お前に敬意を13
Γではレオ君、お願いします。」
私は元の服をぶかぶかに着てから、レオの母親と一緒に立っている。私達の前には、起き抜けのレオがいる。
Γうん、でもお姉ちゃんそのままでもいいのに。」
レオは残念そうだ。
Γふふ、おかげで面白い体験ができたよ。ありがとう、レオ君。」
そう言うとレオは、はにかんで笑った。
Γお姉ちゃんも、ありがと。」
黒い瞳が赤く輝き、私はそれを見るたびに、その美しさに見とれてしまう。
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Γ…というわけで、貴様の目論みは外れたわけだ。」
レオ達を迎えに来たリュカは、僅かに感心したように頷いた。
Γなるほどそうですか。仕方ありませんね。」
リュカは、ソファーで眠るミヤコを一度見たが、特に残念がる様子はなかった。ただ少しだけ考える素振りを見せた。
Γ私が少々甘かったのですね…」
どういう意味だ?
力の強い魔法使いであるリュカの思考は、俺には読めない。
訝しむ俺の後ろで、レオがミヤコの頬を触った。
Γお姉ちゃん、またね。」
Γこいつ、べたべたと!」
俺がぶっ飛ばす前に、リュカがレオ達の手を持った。
Γ後悔しますよ、ルシウス。」
無表情な顔が、口角を微かに上げた。
Γ時折人恋しくなれば、気ままに女を買っていたあなたが、彼女にこれほど執着するとはね。」
Γ………」
Γその感情、全く私には理解できません。」
Γ……俺も、自分に驚いているがな。」
三人が翔び去って、俺は不安を胸に押し込んでからミヤコを見つめた。
Γ後悔など……」
今ここで手を放すより、少しでも長く共にいられるなら……
それでいい。
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Γん……」
雨音を聴いて、私は目を開けた。
どうやら二日前に滞在していた宿のようだ。薄暗い部屋のベッドから起き上がると、窓辺にルーが佇んでいた。
Γルー」
外を見ていたらしい。彼の横顔が寂しそうで、私は言ってみた。
Γ………ルー、触ってもいい?」
Γいや、ダメだな。」
ふっ、と笑ってルーがこちらを見た。
Γお前の嫌がることはしない。だからもう許せ。」
私も大人げなかったな。
Γうん。」
Γだから、俺が触る。」
Γん?」
近付いて来たルーに思わず身構えたら、彼はゆっくりと私の前にひざまずいた。そして、私の転んで擦りむいた膝にキスをした。
Γお前に敬意を。」
治した膝を、ルーは満足そうに眺めてから私を見上げた。思いがけず真摯な表情に、私は彼の首に顔を埋めて抱き付いた。
私の感触を確かめるように、ルーの手が背中を撫でた。
包まれるような彼の暖かさに、ずっとこうしていたいなと思った。
Γミヤコ」
Γん?」
Γ口付けしたい。」
Γう、はいっ」
返事の直後には、啄むようなキスをされて恥ずかしがる余裕すらなかった。
Γ噛むなよ」
一度唇を放したルーが囁いた。私を逃がさないように抱き締めて、更に深く唇を合わせてきた。
息苦しいほどの絡めとるような熱いキスに、何も考えられなくなるようで…
だけど、何でかな。
ルーの唇は切なくて、どこか物悲しかった。
ほっぺは触れたか?




