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お前に敬意を13

Γではレオ君、お願いします。」


私は元の服をぶかぶかに着てから、レオの母親と一緒に立っている。私達の前には、起き抜けのレオがいる。


Γうん、でもお姉ちゃんそのままでもいいのに。」


レオは残念そうだ。


Γふふ、おかげで面白い体験ができたよ。ありがとう、レオ君。」


そう言うとレオは、はにかんで笑った。


Γお姉ちゃんも、ありがと。」


黒い瞳が赤く輝き、私はそれを見るたびに、その美しさに見とれてしまう。


******************


Γ…というわけで、貴様の目論みは外れたわけだ。」


レオ達を迎えに来たリュカは、僅かに感心したように頷いた。


Γなるほどそうですか。仕方ありませんね。」


リュカは、ソファーで眠るミヤコを一度見たが、特に残念がる様子はなかった。ただ少しだけ考える素振りを見せた。


Γ私が少々甘かったのですね…」


どういう意味だ?

力の強い魔法使いであるリュカの思考は、俺には読めない。

訝しむ俺の後ろで、レオがミヤコの頬を触った。


Γお姉ちゃん、またね。」

Γこいつ、べたべたと!」


俺がぶっ飛ばす前に、リュカがレオ達の手を持った。


Γ後悔しますよ、ルシウス。」


無表情な顔が、口角を微かに上げた。


Γ時折人恋しくなれば、気ままに女を買っていたあなたが、彼女にこれほど執着するとはね。」

Γ………」

Γその感情、全く私には理解できません。」

Γ……俺も、自分に驚いているがな。」


三人が翔び去って、俺は不安を胸に押し込んでからミヤコを見つめた。


Γ後悔など……」


今ここで手を放すより、少しでも長く共にいられるなら……

それでいい。


******************


Γん……」


雨音を聴いて、私は目を開けた。

どうやら二日前に滞在していた宿のようだ。薄暗い部屋のベッドから起き上がると、窓辺にルーが佇んでいた。


Γルー」


外を見ていたらしい。彼の横顔が寂しそうで、私は言ってみた。


Γ………ルー、触ってもいい?」

Γいや、ダメだな。」


ふっ、と笑ってルーがこちらを見た。


Γお前の嫌がることはしない。だからもう許せ。」


私も大人げなかったな。


Γうん。」

Γだから、俺が触る。」

Γん?」


近付いて来たルーに思わず身構えたら、彼はゆっくりと私の前にひざまずいた。そして、私の転んで擦りむいた膝にキスをした。


Γお前に敬意を。」


治した膝を、ルーは満足そうに眺めてから私を見上げた。思いがけず真摯な表情に、私は彼の首に顔を埋めて抱き付いた。

私の感触を確かめるように、ルーの手が背中を撫でた。

包まれるような彼の暖かさに、ずっとこうしていたいなと思った。


Γミヤコ」

Γん?」

Γ口付けしたい。」

Γう、はいっ」


返事の直後には、啄むようなキスをされて恥ずかしがる余裕すらなかった。


Γ噛むなよ」


一度唇を放したルーが囁いた。私を逃がさないように抱き締めて、更に深く唇を合わせてきた。


息苦しいほどの絡めとるような熱いキスに、何も考えられなくなるようで…

だけど、何でかな。

ルーの唇は切なくて、どこか物悲しかった。














ほっぺは触れたか?

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