクロマンス

「ん…ふぅわあぁあぁ……。おー…?……え、寒いっ!!」


「あ!猫理!やっと起きたのー?もう私だけで火の番大変だったんだけど!!」


「あー、そのままぶっ倒れて寝て…もうこんな時間なのか」


辺りは暗く、夜の様だ。少し離れた所でミレルが火をたいて、焚き火をしている。


「本当は運んであげたかったんだけど流石に猫理をおんぶして街まで行くのは無理だし!てか血でベトベトだし!だから諦めて野宿しようと思って!」


「なるほど!しかしありがとな!これ寒いだろ着とけよ」


猫理の上に被せてあったミレルの上着を渡す


「私火の近く居たから温かいよ?まぁ要らないなら着るけど」


そう言うとミレルは自分の上着を着て、火の管理を続ける。


「いってぇ……動くとやっぱいてぇな。でもだいぶ治ってるんだが、もしかして??」


「ふっふーん!そうよ!私が治してあげたの!って言っても魔力マナ足りなさ過ぎて全然回復出来なかったけど…。」


ミレルはそう言って落ち込むが、猫理の傷はあらかた消えており、血は完全に止まっている。

皮膚がはげ、肉が見えていたような傷も癒えていた。


「骨とかは…動かすとちょっといてぇけどその他が全部治ってんな!!すげぇ!!流石ミレル!!まじ万能スキル持ち!!」


「そ!そんな事言っても何も出ないわよ!!て言うか私のスキルほんと全然便利じゃないのよね…凄いのは確かなんだけど。」


「なんでだ??」


俺のかなり酷かった傷も治ってるし、回復するだけじゃなく威力は低いけど硬い草を急に生やしたりして攻撃も出来る

結構万能で便利だと思うんだが…


「まぁ、私の能力は家に着いてから話すわよ!とりあえず今は私の能力よりあなたの……あ。」


「お??どうした??」


ミレルが何かを思い出したのか手をポンッと叩く


「褒めても何も出ないって言ったけど、ホントに何も出ないからね、明日の朝、家に帰るまでごめんけどご飯ないわよ」


「えーーー!!??!まじかよ!なんか動物とか食える魔物とか居ねぇの!?」


正直傷は癒えても腹は満たされてない!!

あんな強敵と戦ってかなりの血を流して血液を作らなきゃいけないのに!!

てか起きて目が覚めてきたらメチャ腹減ってきたんだけど!


「トールゴブリンのせいね。ここら一帯で暴れ回ったせいで他の生物が全部逃げちゃったみたい」


「あーー。納得。なるほどな…。」


俺はチラっと向こうに倒れているトールゴブリンを見る。離れているからか死臭はしないがそこらに落ちていたぼろ布を被せてあるトールゴブリンの死体の上を数匹のハエが飛んでいる。


通常、魔物は体内のどこかに〝核石コア〟と言う人間で例えれば心臓のようなものが存在する。戦闘職の稼ぎは基本、この核石コアで成り立っている。魔物を倒し、その魔物の核石コアを抜き取り、持ち帰り、ギルドで換金するという方法だ。

勿論、換金される額は核石コアによって変わる。

レアな魔物から出た核石コアやサイズが大きい魔物から出た核石コアなどはかなり高値で換金される。


しかし。

じゃあ、核石コアを抜くか砕かないと魔物は死なないのか?と言うとそうではなく、核石コアはあくまで心臓のようなものであって、別にその他に首を斬られたり大量出血で血が足りなくなったり、頭を割られたりetc…でも魔物は絶命する。しかし、その死に方だと肉体はそこに残る。放って置けば他の死体と同じ様に腐り果てる。しかし核石コアを抜く、または破壊すると肉体は霧の様に消えてしまう。

といった原理である。


「て言うかネリ?私思ったんだけどさ」


「お?何だ?」


「あのトールゴブリン、核石コア抜いてないからネリの下僕に出来るんじゃないの?」


「…!!!

あぁーー!!??マジだ!!ホントだ!!」


死霊魔術師ネクロマンサー


・柏木 猫理の会得した能力で〝自分で殺した対象〟を奴隷、従順な下僕に出来る能力。


核石コアを抜く、又は破壊し肉体が消えてしまうと能力は発動出来ないが肉体がある限りは能力を行使可能。


「確かそんな事、城の本に書いてあったな!!って事は!!?」


猫理はバッと向こうにいるトールゴブリンの死体に目を向ける。

ちゃんと肉体は残っている。核石コアは消えていない。

自分でとどめを刺し、殺した。

能力発動に必要な条件は全て揃っている。


「トールゴブリン…ゴブリンの進化三段階目、最終進化後。レアな上に体も大きい…。核石コアを抜いて換金すればかなりの額になるだろうなぁ……。」


猫理がゴクリと生唾を飲む。

〝売る〟か〝下僕にする〟か


「どっちが良いんだ…!?下僕にしたい気持ちの方が強いけど売ればかなり良い装備1式揃えれるしそれでもっと強い魔物も狩れるかもしれない…!!うーーんんんん……」


そう、猫理が悩んでいると、ふと思いついたようにミレルが言う


「あ、それならさ下僕にしておいて戦わせて死んだら核石コア回収して換金すれば??」


「……!!!!!!!!その手があったな!……ってかかなりゲスな方法を思いつくもんだな。」


猫理はジト目でミレルをみる


「ゲ、ゲスって何よ!!悩んでたから何となく思い付いたの言っただけで!べ、別に本心なんかじゃ…!!」


「冗談だって!まぁでもその案はかなり良いな!よしゃ!そうと決まれば早速っ!」


猫理はトールゴブリンの方へ行くと飛んでいるハエを手で追い払い、布をめくる、


「やり方…能力の使い方は本で見たし、何故か知ってるんだよな。この能力を手に入れた時に情報が入ってきたし」


猫理はトールゴブリンの顔の上に手を乗せる。


「うぇえ…冷たくて変な感じだな…。ま、まぁ唱えるか…。」


トールゴブリンに乗せている手に魔力マナを集中させる。


「えーーっと…どんな感じだったか……お、頭の中に詠唱の内容が出てくるのか!こりゃ便利だな覚えなくて済む!」


「せ、せこいわね私なんかこの魔法の詠唱覚えるのに何日かかったと…」


「う。本来は、そんなかかるのか。俺覚えるの苦手だからマジで助かるわ…。まぁラッキーって事で!行くぜ!!」


猫理は再度手に魔力マナを集中させる。そして詠唱をゆっくりと。丁寧に。


『我。汝の魂を媒体とし、死して尚主君の為に全てを捧げ、賭け、戦うことを命ず。我が魔力マナの元に現世に再び縛られよ。死のことわり、世のことわりを捨てた異端の怪になる事を誇りに思え。死霊魔術ネクロマンス!!!〝リアリスケイブ〟!!!!!』


そう猫理が詠唱を言い切ると魔力マナを集めていた手の甲が赤く光る。


「わ、わ!!?…お?これどうすんだ?赤く光ってるだけなんだが。」


「書物によると確か時間かかるみたいよ?何となく目を通した程度だけどネクロマンスの対価の媒体を融合させるのに何たらかんたら…みたいな?」


「ほーん…。ならこのまま待ってるか」


「て言うか。さっきの詠唱。かなり自分勝手って言うか凄い上から目線ね。」


「し!!仕方ないだろ!!?俺じゃないし!考えたの!」


確かによく思い返してみるとかなり無茶苦茶な事言ってんな。

なんて考えている猫理に突然声が聞こえる。


『タイショウ。シタイ。主が直接テヲ下したモヨウ。条件。オールクリア。』


「ふぁ!?だ!誰だ!!」


「えぇっ!??な、何よ!急に!」


「…!??は??聞こえてないのか、今機械音?ってのか?ロボットボイスで話す声が…」


『解。こレは直接、主様ノ脳内ニ届けテイる音声でアリ、他者。接触、関与不可能。』


「ちょ、直接…!?誰だよお前!!」


『困。今ハ主様から受ケた最初の命令遂行中。次命令ハ現命令対処後ニお願イしマス。』


「は……。」


「ね、ねぇちょっと。何1人で騒いでるの?ネリ?」


「い、いや。な、何でもない。なんか…その、俺の能力に関する何かっぽい。」


俺本人も良くわかんねぇや。

とりあえずネクロマンスについて実行してるみたいだし追求は後だな…。


「とりあえず少し待とう!時間かかるっぽいし!」


「え、ええ。ほ、ホントに大丈夫なのよね?」


「大丈夫だって!まぁ適当に座っててy」


『タいシょウの媒体トのリんクくリア。』


「うわあ!!!!」


「ひっ!!!…っって!!何なのよ!!」


「あ、ご、ごめん…。あの俺の能力がな、頭の中でな??」


いや、無理!説明無理!言っても頭おかしい奴だよこれ!!

て言うか!!!!お前!頭のなかで喋ってるお前!ちと声のボリューム下げろ!うるさすぎ!後ロボットボイスなのは良いけど所々発音おかしいのやめろよ!聞き取りにくいんだよ!


『解。主ノ割込命令。許容。直チニ実行ス。』


…え。心の声聞こえんのかよ!!!!

何だよ!無駄にミレルの前で恥しい事しただけじゃないか!


『解。別ニ聞コエナイトハ言ッテナイ。主様ノ思イ込ミ。』


お、お前。主様って言うくせに結構生意気な感じなんだな!


『解。主様ノ感情に高揚ガ見ラレマスガマズ対象ノネクロマンス優先。』


うん。もう分かったよ。別に俺の事主と見てないのは分かったから早くやれよ…。

てか誰なんだよ…。このネクロマンス終わったら説明して貰うからな…


『解。了解。ネクロマンス後ノ命令許認。次、デハネクロマンス。開始シマス。』


お、おお!遂にか!


「ミレル!ネクロマンスを始める!何があるかわからないから少し離れててくれ」


「あっ!わ!わかったわ!今のは私に話しかけたのね?独り言…じゃ無さそうね!離れてるわ!」


「あ、う、うん…。その…独り言は出来れば忘れてほしいな」


ミレルは猫理から少し離れる。

猫理の手の甲は赤から黄色に変色している。

猫理は再び集中する


『準備完了。対象ノ媒体…〝核石コア〟トノ融合開始ーー融合ーーー確認。核石コアノ消滅。確認。』


「……ふぁ!!!?」


「ど、どうしたの!?」


突然声を上げた猫理にミレルが急いで近寄る


「こ、核石コアが消滅したって…お、おい!どう言う事だよ!!」


「私に言われても分からないわよ!?」


「あ、あぁ違うって!だから頭の中のーーっ!ミレル!ネクロマンス始まるみたいだから!離れてtーーー」


核石コアト主様ノ魔力マナ。リンク確認。リアリスケイブ。行使。』


「まって、何かめちゃ魔力マナ吸われそうな雰囲気出てんだけど、もしかしt……あっ。」


猫理の視界は大きくグニャりと歪む。

これは分かる。魔力マナをほぼ使い切った時に起こる……


「主様の魔力マナ急性使用症状確認。主様。魔力マナ回復ノ為。スリープモード移行。確認。」


逆らえない…眠気だ……


「ちょ、猫理!?」


猫理は後ろから地面に倒れ込む。

ミレルが急いで駆け寄るが離れていたので間に合わない。

猫理は後頭部を強打しながら…再度、眠るのだった。

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