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マジカルメタモルショータイム!  作者: 夜狐紺
第2章 魔法のお菓子は甘くない?
36/41

第13話 おかしなおかしなおかしな

「アラメリゼ様!!!」

 心配した様子で駆け込んで来たのは――青い髪のメイドのクレア。

 丁度ぴったりのタイミング。

 ほら! クレアもアラメリゼを元に戻しに来てくれたんだ!

「よく来たわ、クレア。早速だけど――」

「――そ、その……私のことは、いつ、お菓子にしてくれるのでしょうか?」

「……は、はあっ!!?」

「あれからずっと、胸がどきどきして、お菓子にしてもらえるのが楽しみで、楽しみで、もう、待ちきれません……!」

「何言ってるのクレア! 今はそれどころじゃないでしょう!?」

 何考えてるの?! 確かに、お城に帰って来る時に約束した気がしなくもないけど……そんなの、今は、どうだって良いに決まってる!

「あ、あれ? アラメリゼ様は、どこにいらっしゃるのですか? 声は聞こえるのですが……」

 すると、クレアはようやく不思議そうにあたりをきょろきょろと見回す。

 どうやら召使い達はお城がお菓子になったことは知ってても、そのお城がアラメリゼだってまだ気付いてないみたい。

「クレアさん! アラメリゼ様はすごい魔法で、この、お菓子のお城になったんだよ!」

 と、フィーがうずうずとした様にクレアに話し掛ける。

「えっ! このお城が、アラメリゼ様……?」

 するとクレアも驚いて、目を丸くして声を上げる。  

 そう、フィーみたいじゃなくて、そういう反応で良いの。だから。

「そういうことなの。だから、クレアも協力して――」

「――すごい、すごいです! アラメリゼ様!」

 だけど、クレアもキラキラと目を輝かせて、浮き浮きと弾む口調で言う。

「こんなにおいしそうで、甘そうで、かわいいお城に変身するなんて……アラメリゼ様、本当に素敵です……!!」

 感動した様に部屋中を眺めるクレア。ちょっと待って、何言ってるの?!

「素敵だなんて……そんな訳ない! アラメリゼはこんなの――」

「――今まで、ごめんなさい、本当は、アラメリゼ様も……」

 すると何故か、クレアは頭を下げてアラメリゼに謝った。えっ、どういうこと?

「アラメリゼ様も、私達と同じ様に、お菓子になりたかったんですね!」

「ばっかじゃないの!? そんな訳ない! アラメリゼはあなたたちみたいにおかしくないんだから!」

「謙遜しなくても良いんですよ、アラメリゼ様! とってもおいしそうなお菓子になってますよ……!」

「そんなの、全然、嬉しくなんかない! アラメリゼはお菓子なんかじゃない……!」

「照れなくても良いんですよ、アラメリゼ様。待ってて下さい、皆を呼んできますね!」

 ぱたぱたと、慌てた様にクレアは部屋から出て行って。

 それからすぐに、一人、また一人と、お城中の召使いが、アラメリゼのお部屋に入ってくる。

「お菓子のお城が、アラメリゼ様だったなんて、本当ですか?」

「違う! アラメリゼはこんな変なお菓子じゃないったら!!」

「わあ……本当だ、アラメリゼ様の声がする……!!」

「早く、あなたたちの力で、アラメリゼを人間に戻してっ!」

「? どうしてですか? こんなに素敵なお菓子のお城になってるのに! 流石はアラメリゼ様!」

「ふざけないで! お菓子に変わっちゃうのは、食べられちゃうのは、あなたたちだけで十分なのに……!」

「アラメリゼ様も私達と同じ様に、お菓子になってみたかったんですね……!」

「ち、違うよ、やだ、やだ! お菓子にするのは好きだけど、お菓子になんか、なりたくない……!」

「なるだけじゃだめですよね! お菓子はちゃんと食べないと! お姫様、とってもおいしそうですよ~!」

「や、やだ、やだよ、アラメリゼはおかしなんかじゃないよ! お菓子のお城なんて、恥ずかしいよお……!!」

「アラメリゼ様に食べてもらえるのが名誉なら、アラメリゼ様を食べることができるのも、凄い名誉なことなんですよ!!」

「やっぱり、あなたたちみんな、みんなおかしいわよ!!」

「おかしとおかしい、ですか! 流石お姫様、とってもおかしな冗談ですね!」

「う、うるさい、クレア!!! ひ、ひゃ、触らないで、くすぐったいよお……!」

「アラメリゼ様がお菓子になった記念の国中のお祝いは、明日にすることにして――それじゃあ今日は、お城のみんなでパーティーにしましょう!」

「や、やだあ! よりによって、このアラメリゼが、お菓子にされるなんて!」

「それじゃあ、みんなで――」

「「「いただきま~す!」」」

「や、やだ、誰か、誰か助けて……! う、うう、ぐすっ……」

「~! キャラメルの扉、とろとろしててとっても甘~い!」

「このマシュマロもぽよんぽよんで、雲みたい~!」

「ビターチョコも用意して下さるなんて……アラメリゼ様、優しいんですね……!」

「おいしい! どのお菓子も、食べたことないぐらいにおいしいですよ、アラメリゼ様……!」

「ひっ、ふわあっ、や、やだあっ、ひゃん! くすぐったいよ、なめられちゃってるよ……おひめさまなのに、アラメリゼはとってもえらい、おひめさまなのに……」



 ―――。

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