祭の最中3
Γ出掛けてくる。二時間ほどで帰るから、ここで大人しくしていろ。」
ルーがそう言ったのは、夕方。
Γどこ行くの?」
髪の色を金色に変えたルーが、ふっと笑って私を抱き締めた。
Γ淋しいか?」
Γこ、子供じゃないから」
Γふうん」
軽く唇にキスをしてから、なるべく早く帰ると言ってルーは出掛けて行った。
Γ……結局どこ行ったんだろ?」
いや、ルーだって一人になりたい時だってあるよね。
遠くから祭の喧騒が微かに聴こえる。3日かけて行われる祭は、主に夜になると賑わいが増す。
もしかして、一人で祭に行ったのかなあ…
それとも、私を連れて行きにくい所でも行ったのかな?
Γまさか…」
男の人が遊んじゃうような所…
Γそれはないか。」
ふふっ、と私は笑った。私はルーを信じている。あの人が、どんなに私を好きでいてくれるか、私にはちゃんと伝わっている。
勿論、以前の彼のことまでは知らないから、浮いた話の一つ二つぐらいは…
Γあ、ダメだ。気が重くなってきた。」
淋しいんだよね、やっぱり。
彼の姿が見えないだけで、不安で気持ちが下降しちゃう。
Γしっかりしなきゃ。」
時計を見て私は考える。このまま部屋に一人でいてのんびりしているのもいいが…
無意識にイヤリングに触れて、ふと思った。
そういえば私、旅に出てから全てのお金をルーに頼っていた。それに、こんなに綺麗なイヤリングまでもらってる。
今更だけど、急に申し訳なく思った。
口許に手を添えて、考える。
Γ…………そうだ。稼ごう。」
私は椅子から立ち上がると、メイドさん達を呼びに言って協力してもらうことにした。
緊張するけれど、特技を生かすことにした。




