祭の最中(ルー視点)2
子供の頃、俺は過酷な環境で育った。俺は自分だけが悪人だとは思っていない。むしろ被害者だろ?
だから、グラディア国の国庫の金がザル計算したみたいに、毎年帳尻が合わないのは仕方ないな。
賠償金はしっかりもらう。
また、もらっとくか。いや…
櫛で髪をすくミヤコの横顔を見て考える。
島に連れ帰ればいいんじゃないか?途中から、俺もまあまあ旅を楽しんでいたのは否めないが、潮時だろう。
チラリと枕を見る。買った後だしな…、帰るのは祭が終わってだな。
Γルー」
身支度を整えて、ミヤコが近付いて来た。
Γ今日は…お祭りはどうする?」
Γ行かない。」
あからさまにしょんぼりするミヤコに、笑いを噛み殺す。やはり楽しみにしているようだ。
Γ今日は用事があるが、明日行くか?」
Γうん、行きたい!」
ぱああっと笑顔になったミヤコが、遠慮がちに抱きついてきた。耳に銀のイヤリングが揺れるのを見て、少しばかり独占欲が満たされる。
Γん、あっ…」
頬から首筋を唇でなぞれば、艶めいた溜め息のような声をもらした。恥ずかしいのを耐えている姿にぞわりとする。ああ、早く島に帰りたい。
ぎゅっと抱き締めて、ミヤコの甘い匂いを堪能する。
今日は稼ぐことにする。
ミヤコの喜ぶ顔が見たいから。